スウェーデンでは携帯電話との連携も〜アノトペン商用化に本腰特殊な紙にデジタルペンで記入するだけで、情報のデータ化やデジタル機器への転送が行える「アノトペン」。日本での本格的な普及を目指し、コンソーシアムが設立された
紙にペンで書いた文字がデータ化され、デジタル機器に無線で転送される──昔からのインタフェースはそのままに、データをデジタル化して利用する目的で開発されたのが「アノトペン」と「アノトペーパー」だ(4月26日の記事参照)。 この技術を日本で普及させることを目的とした「アノトコンソーシアム」が8月27日、日立製作所、住友スリーエム、NTTコムウェア、大日本印刷ら10社の参加を得て発足した。
アノトコンソーシアム役員。左から特別顧問の小野欽司氏、副会長の釜江尚彦氏、会長の鈴木ルミ子氏。続いてアノトAB取締役兼アノト日本会長のChrister Johansson氏、アノト日本代表取締役社長の山輝雄氏
アノトペンとペーパーを使ったデモンストレーション。専用紙に書いた手書きのデータがペンに内蔵されたBluetooth経由でPCに転送される
日本での具体的な商用化モデルはまだ明かされていないが、アノトのお膝元のスウェーデンや、米国では商用化に向けた動きが始まっている。 PCに「インクつぼ」をUSB接続し、外出先でアノトペンで書いたデータをインクつぼを通してPCに送信する製品を提供予定なのが米Logitec。2002年第4四半期に製品を投入予定で2000の小売業者と契約、発売時にはそのうち500店舗に製品を供給する予定だ。 ほかにも米、伊、台の通信キャリアや米Microsoftとビジネス展開に向けた話し合いが進んでいると、Anoto AB取締役兼アノト日本会長のChrister Johansson氏は話す。 携帯電話とアノトの技術を組み合わせた実験が始まっているのがスウェーデン。Vodafoneが4月からテスト販売を開始したSony Ericsson Mobile Communications製の携帯電話には、アノトペンと専用ペーパーが付属、アノトペンで書いた電子メールアドレスをペンに内蔵されたOCRソフトで文字データ化して携帯電話に送ったり、手書きの絵や文字が入ったグラフィカルなショートメッセージを送信したりできる。 Christer Johansson氏によれば、このサービスの利用者は平均で1日3回グラフィカルなメールを送信しており、反応は上々だという。ほかにも携帯電話用のアプリを開発中で本サービス提供に向けて機能の充実を図っていく構えだ。
Vodafoneがテスト販売しているSony Ericsson Mobile Communications製端末とアノトペン、専用紙のセット
携帯電話対応の専用ペーパーには、電子メール用、メッセージ用などのエリアがある。OCRで自動認識させたい時と手書きの文字や絵をそのまま送る時とで書き込む場所が異なる アノトコンソーシアムの会長に就任した鈴木ルミ子氏によれば、日本の通信キャリアの関心も高く、Bluetooth端末を使った実験も既に行われているという。しかし、商用化については慎重だ。「スウェーデンでテスト販売された携帯電話のセットは10万円。これを現実的な価格で提供するためには、このインフラが普及しなければならない。日本ではまずB2B展開を図り、企業や団体がコミュニケーションのためにエンドユーザーに提供するという形で幅広く普及させてから、小売展開を考える」(鈴木氏)。
鈴木氏は、アノトソリューションを日本でより広く普及させるためには、技術の標準化やビジネスモデルの構築、マーケティングが重要だと話す。「まず製品の投入ありきという形では堅実な普及は見込めない」(鈴木氏)。 アノトコンソーシアム設立の狙いの1つは、この部分を担うことだ。日本の利用環境に合わせた標準化およびビジネスモデルの構築を進め、それに伴うマーケティングや技術面の問題をサポートする窓口の役割を果たす。参加企業は、アノトプラットフォームの構築に参画できるほか、事業化に向けた研究開発や情報の共有、ワークショップやトレーニングへの参加などのメリットがある。 Christer Johansson氏は日本での展開について、2003年上半期までには(アノトペン、アノトペーパー、通信インフラなどの)インフラを整備、2003年第2四半期には3つの商業的なプロジェクトを実現するというロードマップを示している。 関連記事電子政府の筆記具を目指すアノトペン Xmasには間に合います。Bluetooth対応の“アノト・ペン” “アノト・ペン”で郵便ポストがなくなる? オンラインショッピングも“ペン”で記入するだけ──Bluetooth対応「アノトペン」 Bluetooth内蔵アノトペンの仕組みは?──「アノトペン」 関連リンク アノト日本 [後藤祥子, ITmedia] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
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