シャープの考えるビジネス志向とは? 新型ビジネスザウルスMI-L1発表

昨年発表されたザウルス「MI-E1」は,オーディオ/ビジュアル系機能を搭載したエンターテイメント志向PDAに仕上がっていた。そしてシャープは21日,「MI-E1」をベースにしたビジネス志向ザウルス「MI-L1」を発表。その内容とは?

【国内記事】 2001年5月15日更新

 もともとザウルスは電子手帳を起点とし,ビジネスマンのための情報ツールとして,その機能・性能を培ってきた。最近では時流に即してエンターテイメント系へ傾注しており,それが「MI-E1」で大きく結実したわけだが,本日発表された新製品「MI-L1」では再びビジネスに目を向けている。発売は21日からで,価格はオープンプライス(予想実売価格4万3000円)。

 ビジネス志向とはいえ,ハードウェア面で「MI-E1」と大きく変わるところはない。ボディカラーがブラックというのは安直すぎる感もあるが,ビジネスマンが出先で使っていて,妙に目立ったりしない色であることは確かだ。形状,外形寸法は「MI-E1」とほぼ同じで,操作パネルの下に小型キーボードを収納している点も同様。

 ただし,一見して違うのは,操作パネル上のボタン。上段には「メールチェック」「操作メニュー」「ホームインデックス」「逆送り」「順送り」,下段には「戻る/電源」「方向キー」「決定」ボタンが並び,全体に大型化されるとともに,方向キーの中心にも決定ボタンが配置された。より片手で操作しやすいようにとの配慮だが,実際触ってみると,ソフトウェア面での改善もあいまって快適な印象だ。

 また,液晶はMI-E1と同じ3.5型6万5536色反射型TFTカラー液晶だが,フロントライトは外された。このほうがライトを使用しない場合コントラストをやや稼げるということだ。このことも貢献してか,本体質量は約185グラムと,「MI-E1」の200グラムから若干軽くなった。

“ビジネス志向”はここがポイント

 で,どこがビジネス志向なのかとなるが,シャープでは「電子メール&インターネット」「PCコネクション(個人PCとのデータ共有に加え,グループウェアでの共有)」「エクスパンション」をテーマにしている。また,エンターテイメント系の機能は外し,「シンプル&カスタマイズ」をうたった(この結果,購入時のメモリ空き容量は4.8Mバイトとなった)。

 つまり,従来からの電子メールとWebブラウザ(省略版ではなく,フル機能に近いもの)を核に,表計算やワープロ機能で読み込めるデータ形式を広げたり,「サイボウズ Office 4」への対応でグループウェアとのデータ連携を可能にしたりした。さらに必要な機能はMoreソフトやJavaで開発すればいいということだ。

 電子メールは通常のプロバイダ,RASへのアクセスのほか,NTTドコモ「MMQUBE2」のモバイルメール機能「VALUE MAIL」にも対応している。この機能の利用に当たっては,6月上旬発売予定の追加ソフトが必要となる。メール本文の最大長は従来どおり,約64Kバイト,3万2000文字だ。

 ビジネス関連MOREソフトのうち,「ワープロ」は内蔵,「統合辞典」は付属CD-ROMに収録,「表計算」「レポート&自由帳」「乗換案内」「パーソナルデータベースII」は別売となるが,5月下旬からシャープスペースタウンで発売予定の変換ソフトとの併用で,ワープロではRTF形式とWord 2000/98/97/95形式,表計算ではExcel 2000/97/95形式が読めるようになった。このあたりは,Pocket WordやPocket Excelをウリ物にしているWindows CEマシンへの対抗だろう。

 そのほか,ソフトウェアで目を引くのは,「メモ帳」および「WWWブラウザ」だ。Outlook 2000/98/97とのシンクロナイズにおいて,「メモ帳」の同期に対応した。そして,「WWWブラウザ」はようやく縦画面に切り替えられるようになった。フォーム入力などでキーボードも利用できる。キーボードはクリック感が多少向上している。普段のサイト閲覧は横表示で,文字入力の必要な検索サイトや掲示板サービスは縦表示でというのが,想定される一般的な使い方のようだ。

 同時発売されるクレードル「CE-ST5」にはスタートボタンが用意され,ワンタッチでのシンクロも可能になった。ただし「MI-E1」でこの機能を使用するには本体ソフトのアップデートが必要だ。Palm系を意識した流れだろうか。

 シャープでは「MI-E1」のモバイルエンターテイメント,「MI-L1」のモバイルビジネスを,ともに“情報管理の道具”ととらえ,双方で展開していくことになる。「MI-L1」の機能・内容は十分に満足のいくもので,これまでの実績から製品販売後のさまざまなサービスの充実も期待できる。

 ただ,欲をいえば,ラインナップには超軽量級ザウルスもほしい。特にビジネス用途では,ソフトウェア面はともかくハードウェア面はもっと絞ってもいいから,小型軽量化を望む声は多いと思われる。PDA市場ではまだまだ激しい競争が続くだろう。あえて過去の財産・流れを断ち切っても,新たな境地を開く。混迷化する状況の中では,PDAの老練たるシャープだからこそ,そんな姿勢が求められるのかもしれない。

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[浅井研二,ITmedia]

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