数字で読み解く“携帯”(1/4)「auが3カ月連続で単月シェアトップ」「音声ARPUが減少」……。携帯関連のニュースで出てくる数字は、それぞれどのように関わっているのか。こうした数字から、今後の携帯電話の動向を占ってみよう。
携帯電話にまつわる数字には、なかなか分かりにくいものが多い。やれ、「今月は○○キャリアが単月シェアトップを取った」とか、「今月の端末販売台数は400万台を超えた」とか……。 ARPUがウン千円──という話も、今ひとつピンとこない数字の一つ。「インセンティブが1台当たり4万円」というのも、「スゲー」くらいにしか感じなかったりする。 こうしたニュースにつきものの数字について、いったいどう考えたらいいのかを、読み解こうというのが今回の記事の主旨だ。
簡単にいって、その通信キャリアがうまくいっているかどうかは、「契約者数×ARPU」で分かる。 契約者は利用しているユーザーの数。ARPUは、ユーザー1人が1カ月に支払っている料金だ。このかけ算が、おおざっぱなキャリアの売り上げになる。ドコモの携帯の場合で計算すると、約4436万人のユーザーがいて、ARPUは8120円。つまり月間で約3602億320万円で、年に直すと4兆3224億3840万円だ。 この契約者とARPUが、キャリアのビジネスの両輪。そのほかの要素は(現在のところ)おまけに近い。2002年度のドコモの売り上げを見ても、4兆8091億円となっていて、だいたいこんなところだというのが分かる。 各キャリアは、いろいろな施策を打ち出してくるが、基本的には(1)契約者を増やす か(2)ARPUを増やすかのどちらかを狙ったものになる。
契約者数は、従来のやり方がそろそろ行き詰まりを見せている。もうみんなが携帯を持ってしまったからだ。 1994年にレンタルから買い切り制度が導入された携帯電話は、急速に契約者を伸ばしてきた。1996年1月時点の携帯契約者数はと、わずか844万人。それが8年後の現在、携帯電話の契約数は7721万3900に達した(7月7日の記事参照)。8年間で10倍に、別の言い方では毎年1000万ずつ増えてきたことになる。
ところが、この数字は2003年あたりを境に伸びが鈍化し、8500万契約程度で飽和すると見られている。例えば、ガートナージャパンが7月3日に行った通信関係の講演によると、同社の予測では2007年時点の契約者数は8400万人。 ちなみに、15歳〜65歳の日本の人口は8543万人(総務省による)。小中学生と高齢者以外が全員携帯電話を持っても、これだけにしかならない。 これまで年間1000万規模で増えてきた契約者数の伸びが止まるとなると、大問題。そこでどうやって契約者数を伸ばすかというと、大きく3つの方法がある。
まず最初に考えつくのは、他社から契約者を奪ってしまえということ。しかしこれはたいへんだ。
※電波の割り当て、という問題もある。入札で必要な周波数帯を購入する国もあるが、日本の電波は基本的に総務省から割り当てられる。この量は、契約者数に応じて、というわけではないようだ。多くの携帯が利用する800MHz帯の詳細は不明だが、少なくとも3G携帯が使う2GHz帯は各社均等の割り当てとなっている。つまり、例えばドコモが他社から契約者をいっぱい奪ってしまったら、周波数(電波)が足りなくなる。実際にはそこまでの移動は起こらないだろうが、奪えるだけ奪えばいいというわけでもないようだ 実際の方向として進みつつあるのが、通話以外の契約を増やすこと。ヒトがみんな携帯を持ってしまったなら、機械にも携帯を入れてしまえというわけ。ドコモやKDDIが、「音声から非音声」とか「次は通話をしない電話」とか言うのには、こういう背景がある。
[斎藤健二, ITmedia] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. 前のページ | 1/4 | 次のページ モバイルショップ
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