ドコモが語る“iモード成功の理由”とは?

ドコモは,「デファクトスタンダード技術」「他社のビジネスが成り立つサービス」「ユーザーが理解できるマーケティング」を,iモード成功の理由として挙げる。これを海外にも輸出していくというが……。

【国内記事】 2001年3月13日更新

 NTTドコモのゲートウェイビジネス部コンテンツ担当部長である夏野剛氏は,「IBMビジネスフォーラム 2001」の特別講演において,“iモード成功の理由”を語った(関連記事)。

 iモードが近年稀にみるヒット商品となった理由としては,「ポジティブフィードバック」(夏野氏)が形成されたからだという。

 ここで言うポジティブフィードバックとは,ユーザー数が増えると提供されるコンテンツも増え,それによってさらにユーザー数が増えていく……といったものだ。この結果,欧州のGSM方式の端末とiモード端末では「同じ時代のものとは思えない」(夏野氏)ほどの差が生まれた。

iモードのポジティブフィードバック戦略

 夏野氏は,ポジティブフィードバックを引き起こすための戦略として,以下の3点に着目したという。

  • 他社がのりやすい技術の選択
  • 他社のビジネスが成り立つサービス設計
  • ユーザーが理解できるマーケティング

 夏野氏は,「(普通の)通信キャリアは,自分たちに最適な技術を独自開発しようとする」と,現状のWAP規格を批判する。iモードでは,HTMLのサブセット,GIF形式の画像,MIDIのサブセットと,独自技術ではなくインターネット上のデファクトスタンダードを採用したことが,iモードコンテンツが登場しやすい理由となったという。

 「(HTMLを利用してサービスを製作している)銀行などのオンライン部隊の人が,片手間にiモードコンテンツを作ることができた」(夏野氏)

 他社のビジネスが成り立つための仕組みとしては,ドコモが抱える“携帯電話ユーザー数”を最大限に生かすことを考えたという。現在ドコモの携帯電話ユーザーは3500万人を数える。

 他社がビジネスを成り立たせるためには,大きな市場が求められる。それには,ドコモが抱える3500万人のユーザーをそのままiモードの市場に誘導する必要があった。iモード端末といっても,普通の携帯電話でなければ一般ユーザーは使ってくれない。そのため,iモード端末に課された要求は以下のようなものだったという。

  • 現在の携帯と同じ大きさ
  • 現在の携帯と同じ重さ
  • 現在の携帯と同じ形
  • 現在の携帯と同じ電池のもち

 当初,ドコモは大きな液晶も,カラー液晶も“iモード端末には必要ない”と語っていた。それは,現在の電話機と大きく違うと“一般ユーザーが使ってくれないのではないか”という危惧があったからだ。

 「(近未来的な端末の)提案は多く受けたが,“普通のケイタイっぽくしてください”と言っていた」(夏野氏)

 当初の広告展開でも,「インターネット」「Web」「アクセス」「ブラウザ」といった言葉は禁句とされた。iモードを一般に浸透させるための策である。

スピードは速すぎても,遅すぎてもいけない

 夏野氏は,「サービスプロバイダ,メーカー+オペレータ,ユーザーの慣れの3つが同時に進化しないと,携帯電話は進化していかない」という。2年前に現在の503iのような電話機を出しても“売れなかっただろう”と推測する。

 501iで通話以外に携帯電話を利用し,502iで着メロや待受画像のダウンロードを行った経験が,503iのiアプリがユーザーにすんなり受け入れられる下地になっていると夏野氏は分析する。

 「iアプリは着メロ,待受画面の延長だ」(夏野氏)

コンテンツは誰が作る?

 「心に命じてきたのは,我々がコンテンツをやってはダメだ,ということ」

 夏野氏は,iモードのコンテンツに関して持論を語る。ドコモはプラットフォームを提供することに着目し,コンテンツには口を挟まないという。

 ただし,iモードメニューと名づけられたポータルページだけは別だ。この,いわゆる公式コンテンツについては「ドコモが内容を確認しているページなので,ユーザーに対して責任がある」と夏野氏は語る。

 そのため,“コンテンツの内容にも口を出すが,ドコモが課金の回収代行も行う”というスタンスだ。

iモードはどこまで伸びる?

 iモードは既に契約者2000万人を突破し,その増加の勢いは衰えていない。しかし,国内の携帯電話需要は8000万人が天井と見られており,今のペースでいけば2〜3年後にはiモード契約者数も上限に達する(3月8日の記事参照)。

 ドコモは新たな市場を求めて海外にも進出するが,夏野氏は次のようにコメントする。「iモードの輸出は,端末や技術ではなく,(上記のような)考え方の輸出だ」

 夏野氏が語る“iモード成功の理由”を見ていくと,日本と海外で大きな前提条件の違いがあることに気づく。それは,ドコモの携帯電話ユーザー数の違いだ。

 iモードは,ドコモの圧倒的な携帯電話シェアを前提に戦略が組まれ,それを生かす形で端末設計からマーケティングまで行われた。ドコモが海外で提携,あるいは資本参加している通信キャリアは,それほど多くの契約者を抱えてはいない(2月20日の記事参照)。

 考え方を海外に持っていくといっても,前提条件の1つは確実に崩れ去る。この違いは,iモードの海外展開の戦略にどんな影響を及ぼすのだろうか。

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[斎藤健二,ITmedia]

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