Vodafone CEOと共に3Gを推進するNokia:3GSM World Congress 2004
「業界のリーダー2社で何か実現できないかと可能性を探っている」。Nokiaの発表会に招かれた、英Vodafone CEOのアルン・サリーン氏はこう述べ、両社は協力姿勢を見せた。
Nokiaは2月23日、フランス・カンヌで開催中のモバイルのイベント、「3GSM World Congress 2004」にて、無線LANをサポートしたビジネス向け最新携帯端末「Nokia 9500」を発表した。またIBMとの協業などビジネス市場戦略を明らかにしたほか、3Gへの期待なども語った。
同社は今後のフォーカスエリアとして、エンタープライズ、マルチメディア、3Gに焦点を当てており、中でも3Gについては、同社 CEOのヨルマ・オリラ氏が「2004年、WCDMAのサービス開始の年となるだろう」と述べるなど、かなりの期待を寄せているようだ。
この日同社は発表会にキャリア最大手の英VodafoneのCEO、アルン・サリーン氏を招き、業界全体として3Gを推進していく姿勢を示した。
Vodafoneはこれまで、「Vodafone live!」でシャープなどのアジア系端末メーカーと組むことが多く、端末大手のNokiaは端末にオペレーターブランド色を取り込むことに後ろ向きであることから、両者の関係は必ずしも良いとはいえなかった。
この日、サリーンCEOは「ゲストスピーカー」として招待されており、両社から正式な発表はなかった。だが、「ダイナミックに市場が動いている時代だ。業界のリーダー2社で何か実現できないかと可能性を探っている」とサリーンCEOが語るとおり、Vodafoneがこの10月、英国など主要欧州市場で予定している3Gの通話サービスの開始時、Nokiaの端末が登場する可能性は高くなった。
Vodafoneの3Gサービスは、データ通信サービスとして今月12日にスタートしており(2月13日の記事参照)、コンシューマ向け携帯電話での3Gサービスでは、シャープや三洋電機などと端末の交渉に入っているといわれている。
もう一つのフォーカスエリア、エンタープライズでは、IT系企業とパートナー戦略を取る。既に、米Hewlett-Packard、米Oracle、独SAPなどと提携関係を結んでいるが、この日は米IBMとの提携を発表した(2月19日の記事参照)。今後、IBMのモバイルソフトウェアをSymbian OSが動くNokia端末でサポートする。具体的には、WebSphere Everyplace Client、WebSphere Micro Environment、IBM Tivoli、IBM Lotus Sametime Instant Messaging Clientなどで、これにより、ユーザーは企業のバックエンドシステムにアクセスできるという。両社の協業は、同日発表された新製品「Nokia 9500」でも反映されている。
「Nokia 9500」は“コミュニケーター”カテゴリに入るビジネスユーザー向け製品。このカテゴリの製品としては、2002年以来の新製品となる。9500は「Nokia 9210」と同様、外観は携帯電話と変わらないが、横に開くとフルキーボードと画面が現れるいわば超小型のノートPCだ。GSM/EGPRS(EDGE)端末としては初めて無線LAN(802.11b)をサポートしている(2月23日の記事参照)。
Symbian OS 7ベースで、電子メールでは、IMAP4、POP3、SMTP、SyncML、ブラウザはHTML/XHTML、JavaScript1.3、HTML 4.01、セキュリティではSSL/TLS、Ipsec VPNなどの規格をサポートした。解像度は640X200ピクセル(Series 80)と128X128ピクセル(Series 40)で、メモリは80Mバイト、カメラ内蔵でBluetoothもサポートしている。出荷は2004年第4四半期を予定しており、想定価格は約800ユーロ。
Vodafone、Nokiaの両CEOはそれぞれ、カンファレンス中に基調講演を行うことになっている。
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