Mobile:NEWS 2003年7月2日 06:06 PM 更新

カメラがもたらす“携帯にUSB”

携帯とプリンタをUSBケーブルで接続して即、プリント。携帯と携帯をUSBでつないでデータ転送。携帯電話にUSB OTGが搭載されることで、そんな世界が実現する。追い風となるのは、高画素化が進むカメラだ。

 多機能化する携帯電話の外部接続端子として、今後USBが注目を集めそうだ。追い風となるのは、内蔵カメラの高画素化である。

 「PCとつないでデータをやり取りするだけなら、既存のシリアルでもつなげる。USBくらいの転送速度を欲しがるのは、画像や音楽データ」

 そう話すのは、セイコーエプソンIC営業推進部IC営業技術グループの木村利夫課長だ。携帯電話へのUSB搭載は従来から検討はされていたが、メガピクセルカメラの登場で、撮影した画像を印刷するという消費者の利用シーンが見えてきた。

 同社は、携帯電話などの携帯機器向けのUSB On-The-GoコントロールLSIを開発。今年9月の量産に向けて、携帯機器のUSB化に期待している。このUSBコントローラ「S1R72015」は、On-The-Go 1.0(OTG)版に準拠したもの。従来機種に比べて6×6ミリと小型化し、動作時70mW、サスペンド時0.1mWと省電力化も果たした。

 USB OTGとは、PCなしで直接USB機器をつなぐための規格だ(2月12日の記事参照)。従来のUSBはデバイスとPCを接続する必要があり、「PCなしでは、直接データ転送ができなかった」(同社電子デバイス営業本部IC営業推進部IC営業グループの井出直樹主任)。USB OTGによって、例えばデジカメとプリンタをUSBで接続し、直接プリントアウトできるようになる。

 携帯電話にUSB OTGコントローラが搭載されれば、携帯とPCの接続はもちろん、携帯電話同士、携帯電話とプリンタ、デジカメと携帯電話といった機器をUSBケーブルで接続できるようになる。USB OTG自体は「ホスト機能、スレーブ機能を自動的に切り替えられる機能」(井出氏)というもので、接続する機器は必ずしもUSB OTGに対応している必要はない。つまり、既存のプリンタとUSB OTG対応の携帯電話を接続できる。


携帯電話にUSBが搭載されることで、接続できるようになる機器(エプソン資料より)

新しい外部インタフェース必要とする、メガピクセル

 数ある外部接続インタフェースの中で、USBが優れているのは、速度と汎用性だ。

 現在の携帯電話の標準的な外部インタフェースであるシリアル(充電コネクタを差し込む端末のお尻のピン)は、通常190Kbps程度の速度しか出ない。これでは、1枚250Kバイト程度のメガピクセル画像を転送するのに、10秒以上かかってしまう。これがUSBであれば数十倍の12Mbpsとなり、ストレスなく転送が行える。

 ドコモが標準搭載を進めている赤外線や、今後の搭載が期待されているBluetoothはどうか。スピードが1Mbps程度とUSBに比べて遅いのに加え、「無線でやると、シェイクハンドしているのかどうか分からない」(井出氏)という弱点がある。

 現在のメガピクセルカメラの多くが搭載している外部メモリカードは、汎用性を考えると「こっちはCF、こっちはSD、こっちはメモリースティック。共通のものとなるとUSB」(井出氏)という見方もある。

 木村氏はメモリカードとUSBは両立すると考えるが、「メモリカードの場所を取りたくないというメーカーもある」と話す。キャリアやメーカーによって温度差はあるが、「メモリカードだけで十分」という端末メーカーがある一方、「使い勝手を考えたらメモリカードよりUSBを優先すべき」というメーカーもある。

 USB OTGでは特別なケーブルを使うわけではなく、miniA/miniBの両方が刺さるコネクタが用意されている。標準規格ゆえに既存の安価なケーブルが利用でき、専用タイプで1万円近い価格だったシリアルケーブルに比べてユーザーが導入しやすいのもメリットだ。

携帯機器でUSBを動かす難しさ

 ただし、携帯電話でUSBを動かすのはそう簡単なことではない。「USBのプロトコルはPCを前提に発展してきている。PCのCPUが前提なので、そのまま持ってくるとかなりCPUパワーを使うことになる」(木村氏)

 携帯電話ではアプリケーションプロセッサを搭載した一部機種を除いて、通信を管理するベースバンドチップが、いわゆるCPUとしてさまざまな処理を行っている。CPU負荷があまりに高いと、電話としての通信機能に影響がでる可能性もある。エプソンでは、転送スケジューリング、トランザクション管理、コントロール転送自動化など一部機能をハードウェアで実装することで、必要なCPUパワーを抑えた。

 USBでは利用用途に応じたクラスドライバが必要となるが、こちらもメモリ容量がPCに比べて小さい携帯電話にとっては苦しい部分だ。ただし「USB OTGではクラスドライバは自由」(木村氏)となっている。木村氏は、USBを使ってデジタルカメラの画像をプリンタで直接印刷するための標準規格「PictBridge」(2月3日の記事参照)への対応を、念頭に置いているという。

 エプソンのチップで面白いのは、USBで接続した機器に対して電流を提供するVBUSのコントロール用電源機能も内蔵していることだ。

 PDC方式端末のシリアル端子は外部に電源を供給していないため、周辺機器を接続する場合は別途電源が必要だった。USBで機器を接続すれば、電源入らずの外付けデバイスが利用できる。ただし、電池容量の少ない携帯電話からはそれほど大量の電流は取り出せない。通常のUSBは500mAだが、USB OTGではミニマム8mAとなっている。省電力で動くシリコンメディアが出てくれば、携帯にスティック型のメモリを挿してデータを高速転送するということも可能になるかもしれない。



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関連リンク
▼ セイコーエプソン

[斎藤健二, ITmedia]

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