Mobile:NEWS 2003年12月5日 03:17 PM 更新

「Flexスタイル」を解剖する〜開発陣が語る「P505iS」

用途に合わせて5つのスタイルで使い分けられるのが「P505iS」のFlexスタイル。ユニークなボディの中には、さまざまな実装上の工夫が施されている。P505iSの中身についてパナソニック モバイルコミュニケーションズの開発陣に聞いた。

 用途に合わせてさまざまなスタイルに変化する、ユニークなボディデザインが特徴のパナソニック モバイルコミュニケーションズ製端末「P505iS」(11月13日の記事参照)。2軸構造の回転機構やオートフォーカスカメラ、ロールナビボタンなどの新機能を備えながらも、ほかの505iS端末とさほど厚さは変わらず、携帯電話として使うのに違和感のないサイズに仕上がっている。

 このユニークなボディの中はいったいどうなっているのだろう。P505iSの開発陣に聞いた。

きれいな撮影画質は「絞り」のおかげ

 P505iSに搭載されているのは松下電器産業製の128万画素CCD。カメラはコントラスト検出方式のオートフォーカス(用語参照)に対応している。

 注目なのはこのカメラには「絞り」の機能が付いている点だ。この絞りは任意で設定するのではなく、環境に合わせて自動的に切り替わる仕組みになっている。「室内では明るいレンズで明るく撮れる。外での撮影時は環境に合わせて絞りが効くのでスミアなどが出ない高画質が得られる。この自動絞り機能のおかげで全般的にコントラストが高い、いい画質になる」(商品要素開発グループ第二開発チームの上田和成氏)。現時点で、自動的に絞りが切り替えられるカメラが搭載された端末は「ほかにはない」という。

 そのためP505iSには、オートフォーカスのレンズを動かすための駆動系のほかに、「絞り」用にも駆動系を持たせている。この2つの動力部分を小さく作って実装するのに苦労したと上田氏は話す。

 カメラモジュール部分も工夫されている。普通はむき出しの基板の中にパッケージされているものを、P505iSでは「全体をゴムで包んで、さらにその周りをホルダーで抱えている」(商品開発第三グループ第二開発チーム主任技師の佐藤和則氏)。P505iSのオートフォーカスは、レンズを動かしながら画像のセンター部分の解像度を検出し、ピークになったところを“ピントが合った”と判断してレンズが止まるようになっている。カメラユニットにこのような可動部が含まれるため、従来以上にデリケートなのだ。「芯ずれや回転ずれ、落としたときの衝撃などが影響しないようしっかりと固定している」(佐藤氏)。

 P505iSの高コントラストできれいな画質は、通常原色フィルタを使ったCCDの場合、輝度信号を緑信号からしか生成できないものを「輝度信号をRGBの全画素から取り込む信号処理技術を新たに採用したため」(上田氏)実現できたという。同様の仕組みはパナソニックのデジタルカメラ「LUMIX」にも(2002年10月10日の記事参照)取り入れられている。

2軸構造ながら強度面は「安心して使ってください」

 回転機構を備える端末で気になるのはヒンジの強度。P505iSは、さまざまな向きに回転する上、急いでいるときなどは、勢いで振り出すように開けることもあるため心配なところだ。

 強度に関しては「振り出すようにして開くのをむしろお勧めできる」と、佐藤氏は自信を見せる。ヒンジの強度が心配という声は開発時に挙がっており、ヒンジ部の耐久試験専用の機器を作成したという。「ヒンジ部の回転や開閉の試験を、一番厳しい条件でテストしたため、強度の不安は一掃された」(商品企画グループ商品企画第二チームの周防利克氏)。

 また二軸ヒンジ構造のため、従来のヒンジより小さいスペースに配線しなければならなかったところが、実装上の課題だったと佐藤氏。初めて回転機構を採用した「P2102V」(3月21日の記事参照)では折りたたみ端末でヒンジ部に使っていた平たい板状のフレキシブル基板を巻いて使っていたが、P505iSで同じようにすると「ねじったときに切れてしまう」(佐藤氏)。そこで回転と開閉のいずれにも追従できるよう、細い50本の線を束ねたケーブル状にして配線し、軸の部分に納める形になったという。

 Flexスタイルでは液晶面が表に出るため、「パネルの強度にもこだわった」(佐藤氏)。液晶面を支える点をうまくレイアウトすることで荷重が分散するように設計、「ディスプレイの下面が常に均等に支えられる状態」になっている。ディスプレイの表面にはハードコート処理が施され、液晶が割れたり傷ついたりしにくくなっている。この点はレンズカバーがないため、常に露出してしまうカメラ部も同様で、ハードコートされたガラスでカバーされている。

 P505iSのディスプレイは2.4型の透過型液晶。視認性の面から最近の端末では半透過型が採用されることが多いが、発色のよさから透過型が選ばれた。


オートフォーカス対応のため、側面のボタンも半押しや傾き、押し込みなどに対応する多機能ボタンが必要になった。基板への実装上、これを少ないスペース内に収めるのが大変だったと佐藤氏。通常サイドキーは基板上にスイッチを実装するが、P505iSではフレキシブル基板を縦に配置、ドーム型のスイッチを取り付けて対応した。端末の幅が広くならないようにするための工夫だ

携帯のボディが「アンテナです」

 P505iSは「デジカメスタイルのときにアンテナが飛び出しているのはかっこ悪い」ことから、内蔵型のアンテナを採用している。内蔵して感度が落ちるのでは、携帯電話としての使い勝手を損ねるため、「端末自体をアンテナにする」仕組みが取り入れられた。

 「ボディのディスプレイ周辺にマグネシウム素材を使っている。この部分を銅線を介して下の無線部分につないでやることでアンテナとして使っている」(佐藤氏)。


新機能のロールナビボタンは、基板の下に配置された押圧センサで動作する。押圧は「10グラムもいかないくらい」に設定されており、任意で押圧を変えることはできない。ただし、スクロールの速さは設定可能だ。スクロールは押されたときに接しているところがスイッチとして機能するリニア方式

Flexスタイル、今後の課題は

 Flexスタイルの発想は「折りたたみ型の価値を継承しながら、さらにデジタルカメラみたいな使い方もできる」(周防氏)というところから生まれた。

 そのため現状では、それぞれのスタイルのときに何でもできるというわけではない。例えばビューワスタイル時には閉じたまま通話ができない、Web閲覧やiアプリが使えないといったことだ。ほかの回転スタイルの端末では可能なだけに、惜しまれる部分でもある。

 周防氏は「まず、それぞれのスタイルでの使い方に慣れてもらうこと。通話やメールがしやすいのは通話スタイル、というのが最適な解」と説明する。ただし「今後の進化の中では考えていくことかもしれない」ともいい、次世代Flexスタイルに期待を持たせた。



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[後藤祥子, ITmedia]

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