P503iの不具合が示唆する,携帯電話アプリケーションの将来

携帯電話の不具合のほとんどは,ソフトウェア関連のもの。しかし,いったんユーザーの手元に渡ってしまったら,ソフトウェアといえどアップグレードする手段がないのが現状だ。

【国内記事】 2001年2月16日更新

 2月9日,満を持して発売されたはずの「P503i」に不具合が見つかり,販売停止,回収という事態となった(2月9日の記事参照)。Javaの搭載がクローズアップされて語られることの多いP503iだが,今回の不具合箇所は,「JavaではなくHTMLブラウザ」と発表されている。

 自動車や家電製品,PCで“不具合,回収”となるときは,ハードウェア的な欠陥であることが多い。しかし,携帯電話の場合,最近問題となるのはソフトウェア部分のトラブルだ。

機能増大がもたらすソフト開発の難しさ

 携帯電話の機能は確実に進化していく。5月に発売が予定されているNTTドコモの「FOMA」端末には,さらにMPEG-4再生機能も必須になる。音楽再生機能などを搭載する機種も増えていくだろう。

 MPEG-4や音楽の録画/再生は,電話機能と密接に関連した機能だ。実際には,さまざまなソフトがメモリをシェアすることになるだろうし,あくまで電話である以上,着信があった際には処理に割り込んで通話を行い,その後戻ってくるような動作が要求される。

 インターネットへの接続,MPEG-4動画や音楽の再生,PIM機能,JavaなどなどPCで利用していた機能が次々と携帯電話に入ってきている。携帯電話が“PC化”していく中で,もはやソフトウェアのバグは避けられないものになっていくのかもしれない。

 最近のドコモの不具合を見ても,SH821i,ER209i,KO209i,SO502i,そして今回のP503iと,原因の多くはソフトウェア関連だ。もちろん,特殊なハードウェアを利用したことに起因するものもあるだろうが,そんなハードウェアの制御部分も含めて,最近の携帯電話用ソフトウェアの開発は難度が高い。

 PCのソフトでは,1つもバグのないソフトなどありえない。しかし,ソフトウェアのトラブルでハードウェアまで回収,交換という事態になることも少ない。PCでは,ハードウェアとソフトウェアがある程度切り離されているからだ。もしソフトウェアにバグが発見されても,PCならば新バージョンへのアップデートなどで不具合を解決できる可能性がある。

 しかし,現状の携帯電話ではハードとソフトが深く結びついており,ソフトウェアのバグをハードウェアと切り離して改善できないのが現状だ。

ハードとソフトを切り離す,BREW

 Qualcommが発表した「BREW」は,この現状を突き崩すプラットフォームになるかもしれない。携帯電話のアプリケーションの共通プラットフォームであるBREWは,Javaとは異なりハードウェアの奥深くまでアクセスすることを許すなど,PCでいえばOS的なものとなっている。

 KDDIのau事業本部長である小野寺正副社長は,BREWの発表時に「携帯電話ではアプリケーションの開発が,新端末を短期間で開発し続けていくための問題となっている」と語った(1月31日の記事参照)。

 BREWは,ソフトウェアの不具合を避けるための方策の1つとも捉えることができる。ドコモのJavaと並べて語られることが多いBREWだが,JavaとBREWのスタンスは,大きな1点で異なっている。携帯電話のハードウェアに対するアクセスが制限されるJavaに対して,BREWはハードウェアを直接制御するようなアプリケーションが動作するプラットフォームだ。

 BREWが目指しているのは,ハードウェアとソフトウェアの切り分けである。

 BREW上に開発されたアプリケーションならば,ある機能に不具合が見つかっても,ネットワークを利用したダウンロード,あるいはアップデートで最新のバージョンのソフトウェアを利用できるはずだ。発表会では,「HTMLブラウザ自体をダウンロードすることも可能」と,BREWのプラットフォームと通信機能というコアの部分さえ正常に動作していれば,ソフトウェアの不具合にも対処できる可能性があることを示した。

 Javaの場合,こいういった使い方は難しい。Javaは,携帯電話の電話帳メモリや通話機能にアクセスできず,ほかのJavaアプリケーションにもアクセスできない仕様になっているのが普通だ。

 これから携帯電話の機能はますます増大し,複雑になっていく。それを制御するソフトウェアを,果たして不具合なく短期間で開発していけるのか? 今後は,PCのようにハードウェアとソフトウェアを切り分けてアップデートしていける仕組みが必要になるのかもしれない。

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[斎藤健二,ITmedia]

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