Mobile:NEWS 2003年12月2日 07:08 PM 更新

「Vodafone live!」と「iモード」の戦い〜フランスの場合

欧州でも立ち上がり始めた携帯電話によるインターネット接続サービス。「Vodafone live!」と「iモード」が欧州各国でしのぎを削るこの戦い、フランスではどうなっているのだろう。

 欧州で英Vodafoneのインターネット接続サービス、「Vodafone live!」(用語参照)がスタートして1年。300万人のユーザーを獲得するなど快進撃を続けている(10月30日の記事参照)。欧州市場のいくつかの国ではNTTドコモの「iモード」が提供されており、iモード対Vodafone live!の戦いが繰り広げられている。ここでは、10月末にVodafon Live!がスタートしたばかりのフランス市場の様子をレポートする。

クリスマス商戦で40万ユーザー達成を狙う〜「Vodafone live!」

 フランスには3社のオペレータがある。最大手はフランステレコム傘下のOrangeでシェアは約50%。2番手がSFRで約35%のシェアを占め、最後がBouygues Telecomで約15%となっている。

 英Vodafoneは2番手SFRに資本参加しており、Vodafone live!は10月29日にサービスが開始された。一方のiモードは、2002年11月にBouygues Telecomがサービスを開始している(Orangeは、MicrosoftのSmartphone 2002を搭載したスマートフォン「Orange SVP」を提供しているが、iモードなどに匹敵するサービスはない)

 フランスでもカメラ付き携帯電話の認知が進んでいることから、SFRは“写メール”や“写メールカード”などの写真サービス(MMS)、着うたやゲームを前面に押し出してVodafone live!を売り込んでいる。ターゲットは、20代〜30代の若者層。価格は無制限アクセスが月額6ユーロ、MMSサービスは1回0.15ユーロ(1Kバイト以下)──といった具合だ。スタート時の対応端末は、英国で人気のシャープ製GXシリーズ(「Sharp GX20」)をはじめ、ソニー・エリクソン、モトローラ、Sagemの4メーカーのものが提供され、49−199ユーロくらいで販売されている。


端末は4種類でスタート。左から「Sony Ericsson T610」「Sagem myV-65」「Motorola V525」「Sharp GX20」

 同社副社長のピエール・バルドン(Pierre Bardon)氏は発表時の記者会見で、「2004年までに100万ユーザー獲得を目指す」と宣言、Vodafoneというブランド力に自信たっぷりの様子だ。

 実はSFRにとってVodafone live!は、初のMMSサービスではない。1年前から独自のMMSサービス「Multimedi@」を開始しており、1400万人いる同社ユーザーの1割弱がすでにマルチメディア対応端末を所有している。同社は、この層に対してVodafone live!への移行を促している。

 サービス開始時には、2004年1月までMMS最大500回無料など、いくつかのサービスを無料とするプロモーションを実施、まずは年末のクリスマス商戦で40万ユーザー達成を狙う。現在、女優ミラ・ジョヴォヴィッチをイメージキャラクターに起用した創業2番目という規模の広告キャンペーンも展開している。


髪の毛をボーダフォンカラーの赤に染めた女優ミラ・ジョヴォヴィッチを起用して大キャンペーンを展開中

iモード一周年記念キャンペーンで40万ユーザーを狙う〜iモード

 対するiモードも負けてはいない。SFRが「Vodafone live!」の派手なローンチを行った直後、Bouyguesはiモード開始1周年記念として、新端末や新料金プランなどいくつかの発表を行っている。

 現在、フランスのiモードユーザー数は約36万。20代後半〜30代が中心のようだ。このうちの3割が新規で、Bouyguesは「予想外の成功」としている。確かに保守的といわれる市場性やBouyguesのシェアを考えると、悪くない数字だ。公式サイトもスタート時の86から現在約220と倍以上に増えた。コンテンツの種類はニュースや天気などの情報系、占いやゲームなどのアミューズメント系など日本とほぼ同じだが、フランスの人気トップは地図サービス。中でも人気の「Mappy」は先日、Javaベースの位置認識サービスをスタートしているが、なかなかの評判だ。

 価格は月額5ユーロ(750Kバイト)からで、有料サイトは3ユーロが上限だ。同社によると、ユーザーは月平均約70ユーロを支払っているという。対応端末は、NEC、三菱電気、パナソニックの3社5モデルで、カメラ付きとしてNECの「N341i」がラインアップされる。価格は最も安いもので59ユーロくらいだ。

 Bouyguesは11月中旬に発表したキャンペーンや新料金プランにより、40万ユーザー獲得を狙う。企業ユーザーの開拓にも着手しており、ビジネス向けのソリューションや新料金を発表している。また、20代前半の学生をターゲットとしたプロモーションやキャンペーンも展開中で、iモードの公式サイトを紹介した無料冊子の街頭配布などを行っている。


iモードも年末に向け、広告キャンペーンを展開中

フランスでは、後発の「Vodafone live!」が優勢

 仏市場での“iモード”対“Vodafone live!”の戦いは、キャリアのシェアからも、Vodafone live!に軍配が上がる可能性が高い。

 iモードのBouyguesは、Vodafone live!の参入に関して、“使いやすさ、価格、日本での実績で対抗する”と述べており、対するVodafone live!のSFRは、“オープン性、直感的なインターフェイス”などを違いとしている。

 SFRによるVodafone live!の提供は、ボーダフォンの投資を受けていることから当然の動きといえるが、先日同社は、2年前にNTTドコモの打診を蹴っていたことを明らかにした。SFRのバルドン副社長によると、“iモードがターゲットとしているユーザー層は欧州市場とは異なる”こと、“iモードが日本で成功した時代と当時とでは状況が異なっていた”ことの、2つの理由からだという。「1999年に革新的だったものが2001年に革新的とはいえない」。

 欧州全体では、“Vodafone live!は成功”と見られている。それを裏付けるのが、着実に伸びているユーザー数だ。1年前の開始当初、“2004年までに800万”という同社の掲げた目標に対して現地のプレスは冷ややかな反応を示した。しかしふたを開けてみれば、現在欧州13カ国で300万人に到達するなど、目標値が射程距離に入ってきた。特に本拠地の英国やスペイン、ドイツなどが好調で、主要マーケットが押さえられている。

 英調査会社のOvumでは、Vodafone live!の人気を、(WAPと違って)きちんと動くこと、カラー端末、操作性、適正な価格にあると分析している。また、欧州サッカーのUEFAやBBC、トゥームレーダーなどのコンテンツがユーザー層にマッチしていたこともあるようだ。Vodafoneでは、開始から9カ月間で300万件以上のゲームのダウンロードがあったと発表している。

 Vodafoneのグローバルコンテンツサービス担当最高責任者、ガイ・ローレンスはHerald Tribune紙に対し、「Vodafone live!の成功の秘訣は、日本のキャリア各社に学んだ徹底したユーザー分析の姿勢の結果」だとしている。だとすれば、ボーダフォンが手本としたiモードにとって、欧州市場の現状は皮肉な結果かもしれない。

 10月スイス・ジュネーブで開催された「Telecom 2003」で、同社代表取締役社長の立川敬二氏は、欧州市場におけるユーザー数が100万人を突破したことを発表した(10月14日の記事参照)。iモードは現在6カ国で展開中で、欧州市場に最初に参入したのは2002年3月。すでに1年半以上が経過している。



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[末岡洋子, ITmedia]

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