“インターネット型の3G”をアピールするKDDI小野寺社長

“今の3Gはもう古い。これからはインターネットに特化したデータ通信ネットワークだ”移動体通信の需要が,通話からデータへ,人から機械に移るに従って,求められる資質も変わろうとしている。

【国内記事】 2002年3月29日更新

 京都で開催されたケータイ国際フォーラムでは3月27日,KDDIの小野寺正社長が講演を行い,IPと融合していく携帯の展望について語った。


 KDDIは,1社で固定のインターネットサービスから携帯電話までサービスできる唯一の会社。小野寺氏は「IPという技術を核に,au(携帯電話)とDION(固定インターネットサービス)を融合していくことが可能であると考えている」と自社の強みを説明する。

 これからは,有線も無線もなく,IPをベースとして1つにまとめていくというのが小野寺氏の考えだ。

新しい需要は自動車に

 音声通話を中心とした,いわゆる携帯電話契約者は既に7000万を超え,近々飽和すると見られている。これはしばしば語られる話だが,では,移動体通信の新しい需要はどこにあるのか。


KDDIが想定する,今後のモバイルデータトラフィック市場。音声通話用の市場が飽和したあと,機械に携帯を積んでいくというのは,各社共通の見解だ(2月8日更新

 1つは,機械が利用する携帯電話だ(2001年12月の記事参照)。「例えば車の世界。それだけをとっても今の携帯電話の市場と同じくらいの車が日本にある。ヒトからモノに広がる形で市場は広がっていくだろう」(小野寺氏)

 トラックなども含めると,国内の自動車数は7000万にも上る。音声通話と同じだけの数の需要が手つかずで残されている。近年叫ばれるITS(用語)にしても,「通信と結びつかないとITSはなかなか発展しない」(小野寺氏)と携帯電話が果たす役割は大きい。

 そして,自動車などの機械に携帯電話が搭載されるとき,「トラフィックに関しては,明らかにデータに向かう」(小野寺氏)。

 しかし,現在の各種通信ネットワーク,そしてFOMAに代表される第3世代携帯電話ネットワークは,必ずしもデータ通信と相性がいいものではないようだ。確かに通信速度は高速になった。問題はIPとの相性にある。

10年前に決められた第3世代携帯電話

 固定ネットワークが次々とIPベースに移行していく中で,携帯電話もIP化の波から逃れられないのは間違いない。しかし,いわゆる第3世代携帯電話はそもそもIPと相性がいいものではない。

 第3世代携帯電話の仕組みや考え方は,ほぼ10年前に決められた。「当時のマルチメディアの考え方は,B-ISDNとの整合性が中心。そのため(第3世代携帯電話でも)64Kbpsの回線交換を技術の標準として入れることが決まった」(小野寺氏)

 現在では語られることもないB-ISDN。当時は,ナローバンドISDN(64Kbps)を進化させてブロードバンドのISDN(B-ISND)にいくという流れが予想されていた。

 しかし,「今はIPベースの時代に変わってきている。むしろ第3世代ではインターネットとどう整合性をとっていくかのほうが頭の痛い問題になってしまっている」(小野寺氏)

 今後,音声よりもデータトラフィックのほうが大量になってくるというのは業界関係者に共通した認識。「2006年にはデータは(2001年の)47倍までいくのではないか。データをいかに効率よく運ぶ仕組みを作っていくかが重要になってくる」(小野寺氏)

 小野寺氏の指摘は,音声とデータの切り分けにまで及んだ。例えば,これまでの2.5Gと呼ばれる方式同様,W-CDMAを採用したFOMAでも,基本的に音声もデータも同じように運ぶシステムになっている。しかし,「音声とデータを同じように運ぶシステムは,データの量が少ないときは効率的。しかし,データの量が増えてきたときには特化したシステムのほうが有利」と小野寺氏は語る。

 携帯電話の第3世代サービスでもKDDIはIPに特化した方式を推進していく。「2006年にはデータは(2001年の)47倍までいくのではないか。データをいかに効率よく運ぶ仕組みを作っていくのかが重要になってくる」(小野寺氏)

KDDIの3Gはインターネット型

 第3世代携帯電話の特徴は,(1)固定電話と同等の通話品質(2)高速なデータ通信(3)国際ローミングの3つが挙げられることが多い。確かにNTTドコモでは,FOMAで初めてこれらの機能を実現した。

 しかしcdmaOneでは,「通話品質向上」「国際ローミング」に関しては既に実現済み。

 「高速なデータ通信」については,単に速いだけではだめで,安価なサービスを導入しないと受け入れられない。小野寺氏は「データトラフィックに特化したシステムを導入しないと,料金がなかなか下げられない」と従来のシステムの問題点を説明する。

 この“データに特化したシステム”として紹介されたのが,KDDIが2003年度中の導入を進めている「CDMA2000 1x EV-DO」だ(2001年7月の記事参照)。「EV-DOはEvolution Data Only。IPを使ったデータに特化したシステムだ」(小野寺氏)

 小野寺氏の主張を一言でまとめれば,「現在の3Gはもう古い。IPベースの無線通信ネットワークをどう安価に構築するかが最重要課題」ということになるだろうか。

 第3世代携帯電話の登場は単に通信方式が新しくなったことに留まらない。これまでと変わった要求を持つ,新市場での争いに戦場も移ろうとしている。

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関連リンク
▼ KDDI
▼ ケータイ国際フォーラム

[斎藤健二,ITmedia]

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