News 2000年12月22日 07:19 PM 更新

携帯電話,Bluetoothの前座にIrDA?

2001年はBluetooth本格普及の年と言われている。しかし,その前座を務める形で,再びIrDAが表舞台に出てくるかもしれない。その第1弾は携帯になりそうだ。

 IrDA,一般にいう赤外線を利用したデータ通信を利用したことのある人はどのくらいいるだろうか? IrDAはノートPCにはほぼ標準搭載されているにもかかわらず,忘れ去られようとしている。

 逆に,2001年こそ本格普及の年と言われているのが,無線を使った通信規格「Bluetooth」だ。Bluetoothは2.4GHz帯の電波を使って10メートル以内の機器をつなぐ技術。モジュールが小さく,低消費電力という特徴を持ち,携帯電話やモバイル機器への搭載が期待されている(発表されたBluetooth機器の例)。

携帯にIrDAが載る

 期待のBluetoothだが,その本格普及の前にIrDAが息を吹き返すかもしれない。オープンループの浅田一憲社長は「2001年の携帯電話には,赤外線(IrDA)が搭載されるだろう」と語っている。

 現在,IrDAインタフェースが搭載された携帯電話は,ノキアの「NM502i」のみ。ケーブルを使わないでPCやPDAと接続できる点がうけて,マニアの間では話題になった機種だ。

 もしも,多くの携帯電話にIrDAが搭載されたら,マニアだけの話ではなくなってくる。携帯電話上のJavaからIrDAが操作できたら,テレビのリモコンをはじめ,キャリア通信網を通さず遊べるネットワークゲームなど多くの可能性が出てくる。

 しかし,なぜ今IrDAなのか? 期待の無線通信規格はBluetoothではなかったのか? その理由はアプリケーションの開発にある。

Bluetoothのプロファイルが持つ意味

 IrDAもBluetoothも,ユーザーにとってのメリットは似通っている。どちらも,小型の機器に搭載し,ケーブルなどを使うことなく通信を行うのが目的だ。ただし,IrDAには使い勝手に関していくつかの問題があった。そのうちの1つは“PCのOSのバージョンや搭載機器によって相互互換性がない”という点だ。

 Bluetoothでは,相互互換性の向上が理念の1つだ。そのため,「プロファイル」と呼ばれる仕様が定められている。これは,Bluetoothを利用して色々な機能を実装していく際に,従わなくてはならない仕様で,以下のように機能ごとに分けて決められている。

 例えば,Bluetooth機器同士で音声通話を行うなら「Cordless Telephony Profile」をその機器に搭載しなくてはいけない。ダイヤルアップなら「Dial-up Networking Profile」,FAXなら「Fax Profile」といった具合だ。

いまさらIrDAなのは?

 ただし,それぞれのプロファイルを実装したからといって,それで済むわけではない。プロファイルはあくまで相互互換性を確保するためのもので,Bluetoothを使って動く独自のアプリケーションを開発しようとしたら,プロファイルの上にソフトを開発する必要がある。

 BluetoothとIrDAの開発面での接点は,このプロファイルにある。Bluetooth同様にプロトコルが階層構造になっているIrDAでは,OBEX(OBject EXchange Protocol)というデータ転送用のプロトコルが定義されている。

 Bluetoothでは,このOBEXをプロファイルとして採用しているのだ。これにより,既存のIrDA向けに書かれたソフトウェアを,Bluetooth機器でも再利用できるようになる。現在のようにBluetooth機器がほとんどない状況でも,IrDA向けにソフトウェアを作っておけば,将来のBluetooth普及の暁にはその資産を生かせる可能性が高いわけだ。

 携帯電話向けの赤外線アダプタである「IrGEAR for KEITAI」を開発,販売するリンクエボリューションでは,「(IrDAとBluetoothでは)ソフトウェアの基本部分はそれほど変わらない」と説明する。OBEXより上のソフトウェアはIrDAとかなり共用化できるため,開発速度も向上する。

 さらに重要なのは,Bluetoothがアプリケーションがそろった状態でスタートできることだ。いくら新技術が登場しても,利用するアプリケーションがなければ使われない。ハードウェアとしてコストが安いIrDAをまず流行らせて,機器同士の無線通信を使った市場を立ち上げる。続いて,Bluetoothが“IrDAよりもっと便利”というキャッチフレーズとともにIrDAが築いた市場を受け継ぐのだ。

 小型機器同士の無線に関しても,2001年は面白い年になりそうだ。

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[斎藤健二, ITmedia]

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