176×220からQVGAへ。高解像度化進む携帯液晶サイズ,色数の競争が一段落した携帯向けディスプレイでは,解像度の向上が今後の注目点。「EDEX2002 電子ディスプレイ展」では高解像度液晶が多数展示された。2003年までには,各社200ppi程度のQVGA液晶を投入する見込みだ。
2002年後半は,176×220ピクセルの解像度へ。年末にはQVGAへ向かう──東京ビックサイトで4月16日から開催されている「EDEX2002 電子ディスプレイ展」では,携帯電話向け液晶ディスプレイが主役の1つを占めた。その中で目立った次世代携帯ディスプレイの方向の1つは“高解像度化”だ。 セイコーエプソンは,176×220ピクセルの2.2型のMD-TFD液晶を展示。間もなく登場する端末に搭載が予定されているものだ。東芝松下ディスプレイテクノロジーや,NECも176×220ピクセルのTFT液晶を製品化している。 これまで携帯電話向けのディスプレイは,120×160ピクセルが主流だった。それが画素数的にほぼ2倍の176×220ピクセルとなるのは,「QCIFサイズの画像を横に置ける」(NEC)という理由があるという。
QCIFはITUで規定されているフォーマットで,176×144ピクセル。動画配信などで標準的に用いられており,例えばKDDIのezmovieではQCIFの動画サイズをサポートしている(1月21日の記事参照)。
2003年にはQVGAに高解像度化は176×220ピクセルに留まらない。各社で目立ったのは,QVGA(240×320ピクセル)の解像度を持った,携帯向け液晶だ。 エプソンは“200ppi”をうたう高解像度液晶を展示。MD-TFD方式でQVGAを実現している。「2003年頭くらいには量産する」(エプソン) 東芝松下ディスプレイテクノロジーは,2.2インチの低温ポリシリコンTFTで,QVGAを実現した液晶パネルを参考出展。2002年の10月頃には量産を開始するという。日立製作所も低温ポリシリコンTFTを使った2.2インチQVGAパネルを参考出展した。
各社が2.2インチという小さなサイズでQVGAを実現してくるのは,「(期待していた)PDAの市場があまり伸びていない。携帯電話でPDAの機能が動作していくのではないか」(東芝松下ディスプレイテクノロジー)という予想があってのことだ。 「マーケットのタイミング次第だが,来年にはQVGAモデルを投入したい」と日立。シャープも「CGシリコン液晶から高解像度化(QVGA)を進める」と語る。 QVGAの実現には,マーケットの要求のほかに技術的な革新も関係している。近年注目が集まる低温ポリシリコンTFTは,ドライバなど各種回路をガラス上に集積できるというメリットのほかに,高解像度化がしやすいという特徴がある(2001年10月の記事参照)。 東芝松下ディスプレイテクノロジーは,「2002年末の段階であれば,コストも現状の液晶と同じくらいでQVGAを実現できる。低温ポリシリコンTFTのメリットがようやく生きてくる」と語る。 現在MD-TFD液晶を携帯向けの主力とするエプソンでも,「200ppiより高解像度のものは低温ポリシリコンTFT,それ以下はMD-TFDと切り分ける」と言う。 これまで携帯向け液晶の進化は,サイズの拡大と色数の増加が中心だった。しかしこちらは2.2インチ26万色で,ひとまずは落ち着きそうだ。今後は,高解像度化が携帯向けディスプレイの注目点になっていくようだ。
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