第2回 iアプリのつくりかた コネクト(2)

はい!「もばいるのつくりかた」連載第2回です! 「男はJava! 女もJava!」ということで,前回に引き続き,新興宗教Java教……じゃなかった,携帯電話用Javaアプリの開発会社,コネクトの加来徹也社長にお話を聞いています。

【国内記事】 2001年5月16日 更新

携帯用Javaアプリ開発の苦労(その一:メモリサイズ)

「みんなでJava! 中学生くらいからJavaですね! うん!」

 はい,そうですよね! 世界はJavaですよね! きょきょきょー(洗脳済み)。

 でも,教祖さま,Javaってそんなに開発しやすいんですか? 中学生でも作れるくらいJavaって簡単??

 「簡単とはいわないけれども,構造が新しいので今からプログラミングを始める人にはいいですね。それに,入門書もいいのがあるしね。でも携帯電話用の開発は,携帯電話ならではの苦労もありますよ。それはなんといっても使えるメモリのサイズが“小さい”ことです」

 携帯電話は当然,パソコンに比べれば使えるメモリのすごく小さくて手軽な反面,いろんなことをしようとするとすぐに壁にぶちあたってしまうのだそうです。そりゃ,あれだけちっちゃい機械だから,内蔵している部品も少ないだろうし。なんでも,パソコン用で使えるメモリの大きさの何千分の一,という大きさだとのこと。

 「もちろん,こちらもプロだからそのメモリサイズできちんと作りますが,プログラムを小さく書く技術ってあるんですよ。これがもう大変! だって,こんな感じなんだもん。たとえばPCのソフトがこれくらいだったら,iアプリはこーんな!」

 と,きゅっきゅっきゅー,とホワイトボードに書いた図はこんな感じ。

 つ,つらそう……。たとえば,ゲームなどの場合だと,画像を1枚使ったり,ちょっと音を出したり……そんなことをするだけで,気をつけないとあっという間にサイズをオーバーしてしまうそうです。

「それにね,また,いろいろ違ったりするんですよ。機種ごとに条件が!」

 え? だって,前回のお話では,Javaなんとかがあれば,みんな同じになるんじゃなかったんでしたっけ?? えーと,Java V3……ってそれじゃ仮面ラ○ダーだよ,「Java VM」ね。そうそう,それそれ!

携帯用Javaアプリ開発の苦労(そのニ:機種ごとの違い)

 なんといっても,携帯電話用のJavaアプリの開発はまだまだ始まったばかりの世界。パイオニアならではの苦労はプログラミング技法に限らず,携帯電話自体の進化が急速に進んでいる最中であることにも関わってくるのだそうです。

 「理屈の上では,Java VM上にプログラムを作るのは楽なはずなんですが(前回の図参照)……実際には,まだまだそんなうまくいってないんですよ。まっ平らなはずの“切り口”も,微妙にでこぼこしてたりね。だから,安定して載るはずだって思って作ったパーツがずり落ちちゃったり,乗っからなかったりで」

 う,ダメじゃん,Java VM! しっかりするのだ,それでもJava教の申し子か!?(違うって)

 前回のお話で,とても合理的な仕組みだなーと感心していたのですが……実際には,これから整備しなくてはならないところもいろいろあるようです。がんばれJava VM!

 「とはいうものの,実はJava VMなどのソフトでなんとかなるところはまだいいんですよ。こちらもそれに合わせたり調整するノウハウもたまっていますし。

 でもね,もっと困るのは携帯電話ごとのハード的な仕様の違い。まだ進化の過程だから仕方ないのでしょうけれども,たとえば機種ごとに積んでいる音源チップの同時に鳴らせる音数が違ったり,ある機種で見やすい表示はほかの機種ではそうじゃなかったり」

 ……やっぱり,理屈通りにはいかないことも多いんですね。でも,それを解決して開発していくのもきっと面白いトコなんだろうな,とも思いました。困難があっても俺たちならできるぜ,やったるぜ! なモノ作りの情熱が,加来さんのお話からは感じられました。

 いずれは解決されていくことなんでしょうけれども,今現在は,携帯電話用Javaアプリを開発するのはやっぱり一筋縄ではいかないところも多いようです。

なぜ携帯電話用Javaアプリなのか?

 加来さんはもともとコンピュータメーカーにお勤めで,今回のコネクト立ち上げをもって独立されたとのこと。でもでも,こんなにいろいろ苦労しなくちゃならないJavaアプリの開発に,どうしてわざわざ飛び込んだんでしょう??

 「いやー,もう,人の言うことを聞くのはイヤんなっちゃってねー」

 それじゃサラリーマンの不満ですよう。教祖さまー。

 「コンピュータの標準ってアメリカでしょ。向こうを追いかける形になるよね,どうしても。特に僕が元いた会社は外資系だったから,日本から発信するってちょっと難しいところもあったんですよね。でも携帯電話用Javaアプリなら,完全に日本が最初ですよ。やっぱり,ほら! 日本から世界へ!」

 さすがです,「言うことを聞く」のスケールが違います。人の技術を追いかけるのが嫌だ,と。だから敢えてパイオニアとして苦難の道を選んだのですね!

「みんな,俺の言うことを聞け!ってなもんですよ!!」

今後の展望

 コネクトは,社長の加来さんを中心として運営されていて,さらにその母体はネットワークゲームで有名なドワンゴと,情報セキュリティ技術開発のオープンループ,モバイルコンテンツのインデックスの3社が出資している会社とのこと。

 現在コネクトが作り,既にリリースされているタイトルは「メルアニメ」や「@ガチャピン・ムック」などがある(インデックスのページ参照)。

 加来さん自身はパソコン創成期のころから活躍されていた方で,個人としても業界内で有名な方です。加来さんが関わるんだから,きっと携帯電話用Javaアプリの世界はこれからもっともっとすごくなるんだと思います。期待しちゃいますよ,ね,教祖さま?

 ということで,これからのコネクトの開発について,展望を聞いてみました。

 「ゲームもね,僕は好きだし面白いんですけれども,業務用の開発も行っています。これは,すごくiアプリ的というか,携帯電話の使用用途に向いていると思うんですよ。サーバからスケジュールやメールを管理して,携帯電話上でユーザーがコミュニケートする。そしてネットワークの部分は暗号化されている。携帯電話上のソフト開発だけではなくて,うちはサーバも開発していますから,そういった開発にも力を入れていきたいですね」

 最後に,加来さんは1冊の本を紹介してくれました。「はじめてのiモードJavaプログラミング」。この本は,加来さんご自身が創成期から苦労してきた経験を活かして書かれたものなのだそうです。

 「携帯電話用Javaアプリは,突き詰めていくと,決して開発が楽なものじゃないです。しかも,携帯電話の中だけで動くようなものならまだいいけれども,サーバも絡めたことを始めるともう大変!

 でも,“中学生からJava!”って,冗談じゃないんですよ。僕らがプログラムを始めたころは,入門書だって決してレベルは高くなかったし。でも,今はよいものがある程度手軽に手に入りますよね。だから,学生のうちからプログミングを始めて,この世界に飛び込むにはJavaっていいです。しかもサイズが小さいから,入門としても携帯電話用のJavaプログラムはいいと思います。モノ作るのって,面白いですよ。これ本当!」

 そして,僕達と一緒に,面白いものを作っていきましょう! ……そんなメッセージで、今回のお話は締めくくられました。

 さてさて!「もばいるのつくりかた」最初のご紹介は携帯電話用Javaアプリの世界でした。私もプログラミングの勉強を始めてみようかな?? Java教にも入信したことだしね。

 また来週も,違う「モノ」や「技術」の中に飛び込んでいきたいと思います。「こんなところに行って,こんなことを聞いて来てほしい!」そんな希望のある方は,ぜひ教えて下さいね。あなたの代わりに突撃します! それでは,また来週!「もばいるのつくりかた」でした。

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