Mobile:NEWS 2002年10月18日 06:42 PM 更新

携帯電話が単行本を生み出す媒体に〜新潮ケータイ文庫

携帯電話で連載小説を配信する「新潮ケータイ文庫」。新潮社では、小説雑誌のような「作品を生み出す場」としての可能性を探っている

 auとJ-フォンの公式サイトで「新潮ケータイ文庫」を展開する新潮社。画面サイズやメモリ容量の制限がある中で、携帯電話ならではの読書スタイルを模索しながら今後の可能性を探っている。

 WPC EXPOフォーラムのアジア・ケータイ・カンファレンス JAPANに登場した新潮社のパーソナル事業部次長、村瀬拓男氏が、ケータイで読書するユーザー層の現状と今後の課題について語った。


新潮社のパーソナル事業部次長の村瀬拓男氏

紙の本の読者層とほぼ同じ層が利用

 「新潮ケータイ文庫」は、au端末向けにはメールで(近日中にezplusに対応予定)、J-フォン端末向けにはJavaアプリの縦書きブラウザで新作小説を提供している。利用料金は月額100円。「携帯電話で本を読んでくれるのか」どうかは未知数だったため、敷居を低くするべく、「赤字覚悟」のこの価格に決まったという。

 村瀬氏が興味深く感じたのは、その利用者層。これまでさまざまなプラットフォーム向けに配信してきた電子書籍の読者層は中高年の男性だったというが、携帯電話の場合は「10代後半から20代、30代までに山があってピークは20代」(村瀬氏)。男女比も2対1で女性の方が多いのだ。


新潮ケータイ文庫の利用者層分布。現在、J-フォンとauを合わせた利用者総数は「1万人そこそこ」(村瀬氏)だが、会員数は順調に増えているという

 また、新潮ケータイ文庫の利用者にアンケートを取ってみたところ、好きな作家やジャンルも紙の読者とほぼ一致。「これまで紙の本の売れ行きと重なるところに届く電子メディアを持ち合わせていなかったが、携帯電話で初めてそれが重なった」(村瀬氏)。

 実はこのユーザープロファイルが同社の戦略上、大事なポイントになってくる。

なぜ、携帯電話で小説なのか

 新潮社が携帯電話で連載小説を配信する理由は、小説雑誌の低迷にあると村瀬氏。単行本や文庫本を出すためには作品を生み出す場が必要で、従来はそれを小説雑誌が担っていた。しかし、最近では小説雑誌が苦戦しており、年間数億円の赤字覚悟で出さなければならないという。携帯電話ならそれほどの投資も必要なく連載媒体としてやっていけるのではないかという考えだ。「(携帯電話での配信は)単体では赤字かもしれないが、そこで生み出されたコンテンツが単行本や文庫本として売れればトータルで商売として成立する」(村瀬氏)。ユーザー層が紙の層に近ければ、コンテンツを生み出す場として携帯電話を使う意味が出てくるというわけだ。

 携帯電話のメリットはほかにもある。携帯電話が既に普及しているため、小説を読むためにハードを買ってもらう必要がなく、公式コンテンツであれば、課金の仕組みもできあがっている点だ。また、携帯電話の中に蓄積されたデータをほかの端末に渡すための手段がほかのデバイスに比べて少ないため、「違法コピーも発生しにくい」(村瀬氏)。

過去のコンテンツを有効利用

 今後の展開について村瀬氏は、双方向機能の拡充と、過去のコンテンツの有効利用を挙げた。

 双方向性は、作者に読者の声をリアルタイムで届けるための仕組み作りだ。読者が作家にメールで感想を送れるようにはなっているが、よりよい形で作家にフィードバックできるようメニューを拡張していくという。

 過去のコンテンツを活かす試みも、星新一氏のショート・ショートなどを配信することで反響を探っている。「7000タイトルある」(村瀬氏)という文庫本の配信で、ユーザーの掘り起こしやコンテンツの攪拌(かくはん)を行う方針だ。



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▼ 新潮ケータイ文庫

[後藤祥子, ITmedia]

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