Mobile:NEWS 2002年8月30日 01:49 AM 更新

ビジネスiアプリ入門(3)
待ち受けビジネスIMを作る

常駐アプリケーションの例として、ビジネスIM(インスタントメッセンジャー)を待ち受けiアプリとして作成することを前提に仕様決定を行う

 今回は、ビジネスに利用できる待ち受けiアプリを作るため、仕様を決定します。

常駐アプリケーションとは

 まずは常駐アプリケーションのイメージをつかむために、PCの常駐アプリケーションの特徴を調べてみます。

ソフト機能
メールソフトメールの受信・送信を行う
時計時刻の表示を行う
スケジューラ予定の管理と通知を行う
各種状態表示CPU使用率やメモリ使用率を表示する
IM(インスタントメッセンジャー)メッセージと状態のやりとりを行う

 これらを眺めると、常駐アプリケーションには次のような特徴があることが分かります。

高い使用頻度に対応できる 常時見ることができる 使用者に通知することができる

携帯電話に必要な常駐アプリケーション

 では携帯電話に求められる常駐アプリケーションとはどのようなものでしょうか。メールソフト、時計、スケジューラ、各種状態表示(バッテリー、電波)は、携帯電話の基本機能として既に実装されています。

 PCにあって携帯電話にない機能がIM(インスタントメッセンジャー)です。IMは、自分の状態(席を外しているかいないか、暇かどうかなど)を相手に知らせ、相手の状態を見てメッセージを送ることができるコミュニケーションソフトで、2001年4月時点で、日本でのべ300万人が利用者がいます(/news/bursts/0106/18/mediametrix.html)。コミュニケーションソフトの代表格であるメールと比較すると、以下のような性格の違いがあります。

IMメール
メッセージ即時(相手がオンラインであれば)遅延することがある
相手の状態確認×
手軽さ
プロトコルソフトによってまちまち共通
同報通信×

 このようにIMはメールよりも即応性、手軽さを追求しているため、より常駐アプリケーションに向いているいえます。また携帯電話の内蔵ソフトとして入っていないため、待ち受けiアプリとして作成する価値がありそうです。

 本連載ではアプリケーションとしてIMをベースとしたビジネスアプリを作成することにします。

ビジネスIMアプリの仕様

 では、早速アプリ作成に取り掛かります。まずは大まかに仕様を決めてしまいます。

 IMでは、状態を知らせたり、相手の状態を知ることができるという特徴がありました。ビジネス向けIMとしての状態リストと利用イメージを次の図のように考えます。


ビジネスIMの利用イメージ

 出社した時点で状態を仕事中に、お昼休みには休憩中に状態を切り替えます。その状態はメンバーすべてに通知され、各メンバーはほかのメンバーの状態を待ち受け画面で閲覧できます。

 IMのもう1つの機能であるメッセージ送信機能を用意します。ここでいうメッセージは相手先を指定して送信する点で、状態の変更とは違います。メッセージには定型メッセージを用意し、入力の手間を省くようにします。


ビジネスIMの画面イメージ

 待ち受けiアプリとしての内部的な状態は、以下の図のように、使用しないときは休眠状態で、定期的にタイマーにより非活性化状態にしてサーバと通信し、また休眠状態に戻るようにします。ユーザの操作により活性化状態に移行した場合、メッセージ送信や状態変更が可能です。


ビジネスIMの状態遷移図

ビジネスIMアプリの設計概要

 このビジネスIMを作成する場合、システムの概要はどのようになるでしょうか。iアプリの通信はiアプリをダウンロードしたホストとポートの組み合わせに限定されるという制限があります。このため、PC用のIMと違いP2P(ピアトゥピア)ではなく、クライアントサーバモデルとなります。次回はこれを元に詳細なシステムの設計と環境作りを行います。


ビジネスIMのシステム構成と情報の流れ

 今回はPCの常駐アプリケーションを挙げ、携帯電話に足りない機能を探すというアプローチを採りました。携帯電話に必要な機能、あったらよい機能を模索するというアプローチで、今までにない、まったく新しい常駐アプリケーションを考え出すのも面白いと思います。

著者紹介
福野泰介:UNI-LABO社長。イントラネットと携帯電話を、プロキシ認証と圧縮通信によって強固なセキュリティと通信費の削減効果を提供する「パケットセイバー」を開発。「半パケ」という名称でISP向けにも技術を提供、ニフティにも採用されている。



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[福野泰介, ITmedia]

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