News | 2002年10月10日 10:28 PM 更新 |
松下電器産業は10月10日、「LUMIX」シリーズの新製品2機種とSDメモリーカード関連の周辺機器2機種を発表。業界初の12倍ズームレンズを搭載した一眼レフタイプ「DMC-FZ1」と、320万画素のコンパクト機「DMC-F1」が登場した。
今回の新LUMIX2機種には、3つの新しい基幹技術が盛り込まれている。
1つ目が、LEICAの技術が存分に注ぎ込まれた光学系だ。第2世代のLEICA DCレンズ「VARIO-ELMARIT(バリオ・エルマリート)レンズ」を新たに開発。同社独自の非球面レンズを3枚使用したレンズ構成(FZ1が8群13枚、F1が6群7枚)で、解像度の向上や歪み/ゴースト/フレアの低減などを達成している。
2つ目の基幹技術が、高画質・高速連写を可能にした新開発の画像処理LSI「VENUS(ヴィーナス)エンジン」だ。従来、原色CCDは捕色CCDに比べて、色再現性には優れているものの解像度で劣るといわれていた。これは、原色CCDが、輝度信号をグリーンからしか生成できなかったためだ。VENUSエンジンでは、レッドやブルーからも輝度信号を生成する処理回路を開発。斜め方向の解像度で従来比1.5倍の解像度向上を実現した。
さらに、露光、Y/C分離、液晶表示、メモリカードへの書き込みなどを並列処理することで、応答速度を向上させている。「シャッターを押してから次の撮影が可能になるまでのシャッター間隔が大幅に短縮し、そのタイムラグは約0.1秒になった。また、最大画素数で秒間4コマの高速連写も実現した」(同社)。
3つ目が自社開発の新しいCCDだ。F1では有効320万画素、FZ1では有効200万画素のCCD(原色フィルタ)が搭載されている。「新開発CCDでは、集光率を向上させ、感度と色再現性を高めた」(同社)。
この3つの基幹技術がもっとも生かされた新製品が、光学12倍ズームを搭載したFZ1だ。
ビデオカメラなどでは光学10倍以上のズームは当たり前になっているが、デジタルカメラではオリンパス光学工業のCAMEDIAシリーズやキヤノンPowerShotシリーズのハイエンドモデルで10倍ズーム機が用意されている程度だった。FZ1は、デジタルカメラでは業界初となる光学12倍ズームを、114(幅)×70.3(高さ)×83.3(奥行き)ミリ、重さ約350グラム(バッテリー、メモリーカード含む)というコンパクトボディに収めた。35ミリカメラ換算で420ミリ相当のズームが、このような小型のデジカメで楽しめるのだ。
ただし12倍という高倍率になると、手ブレがどうしても避けられないが、FZ1ではビデオカメラのハイエンド機で採用されているような光学式の手ブレ補正機能を搭載した。「光学12倍ズームと手ブレ補正機能によって、肉眼では点にしか見えないような被写体も、画面一杯に撮影できる」(同社)。
このズームレンズの特筆すべき点は、このような高倍率を可能にしながら、ズーム全域で開放値F2.8とするなど、一方で明るさもしっかりと確保していることだ。「レンズに関してはLEICAと共同でゼロから設計していった。これだけ倍率を増やすとレンズの枚数が相当必要になる。レンズの枚数が増えればサイズが大きくなるし、ゴーストやフレアといった問題も出てくる。これらを1つ1つLEICAと解決していき、作り上げた苦心の作」(同社)。
スペック上では、300万-500万画素モデルが当たり前となってきたデジカメの中で、有効200万画素というのがやや気になる。この点について同社は「従来比1.5倍の解像度向上を実現したVENUSエンジンによって、実力的には300万画素クラスに匹敵する画質になっている。さらに、今回採用した1/3.2型のCCDサイズでは、300万画素で12倍ズームの性能は出せない」と説明する。
「それならCCDサイズを大きくすればいいのでは」と思われるだろう。しかし、CCDサイズを大きくすると、光学系(レンズ)も大きくしなければならず、結果的にボディが大型になってしまう。「コンパクトサイズで高倍率を手軽に使えるスペックとして、200万画素というスペックがベストな選択だった」(同社)のだ。
DMC-FZ1の主な仕様は以下の通り。
製品名 | DMC-FZ1 |
撮像素子 | 1/3.2型有効200万画素CCD(総画素数211万、原色フィルター) |
記録画素数 | 静止画:1600×1200/1024×768/640×480ピクセル、動画:320×240ピクセル |
記録方式 | 静止画:JPEG、動画:Motion JPEG |
レンズ | DC VARIO-ELMARIT 4.6-55.2ミリ(35ミリカメラ換算で35-420ミリ相当) |
露出制御 | プログラムAE |
シャッタースピード | 8-1/2000秒 |
ホワイトバランス | オート/晴天/曇り/白熱灯/セットモード |
ISO感度設定 | オート/50/100/200/400 |
ファインダー | 実像式 |
液晶ディスプレイ | 1.5型低温ポリシリコンTFT |
記録メディア | SDメモリーカード/マルチメディアカード |
電源 | リチウムイオン充電池 |
サイズ | 114(幅)×70.3(高さ)×83.3(奥行き)ミリ |
重さ | 約350グラム(バッテリー、メモリーカード含む)、318グラム(本体のみ) |
価格 | オープン(実売6万円前後) |
発売時期 | 11月8日 |
光学3倍ズームで有効320万画素のDMC-F1
光学3倍ズームで有効320万画素のDMC-F1は、昨年9月に発表されたDMC-F7の後継機種。F7は光学2倍ズーム/有効200万画素だったが、VARIO-ELMARITレンズとVENUSエンジンを採用することで、倍率や解像度を向上させた。
サイズは104(幅)×50.9(高さ)×32.1(奥行き)ミリ、重さ約180グラム(バッテリー、メモリーカード含む)と軽量コンパクト。幅と高さはF7と同じで奥行きが0.5ミリ増えているが、上部が斜めにカットされたデザインを採用することで、F7よりも小さくなった印象を受ける。ボディ前面と背面にアルミニウム合金を採用。前面にはサーキュラーカット加工を施して高級感を出した。
F7同様にカラーバリエーションが用意されており、シャンペンシルバー/ブリリアントブラック/アズーラブルー/スパニッシュレッド/カリビアンオレンジの5色から選べる。
DMC-F1の主な仕様は以下の通り。
製品名 | DMC-F1 |
撮像素子 | 有効320万画素CCD(総画素数334万、原色フィルター) |
記録画素数 | 静止画:2048×1536/1600×1200/1280×960/640×480ピクセル、動画:320×240ピクセル |
記録方式 | 静止画:JPEG、動画:Motion JPEG |
レンズ | DC VARIO-ELMARIT 4.6-55.2ミリ(35ミリカメラ換算で35-420ミリ相当) |
露出制御 | プログラムAE |
シャッタースピード | 8-1/2000秒 |
ホワイトバランス | オート/晴天/曇り/白熱灯/セットモード |
ISO感度設定 | オート/50/100/200/400 |
ファインダー | 実像式 |
液晶ディスプレイ | 1.5型低温ポリシリコンTFT |
記録メディア | SDメモリーカード/マルチメディアカード |
電源 | リチウムイオン充電池 |
サイズ | 104(幅)×50.9(高さ)×32.1(奥行き)ミリ |
重さ | 約180グラム(バッテリー、メモリーカード含む)、約160グラム(本体のみ) |
価格 | オープン(実売5万円前後) |
発売時期 | 11月22日 |
新LUMIXは“あゆ”もお気に入り
「カリスマ画質」のキャッチコピーで、F7などLUMIXのCMイメージキャラクタを務めている浜崎あゆみさんが、新製品発表会に駆けつけた。
「デジカメ(LUMIX?)は、毎日カバンに入れて持ち歩いています」と語る浜崎さん。高画質な写真が撮影できる新LUMIXで、何を撮りたいですか?との質問に、手にしたF1をじっと眺めて「普段からスタッフや日常の出来事などをデジカメで撮影してますが、仕事で海外に行った時などに(海外の)美しい風景などを撮影してみたい」と、新しいLUMIXをすっかりお気に入りの様子。
新製品の機能については「FZ1の12倍ズームは、海に行って遠くの景色を撮影してみたい。F1の連写機能は、さきほど楽屋で犬が走っているところを撮影してみました」と答えるなど、コンパクトなF1の方はすでに使いこなしている様子。この犬というのは、浜崎さんの愛犬のこと。「今日は飼っている4匹のうち、プリンとバニラとチョコという3匹を連れてきました。帰宅したら、今日は連れてこなかったマロンを(F1で)撮影してあげます」(浜崎さん)。
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[西坂真人, ITmedia]
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