Mobile:NEWS 2003年2月4日 06:25 PM 更新

ケータイ技術研究所
第8回 NEC端末、ヒンジの秘密

携帯電話のブランドシェアでトップを走るNEC。折りたたみ式携帯電話を最初にリリースしたNEC端末は、ヒンジ部の構造にこだわることで独特のクリック感と吸い込み感を実現している

 ヒンジといえば、「NECが一番」という声を耳にすることが多いが、一体NECのヒンジは何が優れているのか? NECでヒンジの設計に携わっているエンジニアに話を聞いた。

ケータイ技術研究所は、雑誌『iモードスタイル』(ソフトバンク パブリッシング刊、毎月23日発売)との共同企画です。


◆第1回 液晶が最も明るい端末を探せ
◆第2回 着メロが最も大きい端末を探す
◆第3回 iアプリ最速の端末は?
◆第5回 最強のiショット端末を探る
◆第7回 電池のもちがいいiモード端末を探る

折りたたみケータイの先駆者「NEC」に、ヒンジ開発を聞く

 NECのヒンジが他社製品と大きく異なるのは「音」と「吸い込み感」である。ケータイを開いた時、あるいは閉じた時に発する「カチッ!」という独特の重い音は、NECのケータイに特有のものである。

 「クリック音と呼んでいるのですが、最初の折りたたみの製品(ムーバN)から首尾一貫して、すごく大事にしている要素です。ジッポのライターを開ける音とかベンツのドアの音とか、みなちょっと違いますよね? それと同じように、音にはこだわっています」(NECモバイルターミナル事業部の永井道生技術課長)というその音、「音質というか音色、まぁそこまで行かないかもしれませんが、高級感のある音を出すために、材質を変えたり、ちょっと構造を変えてみたり、といろいろこだわっています」(埼玉日本電気 技術部の小林文幸主任)という。

 もう1つの特徴が吸い込み感。「途中まで閉めると、後は手を離しても自動的に吸い込むというよう閉じるという機構も、最初のものから最新のものまで搭載しています。この吸い込み感がいいという方も多く、こだわっている点の1つです」(永井氏)という。

 「N504i」の場合、開く角度が30度から120−130度あたりまでの範囲は「フリーストップ」と呼ばれ、任意の角度に固定ができる仕組みだが、これより少ない場合は吸い込むように閉じられ、逆にこれより開くと自然と全開状態の160°に固定される。

 「蓋を持った状態で本体をぶら下げても、自重で開かないようにしています。他社製品では、使っていくうちにだんだん開いていくいう話を聞いていますが、そうならないようにしています」(永井氏)という。

 当然ながら耐久試験で、十分な耐久力と強度を持つことを確認している。具体的な数字はヒミツとしながらも、ヒンジの想定する開閉回数は「ウン十万回」(小林氏)だという。ちなみにこの数字、「普通の買い替えスパンは3年くらいだと思うのですが、中には5年くらい使われるお客様もいらっしゃるので、それに耐えられるだけの寿命を持たせています」(永井氏)との話だ。ちなみに「N206S」「N501i」以降の製品は、内部のフレームにマグネシウムを採用しており、強度の確保に大きく貢献している。


左上は初代のムーバN。ヒンジ部は左右に分かれているが、内部はバラ部品を組み合わせたもので、生産性が悪かった。そこで「N206S」では右下のモジュール化されたヒンジを採用、大きく生産性を向上させた。その後、「N207S」以降で使われているのが右下のヒンジ。大きさはφ6.2ミリで、これを携帯の左右からはめ込む構造だ。このヒンジ、内部は7点のパーツだけで構成され、音と吸い込み感、フリーストップ構造をこれ単体で実現している


開いた状態で押されても折れないよう、ムーバNは180度まで開く構造だった。だが耳に押し当てた際に180度まで開いてしまうことがあり、今は160度までで止め、それ以上押された場合はボディのしなりで吸収する

今後のヒンジはいろいろなスタイルを提案してくれる

 Nシリーズの携帯電話は、左右分割したヒンジを外側から挿入して留める方式を採用している。「内部に、蓋と本体を電気的に接続するフレキシブルプリント板というものがありますが、この構造上、ヒンジの左右分割が一番いいわけです。また、生産量がこれだけ多いと、やはり生産性も非常に重要な要素。これも考慮すると現在の構造が、現時点ではベストだと思います」と小林氏は話す。

 「ヒンジの構造は、むしろ商品の思想によって影響を受けます。ですから、使い方が変わらなければ、折りたたみの構造も変わらないと思います」(永井氏)。逆にいえば使い方が変われば新しい構造になることもあり得るというわけだ。「FOMAの場合、ビジュアルタイプだけでなく、スタンダードタイプでもテレビ電話はつきますので、その意味では変わってくる可能性はあります」(永井氏)という。

 例えばFOMAなら、松下の「P2102V」のような2次元可動タイプが既に発表されているし、三洋のスライド式とかNokiaのスイングタイプなど、これまでにない構造の製品が発表されつつある。

 こうしたものについても「試作的なことは、いろいろやっています。どんな商品企画がきても対応できるようにしたい」(小林氏)という。ただしその際にキーワードになるのは、やはりクリック音や操作感なのだそうだ。


「FOMA P2102V」。この構造自体はビデオカメラの液晶ファインダーなどで既に実績があるが、やはり強度を持たせるのが難しいという。ちなみに「やはり同じことはやりたくないですよね」(小林氏)とのことで、仮に似た製品が出るとしても、ヒンジの構造はこれと異なったものになりそうだ


テンキー部がスイングして、フルキーボードになるという「NOKIA 6800」。今年第1四半期中に発売が開始される予定だ。対応する通信規格はGPRSなので、残念ながら日本で発売の予定はない。この製品の場合、テンキー部の両端にヒンジが埋め込まれる構造になっている
三洋が展示した(2002年10月1日の記事参照)、au向けのスライド式携帯電話。こうなるとヒンジとは構造がかけ離れてくるが、可能性の1つではある。ちなみに同社、昨年10月には複雑な構造をもったさまざまな3G端末のコンセプトモックを展示するなど(2002年10月2日の記事参照)、新しい構造には意欲的である



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[大原雄介, ITmedia]

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