Mobile：AirH"128Kのハンドオーバーを試す──高速移動時のパフォーマンス（4/4）

AirH"128Kのハンドオーバーを試す──高速移動時のパフォーマンス（4/4）

【国内記事】

2002年3月1日更新

ロケーション3──首都高速

　3つめのロケーションは首都高速。以前「パケット対応モバイルインターネット接続を徹底チェック」で利用したコースと同じ，辰巳SAを起点に深川線を箱崎ジャンクションに向かい，中央環状線外回りに合流して台場線，湾岸線を経由して辰巳SAに戻る経路だ。深川線は住宅地の高い位置を，中央環状線は都心部の半地下を通過すると共に短いながらトンネルもあり，さらに台場線のレインボーブリッジはPHSの電波が届きにくいことでも有名。さまざまなロケーション要素を含む。

起点の辰巳SAから9号深川線を望む。選択した経路は日中でも比較的渋滞が少なく，箱崎ジャンクションさえ混雑しなければほぼ一定速度で走行可能だ

　移動時間は約17分。深川線では80Km/h程度，中央環状線は60～70km/程度，台場線から湾岸線は80～100km/h程度の流れ。幸いほとんど渋滞にも引っかからない形で計測が行えた（計測は1度では済まなかったが）。

　移動速度が速いこともあり，さすがにロケーション1/2と比較すると大幅に受信速度は低下した。32Kbpsパケットでは9.5Kbps，128Kbpsパケットでは14.8Kbpsとなった。受信速度のグラフによると，32Kbpsパケットでは移動速度の割には完全にデータ受信が途切れた部分以外ではムラなくデータを受信しており，文字中心のメールの受信程度ならば十分使えそうだ。もちろんどちらもインターネットへの接続自体は中断されていない。

首都高での受信速度

　ロケーションの変化による違いはデータ受信量のグラフを見ると分かりやすい。128Kbpsパケットでは深川線でも一度完全にデータの流れが止まっており，ハンドオーバーに時間を要している。また時間軸で見ると中間程になる都心部に入った方がデータの流れがスムーズで，基地局密度の高さがやはり重要だ。

　32Kbpsパケット，128Kbpsパケット共に完全にデータの流れが止まったのは汐留トンネルから。浜崎橋ジャンクションでハンドオーバーしきれずにそのままレインボーブリッジに入ってしまったため，長時間に渡ってハンドオーバーができなかったようだ。浜崎橋ジャンクションのあたりは電波が届いていないわけではないから，やはり高速移動中のハンドオーバーは苦手ということだろう。

　最も高い受信速度を得ているのは時間軸で最後になる湾岸線だ。直線で障害物も少なく，高い位置でも半地下でもない。見通しがよく，お台場という観光地でもあるため基地局の密度もそこそこ高く，ハンドオーバーの頻度も低かったのだろう。このあたりは90km/h程度という高速な流れであったが，条件がよければ128Kbpsパケットは十分に高速性を発揮できそうだ。

首都高でのデータ受信量

確実に高速性を発揮したAirH"128K

　結局128Kbpsパケットが32Kbpsパケットに対して明らかな高速性，倍以上の受信速度を得られたのはロケーション1だけだったが，ほかのロケーションでも128Kbpsパケットの方が高速なのは間違いない。例えばバスの都市部を走るバス内などで利用するならば128Kbpsパケットは32Kbpsパケットに対して1.5～2倍程度の受信速度が期待できそうだ。

　ただし懸念した通り，ハンドオーバーに関しては128Kbpsパケットの方が不利なようだ。この点に関しては4月が目処とされるネットワークの改修である程度改善が期待できるだろう。

　また，いずれも基地局密度が高めの地域ではあったが，80Km/hを超えるような高速移動でもインターネットへの接続は途切れることがなく，メールの受信程度になら十分使える受信速度を得られた。高速移動時ではcdmaOneやFOMAといった携帯電話の方がスムーズさでも速度でも有利だが，データ通信手段をAirH"主体にしてもそれほど困ることはないといえるだろう。

　32Kbpsパケットに対して，128Kbpsパケットで必要な＋3500円/月の追加コストが見合うかどうかといわれれば，移動中の利用に関してはちょっと見合わないかもしれない。もっとも移動中にばかり利用する人はそれほどいないだろうから，前回の検証も合わせて判断材料の1つにしていただけると幸いだ。

前のページ | 4/4 | 最初のページ

[坪山博貴，ITmedia]

AirH"128Kのハンドオーバーを試す──高速移動時のパフォーマンス（4/4）

ロケーション3──首都高速

確実に高速性を発揮したAirH"128K

モバイルショップ

FEED BACK