Mobile:NEWS 2003年4月10日 09:04 PM 更新

QVGAで止まらない〜携帯液晶の次

もはやQVGA液晶はハイエンド携帯のスタンダード。しかし高解像度化の流れは止まらず、次はCIFサイズ(352×288)になるという。26万色に達した発色は、続いて色再現性アップを目指す。EDEXで、携帯液晶の“次”を聞いた

 505iシリーズは、携帯の液晶にとっても転換期となる端末群といえそうだ。これまでも東芝「J-T08」(2002年11月の記事参照)やシャープの「J-SH010」(3月18日の記事参照)など、QVGA対応液晶を搭載した端末はあったが、シリーズ共通仕様としてQVGAを搭載したのは505iが初めて。

 しかし、液晶の進化はこれで止まるわけではない。電子ディスプレイの専門展示会「EDEX2003」で、携帯向けディスプレイの今後の動向を聞いた。

写真表示の強化、動画への対応

 携帯向け液晶の進化が続く理由は2つある。1つは「写真を綺麗に表示する」ため。内蔵カメラの画素数が上がる中、表示デバイスである液晶も「どんどん画像を映す用途が増えてくる」(セイコーエプソン)からだ。

 もう1つは動画への対応だ。携帯自体で動画を撮影できる機種が増えるだけでなく、2003年末の開始が予定されている地上デジタル放送への対応を睨む。「プラスアルファの機能として携帯テレビ」(シャープ)。


「地上波デジタル放送」の受像器として、据え置きテレビだけではなく、自動車内、携帯テレビ、携帯電話などを想定するシャープ。それぞれに対応する液晶を展示した

QVGAがスタンダード。次は“CIFサイズ”へ

 液晶の解像度については、各社とも「やはりQVGAがスタンダード」と口を揃える。低解像度品を展示したメーカーもあったが、用途はカラー液晶が立ち上がってきた海外向けとする。

 そしてハイエンド向けには各社ともさらなる高精細化を目指す。いち早くQVGA液晶をリリースした東芝松下ディスプレイテクノロジーは「(携帯内蔵の)カメラがXGAまで上がると、(液晶も)さらに高解像度が求められる。次はCIFクラス」と話す。

 CIFはテレビ会議システムの規格で規定されたもので、サイズは352×288ピクセル。320×240のQVGAよりも一回り大きい(2002年8月の記事参照)。

 ドコモのiショット(L)がCIFサイズであるほか、動画コンテンツにはCIFサイズが使われることが多い。また、11万画素のカメラで撮影できる最大サイズがCIFであり、画像や動画を扱う場合、CIFサイズの液晶は相性がいい。

 EDEXでは、CIFサイズの携帯向け液晶を展示したメーカーはなかったが、各社が「さらなる高精細」が次の取り組みと話していた。


QVGAサイズは、従来主流だった120×160ピクセルを縦横2倍に拡大したサイズになる。CIFは、現在の携帯電話に多い、144×176ピクセルを、縦横2倍にしたサイズ。写真左はシャープが展示した2.4型QVGAサイズのCGシリコン液晶。右は東芝が展示した2.2型QVGA液晶

サイズは2.4型〜狭額縁化も限界?

 毎年拡大を続けてきた液晶の大きさは、「2.4型でいったん止まる」(東芝松下ディスプレイテクノロジー)という見方が強い。

 それは携帯電話の横幅がこれ以上大きくできないからだ。現行の携帯電話は最大でも横51ミリ。しかも「4対3の縦横比は崩したくない」ため、2.4型が限界の大きさとなる。最新機種では、「J-SH010」「N505i」「SH505i」などが2.4型液晶を採用している。

 従来は額縁(液晶の枠)をどんどん狭くすることで、端末の横幅を変えずに大型液晶が搭載できた。しかし、低温ポリシリコン化が進む今では額縁は2ミリ程度しか残っていない。「(2.4型は)今までのきょう体に入る最大」(シャープ)。

色数は26万。次は“色再現性”を上げる

 色数のほうは「流れとしては26万だ」(シャープ)。各社の技術者も「6万5536色以上にしても、並べてみなければ目視で違いは分からない」とするが、ハイエンド品は軒並み26万色表示とする。

 色数よりも課題となっているのが、色再現性の向上だ。写真画質の向上のためには濃い色を出すのが必須。現行の液晶はNTSC比で30%程度が多いが「今後、50%は超える」と東芝松下ディスプレイテクノロジー。

 色再現性の向上には、基本的にはカラーフィルタを厚くし、透過率が落ちて暗くなった分をバックライトの追加で補う。「(色再現性は)消費電力とのトレードオフだ」(日立製作所)。しかし東芝松下ディスプレイテクノロジーのように「暗くならないようにガラスの調整で色再現性を増すことができる」と話すところもある。

 ただし、色合いの統一はなかなか難しそうだ。現在、同じカメラで撮っても、A社の液晶で見るのとB社の液晶で見るのでは、色合いが異なる。「各社、色作りにこだわりがある。統一は難しいのではないか」(東芝松下ディスプレイテクノロジー)。


左はセイコーエプソンが展示したNTSC比50%を達成した「Crystal Fine液晶」。右は東芝が展示したNTSC比の図版。東芝はNTSC比60%の液晶も展示した

動画対応の課題は消費電力

 動画への対応で課題となるのは消費電力だ。MPEG-4動画が再生できる「FOMA P2102V」などで動画を連続再生できる時間は2時間程度。“携帯でテレビ”を実現するには「省電力化が問題」(シャープ)。

 しかし、この点で液晶が貢献できる部分はそれほど多くない。液晶自体の消費電力が数ミリワットなのに対してバックライトが100ミリワット程度の電力を喰うからだ。シャープは「いくら液晶が頑張っても、バックライトが入っている限り……」と嘆く。

 では、バックライトを必要としない反射型の液晶はどうか。屋外での利用も多い携帯電話では、外光も利用する半透過型液晶が多いが、反射率を上げるほど色再現性が悪くなる。「若干、反射を入れただけで色がくすむ。顧客からも反射は全く要望がこない」(シャープ)のが現状で、半透過型も透過率をアップさせ、ほとんど反射しない方向にある。

 どちらかというと長時間の動画を楽しむには、液晶以外の部分での省電力化が必要なようだ。東芝松下ディスプレイテクノロジーによると、「MPEG-4をデコードするICは400−500ミリワット」。各社、低消費電力化に努めているが、液晶よりも低消費電力化の効果があるようだ。



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[斎藤健二, ITmedia]

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