ISP料金実質無料。PHSデータ通信「P-p@c」の実力

あまり話題にならないドコモのP-p@cだが,moperaの利用料金が10円/分に設定されたことで,お得感が増した。月額料金が4000円を超えているユーザーは,P-p@c利用を一度検討してみてはいかがだろうか。

【国内記事】 2002年2月26日更新

 “PHSのデータ通信”といえば,すぐに思い浮かぶのがDDIポケットのAirH"。しかし2月1日から始まったNTTドコモの「P-p@c」もなかなか大胆な料金設定をしていることは,案外知られていない。

 P-p@cは,データ通信向けPHSのオプション料金プランだ。P-p@c10とP-p@c20の2種類があり,それぞれ「パルディオ・データプラス」(月額1900円)と組み合わせて利用する。

オプションプラン月額料金接続時間
P-p@c102500円10時間
P-p@c203200円20時間

 パルディオ・データプラスには元々,1000円分の無料通話分が含まれている。ただ,これらの料金プランを単純計算しても,「あまりお得じゃない」と思われる方が多いのではないだろうか。

P-p@cでは,moperaが実質無料に

 P-p@cが真価を発揮するのは,3月1日から対応開始されるmoperaをISPとして利用した場合だ(2月21日の記事参照)。ドコモが運営するISPであるmoperaは,従来PHSからのインターネット接続に利用した場合,通信料として15円/分の料金がかかっていた。しかし,P-p@cからmoperaにアクセスした場合,10円/分の料金で利用できる。

 パルディオ・データプラスの通信は「プラン270」と同額──10円/分であるため,P-p@cを利用すれば実質的にISP料金が無料でインターネットに接続できることになる。

*パルディオ・データプラスでP-p@cを併用しない場合,同一区域内のアクセスポイントに接続すれば深夜・早朝なら10円/90秒。ただし,全国一律料金のmoperaに対して,アクセスポイントまでの距離に応じて料金が変わる。例えば20キロを超えると20円/45秒と極端に高額になる

 しかもP-p@cに加入していると,10時間/20時間という固定時間を過ぎても10円/分のmopera料金が適用される。「パルディオ・データプラスの無料通話分も,その超過分にも適用される」(ドコモ)

 ちなみに,P-p@cの課金方式は秒単位。つまり従来のPHSデータ通信では,1回接続すればたとえ10秒でも10円の課金が発生していたが,P-p@cでは何回接続しても合計時間に対して課金されるわけだ。

接続が簡単なmopera

 moperaの魅力は,接続の容易さにもある。電話番号を166に設定すれば,ユーザーIDもパスワードも必要なく接続が完了する。“最寄りのアクセスポイント”を意識する必要もない。最近のWindows系OSでは,PHSカードを差し込めばとりあえずは「標準モデム」として認識されるため,どんなPCでもどんなPHSでもmoperaならばすぐにインターネットに接続できる。

 この点が,通常のインターネット接続と同じように各種設定が必要なAirH"との違いでもある。また,専用端末が必要なAirH"と異なり,古いPHSでも適用可能なのもP-p@cのメリットだ。

 ただし,AirH"と料金を比較すると決して安いとはいえない。平均64Kbpsの通信速度のプランとして,P-p@cの2種類と,AirH"の「ネット25」を比較してみた。

プランNTTドコモ パルディオデータプラスNTTドコモ P-p@c10+パルディオデータプラスNTTドコモ P-p@c20+パルディオデータプラスDDIポケット AirH"ネット25コース
速度64Kbps回線交換64Kbps回線交換64Kbps回線交換64Kbpsフレックスチェンジ
接続時間従量制(無料通話1000円)月10時間まで定額月20時間まで定額月25時間まで定額
月額通信料1683円4282円4982円4930円
超過分料金(ISP込み)15円/分(mopera)10円/分(mopera)10円/分(mopera)上限1500円(PRIN)
月額料金1683円4282円4982円5430円
10時間当たりの料金9683円(別ISP6683円)4282円4982円5430円
15時間当たりの料金1万4183円(別ISP9683円)6282円4982円5430円
25時間当たりの料金2万3183円(別ISP1万5683円)1万2282円6982円5430円
50時間当たりの料金4万5683円(別ISP3万683円)2万7282円2万1982円1万2930円

年間契約を前提として計算した。NTTドコモ(関東・甲信越地区)では,3月31日まで契約事務手数料無料

 意外なほど価格差があるのが,従来のパルディオ・データプラスとP-p@cだ。moperaを利用しない場合「6時間以上使う場合はP-p@c10のほうがお得」となっているが(ドコモ),ISPにmoperaを利用しても,4時間程度の利用でP-p@c10のほうが安くなる。

 簡単にいえば,PHSの月額使用料が4000円を超えるユーザーはP-p@c10を申し込んだほうがトクだということだ。

 AirH"との比較はどうだろうか? 月20時間あたりからP-p@c20よりもAirH"ネット25が割安になってくることが分かる。しかし,ドコモのPHSユーザーはドコモの携帯と合わせて契約することで「ファミリー割引」という大幅な割引が受けられる(2001年10月の記事参照)。

 AirH"のつなぎ放題は,単なる定額制に留まらない常時接続の魅力を持っている。しかし平均60Kbps以上の速度を得ようと思うなら,月額1万円程度の「つなぎ放題+オプション128」を申し込む必要がある。

 毎月1万円以上のPHS料金を支払っているヘビーユーザーは別として,ライトユーザーにはP-p@cがお得。ドコモの携帯を持っている人ならなおさらだ。あまり話題にならないP-p@cだが,これだけの料金節約を実現できるのである。

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[斎藤健二,ITmedia]

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