Pocket PCでデスクトップPCをリモートコントロール──コンパック,KDDI,CSK-Netが法人向けに

遠隔地から,Pocket PCを使って社内のデスクトップの画面を表示・操作できる「Mobilickソリューション」を,コンパック,KDDIなど3社が発表した。

【国内記事】 2001年12月19日更新

 コンパックコンピュータ,KDDI,CSKネットワークシステムズ(CSK-Net)の3社は12月19日,法人向けモバイルソリューションで協業すると発表した。第1弾として,KDDIの無線カードを使い,コンパックの「iPAQ Pocket PC」から遠隔地のデスクトップPCを操作できる「Mobilick(モビリック)ソリューション」の提供を行う。

 企業内部にMobilickのサーバを置き,KDDIのネットワークとフレームリレーや専用線で接続するエンタープライズモデルは,2002年1月から提供を開始する。また,CSK-Netは,インターネットを経由しサーバを共用するASPモデルを3月末からサービス開始予定だ。

遠隔地のデスクトップの画面がPocket PC上に

 Mobilickソリューションの根幹となるのは,韓国のWitnetが開発した「Mobilick」というソフトウェア。これは認証などを行うサーバ,デスクトップPCにインストールする「Mobilick PC」,クライアントとなるPocket PCにインストールする「Mobilick PDA」の3つから成り立っている。

 この「Mobilick」をPocket PCとPC双方にインストールし,PocketPCをインターネットや専用線などを経由してネットワークに接続,サーバで認証を行うと,デスクトップPCの画面をそのままPocket PC上に表示させることができる。Pocket PCをシンクライアントとして使い,「既存のイントラネットソフトウェアをワイヤレスで遠隔地から操作できる」(コンパックコンピュータエンタープライズビジネス統括本部モバイルビジネス推進本部の伊藤亮三本部長)わけだ。


 Pocket PC側のディスプレイの解像度の制約から,PCの画面がすべて表示されるわけではないが,どの部分を表示するかの設定や,ズームも可能。Pocket PCからWindowsを操作することも可能で,仮想キーボードも備えている。「通常のデスクトップで操作しているのと同じ環境で操作できる」(伊藤本部長)。


モバイル導入コストの大幅な削減

 通常,Pocket PCを使ったモバイルソリューションというと,社内のグループウェアやエンタープライズアプリケーションに接続してデータを閲覧・編集できるPocket PC専用のソフトウェアを使う場合が多い。しかし3社は,Mobilickソリューションで,デスクトップPCの画面をそのまま転送するメリットを強調する。

 1つはPocket PC向けソフトの開発やトレーニングのコストだ。「(Mobilickなら)個別の業務クライアントを開発する必要がなく,短期の導入が可能だ。使い慣れたもの(PC上のソフトウェア)を使えるから,トレーニングの必要もない」(同)。

 新規に業務システムを導入する場合も,Mobilickならば新たにクライアントソフトを開発する必要がない。

 また,クライアントに専用ソフトを使う場合は,そのソフトが複雑な処理を行えるようになるほど,Pocket PC側にマシンパフォーマンスが要求される。だが,Mobilickは,実際の処理作業にあたっては「自分の席のPCの性能をフルにいかせる」(同)から,その問題も生じない。これもメリットの1つだ。

通信コストは?

 多くのメリットがありながら,リモートコントロール型のソリューションがこれまで少なかったのには理由がある。1つは操作性だ。小型機器でデスクトップPCと同じインタフェースを使うよりも,画面サイズに合わせた専用インタフェースを作ったほうが,当然のことだが使いやすい。

 動作速度や通信コストという問題もある。リモートコントロールソフトでは,デスクトップPCの画面をデータとしてPocket PCに転送する形を取るため,その分,やり取りするデータが大きくなり,それが速度や通信コストに跳ね返ってしまう。

 もちろん,Mobilickソリューションでは,この点についての配慮を行っている。PocketPCからのデータ送受信には,64Kbpsのパケット通信を実現するKDDIの「rapiraカード」を利用することを推奨しているが,さらに転送されるデータをWitnetの独自技術で圧縮しているのだ。「一度に行き来するのは,約4Kバイト。多くても10Kバイトは超えない。平均して70〜80%の圧縮率」(Witnet)。

 単純計算では,ほとんどの場合1秒以内に画面の転送が終わることになる。実際のデモンストレーションでも,ほとんどストレスを感じない速度で動作していた。通信コストも1画面4Kバイト程度であれば,それほどの額にはならないだろう。

 Pocket PCの市場を立ち上げたいコンパック,人間以外の分野でデータ通信需要を喚起したいKDDI。そして市場拡大が見込まれるモバイル分野でノウハウと実績を獲得したいCSK-Net。3社は今後,他社との提携も含めてもモバイルソリューションを続々提案していくという。

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関連リンク
▼ コンパックコンピュータ
▼ CSKネットワークシステムズ
▼ au(KDDI)
▼ Witnet

[斎藤健二,ITmedia]

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