Mobile:NEWS 2002年11月1日 07:41 PM 更新

Mobile for KIDS
第5回 入学シーズンに売れるプリペイド携帯

プリペイド携帯は、月額基本料がかからず、一定の料金分以上は使えないことから子供に買い与える人も多いようだ。プリペイド市場を調査したところ、あの「J-D06"graphica"」がプリペイド対応するらしい

 プリペイド携帯は月額基本料がかからず、決めた額以上は使えないようにできるため、子供に買い与える人も多いと聞く。おもちゃ屋さんでも扱われている、プリペイド携帯電話市場を調査してみた。

おもちゃ屋さんのプリペイド携帯

 トミーの「ファーストモバイル」シリーズは、おもちゃ屋さんで買える「本物」の携帯電話だ。子供向けにデザインされたプリペイド式の端末は、キャリア別に商品が分かれている。ラインナップは4つで、「テルミー・キュート」(ツーカー)、「ミーツールベリー」(au)※、「プリピッチ」(アステル東京)、そして「me-J PINGU」(J-フォン)だ。

※ミーツールベリーは、auのデジタル方式であるため2003年3月末をもって利用できなくなる。現在この電話機を使っている人は、最寄のauショップなどで「CDMAぷりペイド携帯A1012KII」に無料で交換してもらえる


ツーカーの「テルミー・キュート」。オリジナルの起動画面に加え、タロット占いを搭載。Eメールの送受信も可能


アステル東京の「プリピッチ」。PHSならではの位置情報サービス「どこかな?サービス」を提供


「セガ ピートモ キッズPHS」。トミー以外からも子供向けプリペイドは発売されているが、認知度はいまひとつ

 数カ月で新機種が投入される一般の携帯電話に比べると、いずれもストレートタイプで少々古めかしいデザイン。最新のデザインにできないのは、新しい商品を開発するだけの販売実績を残せていなことによるものだ。「プリペイド携帯で折りたたみタイプをなかなか投入できないのは、1台あたり数万円の投資に対して、回収の見込みがないから」と、トミー、ガールズ・プリスクール企画部の菊池匡人氏は言う。

 電話機を買った人がプリペイドカードを10枚も20枚も使うというならまだしも、1枚や2枚で終わりなら、黒字にならない電話機を販売することになる。こうしたリスクを避けるために商品単価を高くすれば今度は売れないし、またおもちゃとしての低年齢層への普及も難しくなる。トミーでは新商品の開発について、「これまでに何度もキャリアとの交渉についているのだが、会議の席で前向きな意見が出ることはほとんどない」という。

 おもちゃプリペイドケータイが苦戦している理由は新製品投入の遅れだけではない。端末価格が安くなったことでプリペイドそのもののメリットが薄れ、そこに実際の利用者である子供や親の「本物志向」が追い討ちをかけている。おもちゃではない、本物の携帯電話へのニーズが高いのだ。

 本物のプリペイド携帯がコンビニやキオスクで買えるようになってからというもの、おもちゃ屋に携帯電話を買いに来るお客さんは減ってしまったという。

コンビニのオーナーに聞く

 プリペイド携帯の客層がコンビニに移ったという話を聞いて、現状を確かめるべく近くのコンビニへと足を運んでみた。話をうかがったのは神奈川県茅ヶ崎市で「ミニストップ」を経営する、オーナーの荒木照行氏。同店では現在、「C451H」(au)、「PT03S」(ツーカー)、「J-K03」(J-フォン)という、3機種のプリペイド携帯を販売している。

 それぞれの仕様と価格は次のとおり。

通信キャリアサービス名機種液晶形状EメールWeb価格
auぷりペイドC451Hカラーストレート×(※)×9800円
ツーカープリティPT03Sカラーストレート×9800円
JフォンプリカJ-K03カラーストレート×1万2800円(5000円カード付)

※ auのC451HはEメール対応だが、ぷりペイド契約ではEメールを利用することができない。これは後継のA1012KIIも同様だ。

 荒木氏によれば、同店では「平均して月に1台〜2台、多いときは1日で3台売れる」という。確認のために過去4週間の売上データを調べてもらったところ、J-フォンが2台、ツーカーが1台売れていることが分かった。このJ-フォン端末にはカメラは搭載されていないが、5000円のプリペイドが最初から付いていて手ごろな価格。auのCDMAプリペイドに関しては、PDCプリペイドからの無料交換が実施されていることもあり、CDMAプリペイドを「お金を出して買う人は誰もいない」という状況だという。

 一方、プリペイドカードの売れ行きを聞いたところ、次のようなデータを出してくれた。やはり過去4週間分の実績である。

キャリア金種枚数
ツーカー3000円11枚
au1000円7枚
Jフォン3000円5枚
au3000円3枚
ツーカー5000円2枚
Jフォン5000円2枚

 ここから分かるのは、プリペイド市場でのツーカーの強さと、高いカードは売れていないということ。筆者の友人にもツーカーユーザーがいるが、確かにプリペイド契約だったことを思い出した。auはPDC時代のプリペイドユーザーが、まだ相当残っているのではないだろうか。

 こうしたプリペイド携帯のユーザー層はどのあたりなのだろうか。「主婦や高校生もいるが、主力は中学生と小学生高学年」と荒木氏。中学3年ぐらいにもなると、「プリペイド携帯はいやだ」とハッキリ言い出すそうだ。

 プリペイド携帯が一番売れるのは、春先の入学シーズンで、中学や高校への入学・進学祝いとして親が買い与えるようだ。ここでも「プリペイド携帯を買うのは女の子が多い」といい、奇しくも先に調査したハイテクおもちゃと同じ傾向を見せていた。

本物のプリペイドを求めて

 コンビニ以外でプリペイド携帯を買うなら、通信キャリアのショップに行くのがよさそうだ。量販店でも「さくらや」など一部扱っているところはあるが、欲しい機種が在庫なしだったり、そもそも扱っていなかったりと無駄足になる確率が高い。しかしショップの場合でも、必ず買えるというわけではないらしい。特にドコモの場合は、価格もバラバラで事前の調査をしっかりした方がよさそうだ。

 10月後半に、東京の渋谷周辺でNTTドコモのぷりコール「ムーバP651ps」の価格を調査したところ、3店舗で1万7800円から2万円と違いが見受けられた。

 また、J-フォンはプリペイド携帯の在庫が切れたらしく、全ショップにて取り扱いを一時中断したという。11月1日現在の情報によれば次機種には、あのスタイリッシュなカメラ付き端末「J-D06」(6月4日の記事参照)が選定され、早ければ11月上旬に発売される予定だ。価格は1万4800円で、5000円分のカードが含まれている。

※J-フォンによれば、プリペイド対応の「J-D06」は、写メール・Javaアプリ、ロングメール、Web、ステーションには未対応で、今後の対応は未定とのこと

 ちなみに、J-フォンは東海地区限定のプリペイドサービス「Pj」で、すでにカメラ付き携帯を投入している。また本文に登場するサービス名称も、関東地区で提供されているものを取り上げているので、地域によって事情が異なる場合がある。



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[鈴木晴代 & 江戸川, ITmedia]

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