FOMAの落とし穴──見えてこないコンテンツ

正直言って,FOMAを“高速にiモードが見える端末”と考えていたら大間違いだ。FOMAが発売されて約10日間。503iの代わりにFOMAを使おうと思っていた当ては,大きく外れた。

【国内記事】 2001年10月12日更新

 FOMAが発売されて10日間。“高速なiモード端末”として使えるものだと思い込んでいた筆者は,FOMAのiモードコンテンツの乏しさに愕然とした。実はそこには構造的な問題があるようだ。

 FOMAの問題としては,「リッチコンテンツを送受信するには料金が高い」(9月5日の記事参照)「キラーアプリケーションがない」(9月4日の記事参照)といったことが指摘されることも多いが,最大の不安は“iモードコンテンツ”にある。

FOMAはWin-Winの関係を築けるか?

 ドコモが常日頃語っているように,iモードの立ち上がりと成長を支えてきたのは各種コンテンツプロバイダだ。参入しやすく儲かる“Win−Winの関係”をドコモとコンテンツプロバイダが築けたからこそ,現在のiモードの繁栄はある。

 そんなコンテンツプロバイダ各社がFOMAに積極的にコンテンツを提供しているかというと,実は状況は厳しい。

 ドコモは「iモードに関していえば,FOMAは現行のiモードの延長上にある。何かが新しくなるわけではない」と幾度も説明している。この説明は一部は正しいが一部は誤っている。FOMAでは現行のiモードサイトすべてが同じように閲覧できるわけではない。

 実際のところ,コンテンツプロバイダはFOMAへの対応が必要だ。しかし,一部の大手を除くと「FOMAに対応させている余裕はない」と話すコンテンツプロバイダは多い。

 NTTドコモによると,現在iモードの公式サイトは約1914(10月1日時点)。FOMAの公式サイトはというと約1000サイト(9月17日時点)と約半分だ。

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iMenuのトップ画面。FOMA(左)では未だに「iエリア」は始まっていない

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「モバイルバンキング」-「都市銀行」のリスト。FOMA(左)と現行のiモードではこれだけの違いがある

 しかも“FOMA対応”を謳っているサイトでも,単に表示できるだけ……という場合もある。あるサイトでは「FOMA N2001」をモノクロ液晶端末と判断してしまうのか,出てくるグラフィックがモノクロだった(現在は修正されている)。

FOMAがマイナススパイラルに陥る可能性

 そもそもFOMAでは未だ動画配信も行われておらず,特徴的なアプリケーションといえばテレビ電話くらい。端末のコストも高く,FOMAならではのアプリケーションも用意されていない状況では,iモードに頼らざるを得ない。そしてユーザーも“高速なiモード”に価値を見出すはずだ。

 今,コンテンツプロバイダにとってはチャンス。多くの競合がひしめく現状のiモードと違い,FOMAには大きな市場を“ドコモが保証”している新天地のはずだ。

 それなのに,なぜコンテンツプロバイダはFOMAへの対応に乗り気でないのだろうか? 「FOMAはまだまだ台数が少ない。対応を考えるのは来年以降」。いくつかのコンテンツプロバイダは非公式ながらこう答える。

 FOMAの魅力を増し,契約者を増やしてくれるはずのコンテンツは,FOMAの台数が少ないがために取り組みを先延ばしにされている。これではFOMAはマイナスのスパイラルに陥ってしまう。

iモーションはどこまで期待できるか?

 もちろんこの状況は近く改善される可能性もある。期待されるのは,年内と発表されている,iモードサイトからの動画クリッピングサービス「iモーション」だ。MPEG-4を使った15秒程度の映像が,iモードサイト上から提供される予定になっている。

 多くの可能性が開けるiモーションならば,コンテンツプロバイダも雪崩を打って参入するのだろうか?

 残念ながら,これも微妙なところだ。短いものであれ動画には,従来のコンテンツとは比べられないほどの製作・運営コストがかかる。黒字のコンテンツプロバイダでも「広告にもお金をかけず,いかにコストを削減するかがiモードコンテンツで黒字を出す秘訣」と言い切る。

 月額300円という上限のある現在の課金システムでは,かなりの数の会員を獲得しない限り収益を上げるのは難しい。そして「公式サイトでも1万人以上の有料会員を抱えるのは50%程度」(ドコモ)なのだ(7月18日の記事参照)。

 月並みな言い方だが,ITバブルが崩壊し,携帯ビジネスの厳しさが認識されてきた今,各コンテンツプロバイダともすぐに収益に結びつかないFOMAへの進出は厳しい。その意味では,iモードのスタート時よりも状況は悪いとさえいえるかもしれない。

新しい仕組みが必要?

 こんな状況を打破するためには,ドコモは改めてコンテンツプロバイダとWin-Winの関係を作り出す必要があるのではないだろうか。“月額上限300円”という決まりが近く見直される動きもあるようだが,もっと多くをコンテンツプロバイダに還元しない限り,FOMAならではの魅力あるコンテンツは育っていかないだろう。

 コンテンツプロバイダの中には,「ユーザーは,自分たちにコンテンツの代金として払っている300円より,キャリアに支払っているパケット代のほうが高いのではないか」と納得いかない表情で語るところもある。

 FOMAで本当にリッチコンテンツが普及するなら,キャリアが得るパケット代も相応に高額になるはず。コンテンツによって増えたパケット代金の一部をコンテンツプロバイダに還元するくらいの思い切った手段が求められている。

 iモードコンテンツさえも満足に見られないFOMA。そしてこの状況が好転するきっかけは,いまのところ見えていない。

[斎藤健二,ITmedia]

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