“個人ユーザー”に目を向け始めたFOMA

NTTドコモの思惑通りにはなかなか普及していないFOMAだが,個人契約が法人契約を上回るなど,一般層への普及の兆しが見え始めた。

【国内記事】 2002年4月10日更新

 渋谷の街を歩いていると,FOMAのキャンペーンに出くわした。説明員はカラーの小型パンフレットを手にFOMAの機能を紹介,数人の女性が立ち止まって熱心に耳を傾けていた。一般層への普及を目指し,ドコモも懸命だ。

 パンフレットは「さあ,FOMAでキメよう」というキャッチフレーズが目をひくお洒落な作り。「iモードやメール受信が高速化,映像や音楽のコンテンツの閲覧が可能でテレビ電話も楽しめる」などといったFOMAの特徴が分かりやすく紹介されている。流行に敏感な女性層を取り込むことで,契約者を伸ばそうという戦略のようだ。これまで法人層へのアプローチがメインであったFOMAも,一般層の取り込みに向けて動き始めていることがうかがえる。

 実際,契約者のプロファイルにも,変化が現れ始めているようだ。3月26日,モバイル関連のフォーラムに登壇したNTTドコモの野村秀樹常務取締役によれば,これまで法人契約が多いとされていたFOMAの契約者が(1月18日の記事参照),2002年の3月には個人契約者66パーセント,法人契約者34パーセントと個人契約が上回ったという。野村氏は,徐々にではあるが,FOMAが一般層に浸透し始めていることをアピール。「個人の契約者が増えてきたことに加え,女性層も若干ではあるが増え始めている」(野村氏)

 また興味深いのは,個人契約者が購入している端末。「カメラ内蔵でテレビ電話もできるビジュアルタイプがウケると思っていたが,実際に売れているのはスタンダードタイプ。(ビジュアルタイプの)単価が高いためかもしれない」(野村氏)。2月末の時点で,スタンダードタイプが68パーセント,ビジュアルタイプが25パーセント,データタイプが7パーセント(ドコモ調べ)という割合となっている。

FOMAの通話エリアがPDCと同じになる3年後が鍵

 野村氏は,通話エリアがPDCと同程度になる3年後が,ユーザーがFOMAに移行するチャンスと見ているようだ。  FOMAの課題といえば,やはり通話エリアとバッテリーの持ち時間。一般ユーザーはFOMAがアピールしている“技術的なすごさ”だけでは敢えてFOMAに乗り換えようとは思わない。今のiモード端末と同程度の通話エリアと電池の持ちを実現してこそ,新しい機能に興味を持つことができ,乗り換えも進むと予測される。

 ドコモもその点は考慮しており,あくまで過渡的なサービスだが,1つの電話番号でFOMAとPDC端末を使い分けできるデュアルネットワークサービスを今夏より提供する予定。「今年の7〜8月頃にはサービスを開始する」(野村氏)。サービス料金は未定だが「ちょっとした付加料金」ぐらいを考えているという。また,2003年にはFOMAとPDCを利用できるデュアル端末を市場に投入する予定だ。

 デュアルネットワークサービスが軌道に乗れば,エリアの狭さ,電池の持ちの悪さといった現時点でのFOMAの問題をカバーできる。

 さまざまな問題を抱えながらサービスインしたFOMAだが,PDCとの違いを感じさせないサービスの提供で,一般層へのアプローチを図り始めている。

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[後藤祥子,ITmedia]

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