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2002年6月21日 10:05 PM 更新
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504iを解剖する(4)
iアプリ最速の端末は?
恒例のiアプリベンチマークを、各504iで計測。503iの時と同じく、機種によって速度に相当大きく差がつく結果となった
NTTドコモの504iシリーズの中で、iアプリの動作速度が高速なのはどれか。ZDNetでは、iアプリ開発に携わる企業の協力の元、ベンチマークを実施。504i各端末のiアプリ実効速度を計測した。
速度トップは「P504i」と「F504i」
ベンチマークテストは、Javaの各命令を実行させてかかった時間を計ることで行った。テスト項目は大きく分けて3種類。数値演算などを中心とした「Java VM」、グラフィックス描画を中心とした「Graphics」、iアプリが利用する固有の保存領域であるスクラッチパッドとのデータのやりとりを中心とした「I/O」である。
各命令の実行にかかった時間を合計し、機種ごとに並べたのが以下のグラフだ。
Java VMテスト結果
テストの詳細についてはこちらのグラフを参照
Java VMのテストで最も高速だったのは、ツインCPUを搭載する(5月30日の記事参照)「F504i」だ。2位の「P504i」よりも3倍以上高速な値をたたき出した。「VM基本機能トータルではF504iがかなり高速。まんべんなく速い」(iアプリに詳しい開発者)。
Graphicsテスト結果
テストの詳細についてはこちらのグラフを参照
続いて、ゲームなどを高速動作させるのに欠かせない、グラフィックス描画のテスト。ここで圧倒的な速さを見せたのは「P504i」だ。2位の「F504i」より3倍近く速い。先の開発者によると、「グラフィックスではP504iがかなり高速。F504iはラインの描画は速いが、斜めのラインは遅い」という
I/Oテスト結果
テストの詳細についてはこちらのグラフを参照
スクラッチパッドの読み書きやGIF、MLDファイル(メロディファイル)などのリソースの読み込みに関わるのがI/Oの速度。ここで速かったのも「P504i」だ。F504iも多くの場合で高速だが、「リソースからのMLDの読み込みが他機種と比べて極端に遅い」(開発者)ため、2位という結果になった。
ベンチマークをトータルで見ると、「P504i」と「F504i」が他機種に比べてかなり速い。この2機種に、「SO504i」「D504i」「N504i」という順で続く。503i時に速かった“SO”や“N”はそれほど振るわなかった(2001年3月の記事参照)。ただし「503i時と比べるとどの機種も速くはなっている」(同)
この結果は、“どのようなiアプリか”によっても変わってくることに注意してほしい。画面描画がほとんどなく、数値演算ばかりのiアプリならJava VMの速度が重要になるだろうし、グラフィックスに凝ったゲームなら描画速度だけでなく、スクラッチパッドからの読み込み速度も重要になるだろう。
待ち受けiアプリには、起動速度も重要
Javaの各命令の速度とは別に、504iではiアプリの起動速度も重要になる。504iの特徴でもある「待ち受けiアプリ」は、メールやWebを立ち上げるといったん終了し、作業が終わると再起動するという仕様になっているからだ。
Java VMから再起動が行われるのは各機種同様のようだが、その動作は少しずつ違う。「F504i」は通常の待ち受け画面が一瞬表示されて、待ち受けiアプリが起動する。その際、「F504iは待受け起動が極端に遅い」(iアプリに詳しい開発者)だけでなく、iアプリが起動し終えるまではほとんどの操作を受け付けない。唯一、電源ボタンでアプリ起動を終了できるが、終了直後に再起動される。
「N504i」は、待ち受け画面に戻ってから数秒後に待ち受けiアプリの再起動が行われる。再起動中でも各種操作を受け付けるため、利用にストレスはない。ただし、待ち受けiアプリの活性化ボタンが独立しておらず、決定ボタンの長押しなのには注意が必要だ。
「SO504i」は通常のiアプリの起動はそれほど速くないが、待ち受けiアプリの再起動はかなり高速。待ち受け画面に戻るとすぐに再起動が始まるが、再起動中も各種操作を受け付けるため、待ち受けアプリの起動を意識する必要はあまりない。
「P504i」はとにかくiアプリ起動が高速。待ち受けiアプリの再起動も速く、快適に利用できる。ただし「P504iはアプリ終了が極端に遅い場合がある」(同)のはちょっとした弱点だ。ほかの機種では、電源ボタンを押すことで瞬時に終了するが、「P504i」では「終了しています」というダイアログが出る場合がある。
【動画】「P504i」「F504i」「D504i」「N504i」で、「ソニックカフェ」提供の「ぷよぷよ」を起動してみた。起動速度の違いが分かる。なお、アプリによっても起動速度は異なるので、あくまで参考として見てほしい(MPEG-1・2.6Mバイト)
各504i端末のJava基本スペックは以下の通り。
型名 | D504i | F504i | N504i | SO504i | P504i |
iアプリ保存件数 | 17〜200 | 12〜100 | 15〜45 | 15〜30 | 20〜200 |
内蔵iアプリ | 1件 | 9件 | 3件 | 3件 | 3件 |
iアプリフォルダ | − | ○ | − | − | − |
ヒープ容量(Javaヒープ/ネイティブデータヒープ、Kバイト) | 1024/524 | 1000 | 544/600 | 1000 | 1500 |
「D504i」のiアプリはほかのデータと保存領域を共有。ほかのデータの容量によって、保存件数が変化する。各端末とも、保存件数はiアプリのデータ容量によって変化する
この企画は、雑誌『iモードスタイル』(ソフトバンク パブリッシング刊、毎月23日発売)との共同企画です。今回のテストでは、携帯向けJavaプログラミングに携わる企業の協力の元、各504i端末でベンチマークソフトを動作させ、速度を計測した。各ベンチマークの単位はミリ秒となっている。(注)「N504i」では100ミリ秒未満は切り捨てられる |
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[九条誠二, ITmedia]
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