Mobile:NEWS 2003年6月27日 02:21 AM 更新

「ポータルメニュー頼り」神話の克服〜ドワンゴの小林宏社長

着メロサイトとしては後発組ながら、今やiモードメニューの第4位にまでのし上がったドワンゴの「40メロミックス」。成功の秘訣は、着メロの持つ特性分析に基づいたマーケティング戦略にある。

 ドワンゴの着信メロディサイト参入は、37番目と後発だった。後発組がのし上がるのは難しいといわれる中で着実に会員数を伸ばし、今や「40メロミックス」は、J-POPカテゴリで第4位の会員数を持つまでに成長した。

 ドワンゴの小林宏社長がモバイル・コンテンツ・セミナーの講演で、「後発組成功の秘訣」を語った。

「キャリアポータルメニューの上に載らなければ」神話の克服

 着信メロディ市場がなぜここまで成長したのか──。そのポイントとなるのは、着メロが持つ2つの特性だと小林氏。1つは話のネタとして使われる「コミュニケーションツール」としての特性、もう1つは持ち主のアイデンティティを表す「ファッション」としての特性だ。

 「これらは人の本質的な欲求」だと言う。ドワンゴは、この特性を生かしたコンテンツ作りに集中してきた。流行の音楽を着メロとして提供するだけでなく、話題に上った芸能人の着信ボイスや季節に合った着信音などもリアルタイムで配信。ほかにも携帯電話をテーマにしたテレビやラジオ番組の提供や、Gackt氏を使ったCMやグッズ制作を行うなど、口コミにつながるネタを提供することで、ユーザーへの認知を図っている。

 こうした戦略は多くのコンテンツプロバイダが気にかけている「キャリアポータルメニューの上に載らなければ」という神話の克服にもつながるという。サイトオープン当初にはユーザー同士の話題になる企画を立て、口コミ効果を狙ったプロモーションを展開。その中の1つが他キャリアユーザーにも着信メロディをプレゼントできる機能だ。その効果で得られた収入を今度は雑誌広告に投入、その後も収入に見合ったプロモーションを展開し、地域CM、全国CMへと拡大していった。

 そのCMも口コミになりやすいよう、インパクトの強いものを制作している。等身大の「Gackt抱きマクラ型ストラップ」(2002年7月23日の記事参照)を抱えた女性が街を闊歩するCM(2002年6月7日の記事参照)では、CM中のせりふを着信ボイスとして配信、抱きマクラ型ストラップは期間限定のショップで販売され、CMのような光景が街中で見られた(2002年8月23日の記事参照)。

価格競争は業界の自殺行為

 また小林氏が着信メロディ市場の特性として挙げたのは、流通業としての性格を強く持っている点。CDやカラオケなど、既にあるものを加工して配信する業態のため、「既存コンテンツホルダに新しい収入の道を開いた」。そのため、コンテンツホルダにいかに収入をもたらすかが重要だという。

 過当競争に入っている着メロサイトが抱える問題の1つは、安売り競争。小林氏は「アイデンティティやファッションに安売りはない」と、差別化のための低価格戦略には否定的だ。「ユーザーは安さにひきつけられるかもしれないが、安売りを求めてはいない」。

 安売りは差別化のための付加価値を開発するコストを確保できなくなるうえ、コンテンツホルダへの還元も減る。ひいては市場の衰退をもたらす──というのが小林氏の考え。コンテンツプロバイダの役割は、コンテンツホルダから提供された素材に、いかにユーザーにとって魅力的なファッション性やコミュニケーションツールとしての付加価値付けをできるかだといい、「金をかけてでもいいものを作れば、ユーザーはそれに対して対価を払う」。それがコンテンツホルダへの還元につながり、好循環を生むのだという。

 競争が多いサイトの中での差別化は、「話のネタになる付加価値を技術で付ける」ことで可能だとも。ドワンゴではユーザーが曲調や音をカスタマイズできる「アレンジ機能」、選んだ曲を4曲つないでメドレーにする「メドレー機能」、歌詞を変更する「替え歌機能」、ステレオスピーカー搭載端末で3Dサウンドを鳴らせる「3Dサウンド機能」(6月4日の記事参照)などを提供している。

着メロは総合エンタテインメントに

 携帯コンテンツのあるべき姿として小林氏が挙げるのは、1)コンテンツホルダとの共生 2)携帯コンテンツのメディア化 3)総合エンタテインメント化の3つだ。

 コンテンツホルダが本来の市場で売り上げを伸ばせる仕掛けとしてドワンゴは、アーティストとのタイアップによるコラボレーションCMを作成した。Hyde氏の新曲発売1カ月前からCMを流し、着信メロディを配信、アーティストの露出と着メロ会員増という双方の相乗効果を狙った。その結果6月4日のCD発売日には、Hyde氏の曲がオリコン1位を獲得、「コラボ効果も一部あったのでは」と小林氏は振り返る。

 また「メディアとして認められるのは100万が目処」といわれる中、その地位に携帯コンテンツを近づけようとする試みも進行中。ここで挙がったのは「着RAP」で、小林氏が「初めてメディアとして力を持ったコンテンツ」として期待している部分でもある。日本のHipHopアーティスト「キングギドラ」の着ラップはトータルで100万ダウンロードを記録したという。6月13日からはテレビCMとのタイアップで「ZEBRA」の着RAPを配信している。

 「コミュニケーションの活性化」「複数ジャンルコンテンツの連動」という流れが携帯コンテンツの総合エンタテインメント化につながっていくことを小林氏は期待。それがひいてはユーザー、コンテンツホルダ、コンテンツプロバイダのWin-Win関係を構築できるという考えだ。



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[後藤祥子, ITmedia]

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