Mobile:NEWS 2003年7月23日 08:19 PM 更新

数字で読み解く“携帯”(2/4)


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 特に狙い目なのが、自動車産業。現在走っている車の数はだいたい8000万台あって、これに本当に携帯(無線通信機)が載るなら、契約者数はまだまだ伸ばせるということになる。先行するのはKDDIだ。既に数社がCDMA2000 1x対応の通信モジュールを開発し、カーナビなどに搭載済み。2004年3月末で55万台を見込むという(5月8日の記事参照)。

 もう1つは、“日本が飽和するなら海外へ”というものだ。ガートナージャパンの調査によると、現時点での世界の携帯電話契約者数は約12億。飽和に向かう国内と異なり、2007年にはこれが17億程度まで伸びると予測されている。

 ただし、海外市場を狙っているのは現在ドコモだけ。世界各国のキャリアに少額出資し、既に世界7カ国(日本含む)でiモードを始めている(6月26日の記事参照)。J-フォンは英Vodafoneグループの一員ということもあり、単独で海外に進出することはないだろう。KDDIも海外オペレータへは資本参加ではなく技術協力を行うと話している。

新通信規格のメリットはどこに

 契約者数とARPUという視点で見ると、W-CDMAやCDMA2000 1xなどの新通信方式のメリットはどこにあるのだろうか。

 1つは通信速度の向上により、リッチコンテンツが利用できるようになり、それがデータARPUの向上をもたらすということがよく言われた。しかし、これが本当かどうかは微妙だ。音楽ダウンロードや映像ダウンロードなど、リッチコンテンツの代表と言われたものはことごとく失敗してきている。KDDIなどではEV-DOの導入にあたり、「ちっちゃいデータをいっぱいやり取りしてもらうことを狙う」と話している(7月18日の記事参照)。

 もう1つは契約者やARPUとは別の、コストに対するメリットだ。W-CDMAやCDMA2000 1xがもてはやされる理由は、電波の利用効率が増すところにある。つまり同じようなインフラでたくさんのユーザーをまかなえる。

 さらに、これによって通信コストを下げられる。今でこそ(パケット通信は除いて)大幅な値下げは実現していないが、将来的には新方式のほうが値下げの余地が残っている。逆にいうと、同じ値段でサービスするなら利幅が大きいということになる。

ARPUは基本的に減少傾向

 契約者数ともう一つ、収益を決めるもう一方のベクトルであるARPUはどうか。実はこちらは減少が続いている。


ドコモのARPUを見ても、2002年3月には8480円あったARPUが、2003年には8120円に減少。2004年には7840まで下がると見られている。NTTドコモの2002年度の決算資料より

 内訳を見ていくと、大きく減っているのは音声のARPUだ。つまり、みんな通話に対してあまりお金を払わなくなった。この音声ARPUの減少を、データのARPU(つまりiモードなど)の上昇でカバーしているのが現状だ。

 音声ARPUが減る理由は大きく二つの説明がある。一つは、毎年の値下げによるもの。ドコモの場合で見ると、6年前の1997年当時、10円で通話できたのは14秒間だった(プランA、日中、同県内)。何度かの値下げを経て、現在では10円で18秒の通話ができるようになった。20%近くも値下がった計算だ。基本料金も1997年当時の5800円(プランA)から、現在4500円まで下がっている。さまざまな割引プランも始まった。

[斎藤健二, ITmedia]

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