モバイル端末による「ワイヤレスP2P」、その使い道は?(2/2 ページ)
多数のモバイル端末がP2P接続して、その場でメッシュ状のネットワークを構築する「ワイヤレスP2P」。技術としての可能性は十分だが、実際にどう商用展開するかとなると、各社とも方向性が分かれている。
従来も、工作機械の監視を行い、そのデータを管理するシステムは存在した。しかし「データの取り出しポートを設置し、有線のネットワークを構築しようとすると、1台20万円といった高い費用がかかった」(梅田氏)。
MicroDECENTRA 2.0を利用すれば、より安価かつ容易に、ワイヤレスP2Pのセンシングネットワークを組める。「製品の原価は、1台数千円のレベル。製品化しても、数万円の単位に抑えられる」(梅田氏)という。梅田氏はまた、「ユビキタスセンターネットワーク技術は、総務省で調査研究会も開催されており、今後の市場拡大が期待できる」と話した。
IPアプリケーションを透過できるMeshCruzer
3月17日から18日にかけて、京都で開催された「ケータイ国際フォーラム」会場でも、ワイヤレスP2Pの展示を見かけた。シンクチューブの通信ミドルウェア、「MeshCruzer」だ。
ルーティングプロトコルには、AODV(AdHoc On Demand Distance Vector)を採用しており、移動体を利用したマルチホップのP2P通信が可能。ネットワーク管理システム「MeshVista」を特定のPCにインストールすれば、ビジュアルモニタリングが行える。
同社説明員は、メッシュネットワークスジャパンの取り組みを「あちらは“ひと声、何千万円”のシステム。目指しているところが違う」と話す。
同方式が活用される現場として、例示されたのは「工事現場や、イベント会場などネットワークインフラのない場所」。アクセスポイントや、固定ルータなどを設置せずとも、その場でアドホックネットワークを構築できる点を売りにしたいという。
その意味で、同社はスカイリー・ネットワークスと方向性が近いようにも思えるが、「MeshCruzerの場合は、(通信の上に乗ってくる)IPアプリケーションを、透過できる」(説明員)点がポイントとのこと。
「このため、既存のアプリケーションを変更なしに利用できる。スカイリーの場合は、専用のアプリケーションを作りこまなくてはいけない」(説明員)。このため、より“即席インフラ”としての用途に向くとした。
ITSによる大規模なネットワーク構築を目論むメッシュネットワークスジャパン、センシングに特化するスカイリー・ネットワークス、イベント会場などインフラがない場所でのインフラ構築を目指すシンクチューブ。いずれの取り組みが成功するのか、注目したい。
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