Mobile：携帯へ注力するインテル──IDF Japan基調講演

携帯へ注力するインテル──IDF Japan基調講演

IDF Japan初日の基調講演では，PCA，IPP，MSAといった携帯電話向けのソリューションが成果を上げつつあることが，デモンストレーションを交えて語られた。

【国内記事】 2001年4月17日更新

　4月17日，東京国際フォーラムで「Intel Developer Forum 2001 Spring Japan」が開幕した。初日のテーマは“携帯電話とブロードバンド”。基調講演ではIntelワイヤレスコミュニケーションズ＆コンピューティング事業本部長であるRonald Smith副社長が，Intelの携帯機器への取り組みについて語った。

　第3世代の携帯電話導入が世界的に迫っており，音声サービスからデータサービスに収益の柱が移りつつある。

　しかし，現在の携帯電話は通信の信号処理を行うベースバンドチップの余力処理性能をJavaの動作やマルチメディア処理に利用している。Intelは，ベースバンドチップとは別に，同社の「XScale」アーキテクチャなどを使った演算処理専用のチップが必要になると考えている。「本格的にデータを扱うには，クライアントのパワーが不足している」（Smith氏）

　その際に，携帯電話のソフトウェアとハードウェアを抽象化し，3つの独立したサブシステムに見せる枠組みがパーソナル・インターネット・クライアント・アーキテクチャ（PCA）だ。このインテルのアーキテクチャを採用することで，ハードベンダーなどはより早く端末を市場投入できると，Smith氏は強調する。

PCAの概要。携帯電話のソフトとハードを，コンピューティング，コミュニケーション，メモリの3つの独立したサブシステムに見立てて抽象化する

　「通信のサブシステムをそのままにしておくことで，（マルチメディア周りを変更しても）新しい型認定を必要としない」（Smith氏）

　“強力な演算性能と，開発期間の短縮”がIntelの携帯機器に向けたアピールポイントだ。開発期間の短縮に向けたソリューションとして，Smith氏はインテグレーテッド・パフォーマンス・プリミティブ（IPP）と呼ぶコードライブラリも紹介した。

　IPPは，OSに依存せず，IA-32，Itanium，StrongARM，XScaleの各マイクロアーキテクチャで共通のファンクションコールを持ち，異なるアーキテクチャ間での移植を容易にするコードライブラリだ。Smith氏は「IA-32用に書けば，そのままハンドヘルドに使える」と語る。

　実際，CompaqのiPAQ Pocket PCにプリインストールされている音楽再生プレーヤー「Beatnik」では，「IA-32からStrongARMへの移植に3日しかかからなかった。しかもプロセッサに最適化されている」という。IPPを使うことで，「パフォーマンスが22倍に向上した」と，Smith氏はIPPが効果を上げていることをアピールした。

PDC向けのベースバンドチップも

　また，PDC向けのベースバンドチップ「PDCharm 2.0」も講演中に発表された。PDCharm 2.0はPDCとPDC-Pをサポートし，800MHz，1.5GHzの両方に対応している。ARM7TDMIコアが内蔵され最大40MHzで動作し，Javaにも対応している。既に量産を開始しており，デンソーをはじめとする国内電話機メーカーに供給中だという。

　さらに，Analog Devicesと共同開発したDSPアーキテクチャー，マイクロ・シグナル・アーキテクチャ（MSA）のシリコンを340MHzで実際に動作させる世界初のデモも行われた。最大400MHzで動作するという。

　MSAではC言語でのプログラミングが可能で，従来手間がかかるといわれていたDSPプログラミングを容易にするという。「MSAによって，市場導入期間の短縮，大幅な性能アップが期待できる」（Smith氏）

[斎藤健二，ITmedia]

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PDC向けのベースバンドチップも

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