Mobile:NEWS 2003年10月21日 10:01 PM 更新

歩数計付きケータイは、どうやって生まれたのか

ドコモが9月に発売した「らくらくホンIII」こと「F672i」。最大の特徴である歩数計は、オムロンとの協業で生まれた。歩数計内蔵携帯実現に決定的な役割を果たしたオムロンの技術とは?

 携帯電話で初めて歩数計を内蔵した、富士通製の「らくらくホンIII」こと「F672i」(9月2日の記事参照)。一見、二つの電子機器を組み合わせただけ……とも思ってしまうが、その陰には、オムロンと富士通の技術を生かした工夫、苦労があった。

 オムロン エレクトロニクスコンポーネンツビジネスカンパニーの亀田圭彦氏は、当初から、らくらくホンIIIの歩数計搭載に尽力した一人だ。

 「富士通さんから、最初、歩数計のセンサーがないか? という話があったんですよ」。普通、歩数計には加速度センサーを使って、歩数をカウントする。人が歩くと共に、腰に付けた歩数計も上下に動き、加速度センサーにはその動きが波形として記録される。波の大きさを見ながら、大きな波を一歩、としてカウントして歩数は計られている。

 しかし携帯電話搭載には大きな壁があった。「普通のメカ式の歩数計は腰に付けなくちゃいけないですよね。あれと同じになってしまう。でも携帯電話を見ると、胸ポケットに入れたり、特に女性はカバンに入れるじゃないですか。そうすると、絶対2軸以上のセンサーがいる」

 さすがに“携帯電話を腰に付けてください”では使えない。しかしカバンの中やポケットの中では、携帯がどの方向を向いてしまわれているか分からない。どのようにカバンに入っていても、人の上下動を認識するにはX軸とY軸、つまり2軸のセンサーが必要だった。

 ところが2軸のセンサーを入れても、ことは簡単ではない。「1軸だと歩いたときにシンプルな波形が出るが、2軸だとグニャグニャな波形が出る。どこが一歩か分からなくなる。ですので、世の中にある歩数計はすべてが1軸だった」


ドコモ向けのiモード端末「F672i」

センサー提供から協業へ〜2軸アルゴリズムの提供

 壁にぶつかったかに見えた、歩数計の携帯搭載。しかしここでオムロンが市販歩数計で培ってきたノウハウが生きた。「そのとき実は社内から、グニャグニャな波形を解析するアルゴリズムをオムロンが持っている、という話が出たんです」。

 オムロンは数年前、2軸の加速度センサーを使った歩数計を世界で初めて商品化している。同社の「Walking style」は、腰のベルトに付けるフックのない“ポケットイン”をうたった歩数計だ。USBでPCと接続し、日々の歩数データを管理することもできる。

 亀田氏は、このWalking styleに使われていたアルゴリズムに目を付けた。「オムロンのアルゴリズムと、2軸のセンサーを組み合わせたら、歩数計になりますよ、ということで開発に着手できた」

 その後は、アルゴリズムの面はオムロン、歩数計を使ったサービスの開発は富士通という流れで進められた。Walking styleにも搭載されている有酸素運動測定「しっかり歩数」も、らくらくホンIIIは搭載している。

 携帯電話に搭載された機能について、デバイスメーカーの名が明かされるのは今でも珍しい。逆にいえば、オムロンの名前と共に歩数計機能がアピールされた「らくらくホンIII」は、オムロンにとっても自信のある製品だということだ。

歩数計メーカーも望んだ、携帯との融合

 「らくらくホンIII」への搭載を皮切りに、オムロンは携帯電話への歩数計搭載を積極的に進めたい考えだ。健康機器にとっても通信機能の搭載が求められてきているのが理由の一つ。

 「(オムロンの歩数計では)独自の通信機能がなかったので苦肉の策でUSBでやっていた。最初から通信機能が付いている携帯で、安否確認までできるというのは、我々としても最終形の形だった」

 「らくらくホンIII」には、歩数データをあらかじめ指定した相手にメールで送信する機能や、メールで歩数データを問い合わせる機能が搭載されている。相手が毎日しっかり歩いていてくれるか──つまり無事に毎日を過ごしているかを通信で確認できる。ここが、従来の歩数計がやりたくてもできなかった部分だ。

 また市場の拡大も望める。オムロンの調査によると、歩数計を買ったが使うのを辞めてしまう理由には、「つけるのが面倒」「歩くルートが決まっているので歩数の見当が付いた」「付け忘れる」「電池が切れてしまう」「かっこ悪い」などが並ぶ。

 「携帯電話に歩数計を入れれば、この理由は全部なくなるんです。だからもともと我々も携帯に入れたいな、と思っていた」

 そして携帯電話搭載によって、若者に対してもアピールできるのではないかと亀田氏。年齢別のウォーキング人口を見ると若者も非常に多い。しかし歩数計所有率で見ると若者の低さが目立つ。携帯電話に入れることで、“歩数計がほしい”という若者の潜在ニーズに応えられる可能性は高い。

 「一歩、二歩でカウントすると歩数計ですが、例えば移動距離で出したり消費カロリーで出せば、GPSへの展開や、若い女性向けにカロリー計算なども考えられる。1日に消費したカロリーに応じて、献立が通信で送られてくるとか」

 今後は、北米市場も狙っていく。歩数計の市場はこれまで日本だけだったが、近年米国でも伸びてきている。全国的にダイエットブームになっており、歩数計の市場が徐々にできつつあるという。

 「世界でオムロンにしかできない技術。自信を持ってベンダーさんに提案していきたい」



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関連リンク
▼ オムロン ヘルスケア Walking style
▼ オムロン
▼ 富士通 F672i

[斎藤健二, ITmedia]



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