Mobile:NEWS 2003年7月9日 09:16 PM 更新

松下、微細プロセスのFeRAM混載システムLSIを量産化(2/2)


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 まず、完全保護構造の水素劣化防止技術「FEHB(Fully Encapsulated Hydrogen Barrier)技術」を開発。FeRAMの特性劣化を招く水素から、FeRAMセルを完全に分離した。

 「従来の部分保護構造では、多層配線時に保護膜の隙間から水素が入り込んでFeRAMの劣化を招いていたが、独自のセル構造を用いたFEHB技術では保護膜がFeRAMを完全に覆うため、多層メタル配線による0.18μメートルの微細な製造プロセスが可能となった」(同社)


従来技術(左)と、完全保護構造の水素劣化防止技術「FEHB技術」(右)

 また、トランジスタのコンタクト上部に強誘電体キャパシタ部を設けて、メモリセル面積を従来比1/5に小型化した「スタック技術」と、1つのトランジスタと1つのキャパシタでメモリセルを構成した「1T1C技術」とを組み合わせた独自の微細セル技術「USEC(Ultra Small Embedded Cell)技術」を開発。同社のFeRAM従来製品に比べて、メモリセル面積を1/10にするなど飛躍的な小型化を可能にした。


「スタック技術」と「1T1C技術」とを組み合わせた独自の微細セル技術「USEC技術」を開発

 さらに、従来の強誘電体材料には鉛(Pb)/ジルコン(Zr)/チタン(Ti)の酸化物からなる「PZT」が使われていたが、層状超格子の分子構造で薄膜化に強いストロンチウム(Sr)/ビスマス(Bi)/タンタル(Ta)の酸化物からなる強誘電体材料「SBT」を使った薄膜技術を開発。SBTの膜厚を100ナノメートル以下と薄くすることで、1.1ボルトという超低電圧動作 を可能にした。


強誘電体材料「SBT」は、層状超格子の分子構造で薄膜化に強い

FeRAM混載システムLSIで広がるモバイルの可能性

 同社が開発した0.18μメートルFeRAM混載システムLSIは、同社の従来品に比べてチップサイズを1/5に小型化したほか、FeRAMの特徴である高速書き込み性能によって、書き込み時間もEEPROM搭載モデルに比べて1/5に高速化されている。


書き込み時間は、EEPROM混載モデルに比べて約1/5

 「たとえばICカードでは、高速化によって認証スピードが向上したり、大容量化によってセキュリティ機能の強化が可能になる。また、タイプA/B/Cと複数仕様が存在する非接触型ICカードに応用すれば、すべての方式に対応できるカードを作ることもできる。携帯電話やPDAに組み込めば、さまざまな通信方式に瞬時に対応し、適切な回路に変身する“リコンフィギュラブル”なモバイル機器も作り出せる。高速・低消費電力処理が行えるFeRAM混載システムLSIは、今後訪れる“真のユビキタス時代”に欠かせない中核技術となる」(同社)


発表会場では、3台のノートPCを用意して、ブロック崩しゲームの各種データ(点数、ボール位置など)を、外部の不揮発性メモリにリアルタイムに書き込むデモンストレーションも行われた。書き換え時間が高速なFeRAM(左、200ナノ秒/回)とSRAM(右、70ナノ秒/回)は、ボールの動きもスムーズだが、書き換え時間が遅いフラッシュメモリ(中央、1秒/回)は、コマ送りのようにぎこちない動きになってしまっていた

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[西坂真人, ITmedia]

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