着メロの著作権料はだれのもの?現在,着メロの著作権料は,作詞者,作曲者にしか支払われていないのをご存じだろうか。急速に拡大する着メロビジネスだけに,今後は“著作隣接権者”への配分も必要になってきそうだ。
年間600億円ものお金が動く,巨大な着信メロディ市場。しかし,着信メロディに対して正当な対価が支払われているかというと,そうではないようだ。 ミュージックエアポートの取締役,松武秀樹氏は1月12日,モバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)のセミナーに登壇し,着信メロディにかかわる“お金の流れ”について,「著作隣接権を考える時期にきている」と主張した。 「著作隣接権」とは,例えば音楽の場合,演奏者に与えられた知的所有権を示す。MIDIデータならばデータ作者がこれに当たる。ヒット曲についても,著作権者だけの力でヒットしたわけではなく「周りの人がいたから音楽がヒットした」(松武氏)。 ところが,「着メロデータに関しては著作権しか処理されていない」(松武氏)のが実情。作詞者や作曲者には定められた対価が支払われるが,データ作成者には“著作権料”としての支払いはない。
着メロビジネスのお金の流れ着信メロディビジネスは,ここ数年で急拡大した。iモードのアクセス比率でも,エンタテインメント系──こと着メロは常に上位を占めている。 市場規模も急激に拡大した。音楽CDの市場規模が1999年の5513億円から2001年の4820億円に減少するなか,着メロははや600億円市場だ。
着メロ市場が急拡大した理由はさまざまあるが,著作権に絡む敷居がほかのコンテンツに比べて低いのも理由の1つ。着メロの場合,権利処理がルール化されており,「45秒以内,転送不可のデータであれば,1曲につき5円をJASRACへ支払えばいい」(ミュージックエアポートの斉藤豊プロデューサー)。そのため,新曲が発表された直後から,着メロとして配信が可能だ。 しかしミュージッククリップやイラストなどは,権利者が複数いたり,目安となる金額が決められておらず,それぞれに交渉が必要となる。
ミュージックエアポートによると,「(着メロの)人気曲は1曲で数十万ダウンロードを稼いでしまう」という。即座に著作権料として数十万円が発生するわけだ。 しかし,必ずしも新曲が数多くダウンロードされるわけではない。昔の曲でも,サイト運営者の見せ方や,上手いデータの作り方によって着メロランキングの上位に食い込むものがある。そうして苦心して昔の曲を売り込んでも,データ作成者などには著作権料としての収益分配はないのが現状だ。 着メロビジネスは,単なる“通知のための音楽”にとどまらず,“新たな音楽スタイル”としてますます発展することが予想されている(1月23日の記事参照)。今後,着メロビジネスが正常に発展する上でも,着メロの売り上げ額に従って,「オリジナルの楽曲に携わった著作隣接権者」「着信メロディの制作に携わった著作隣接権者」にも収益は配分されるべきだろう。
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