携帯にもMMXとSpeedStep~Intel「PXA27x」発表
次世代XScale「PXA27x」(コードネーム:Bulverde)が発表された。ワイヤレスMMX、ワイヤレスSpeedStepなど、PC向けに開発された技術をふんだんに盛り込み、「PCで培った技術とアプリケーションをXScaleベースのチップに移行できる」(インテル)特徴を持つ。
米Intelは4月12日、コードネーム「Bulverde」こと「PXA27xプロセッサファミリー」を発表した。次世代XScaleとなるPXA27xは、
- ワイヤレスMMX(関連記事参照)
- ワイヤレスSpeedStep
- クイック・キャプチャテクノロジ
といった特徴を持ち、ハイエンドの携帯電話からPDA全般をターゲットとする。
現在サンプル出荷中で、量産出荷は4~6月。単体の「PXA270」のほか、フラッシュメモリとスタック(重ね合わせ)した、「PXA271」「PXA272」「PXA273」がラインアップされる。PXA270の価格は1万個受注時で32ドル。
併せて、PXA27xと組み合わせて利用するグラフィックアクセラレータチップ「2700G」も投入する。ワイヤレスMMX向けにチューニングされたグラフィックスチップで、SXGAまでの解像度でデュアルディスプレイをサポート。720×480ピクセル・30fpsのMPEG-2動画の再生が可能なほか、3Dレンダリング性能は毎秒94万4000トライアングルに達する。価格は1万個受注時で17ドル。
PCで培った命令をXScaleベースに
PXA27xは、従来のPXA255などのプロセッサに新機能を追加したものだ。0.18μmのプロセスルールやキャッシュ容量などに変更はない。
新機能のひとつ「ワイヤレスMMX」(関連記事参照)は、マルチメディア処理を高速化する新命令だ。PC向けのMMXと互換性が高く「PCで培った技術とアプリケーションをXScaleベースのチップに移行できる」(インテル)特徴を持つ。Intelによるとマルチメディア系処理において、ワイヤレスMMX付きの624MHzのプロセッサは、「ほぼ800MHz相当の処理性能を達成できる」(インテル)。
ワイヤレスSpeedStepは、クロックと電圧を可変させる技術の総称だ。これまでもPXAシリーズは動作中に2種類のクロック変更が可能だったが、ワイヤレスSpeedStepはクロックに合わせて電圧も可変とすることで、さらに低消費電力化を図る。
動作周波数 | コア電圧 |
---|---|
13MHz | 0.85V |
312MHz | 1.1V |
624MHz | 1.55V |
ワイヤレスMMXとワイヤレスSpeedStepの組み合わせによって、30~77%の省電力効果が見込まれるとIntel。
動作 | PXA262搭載端末(電池900mAh) | PXA27x搭載端末(電池900mAh) |
---|---|---|
MP3を聴く | 10.9時間 | 15.5時間 |
TV電話(QCIF) | 1時間 | 1.3時間 |
ビデオ撮影(QVGA) | 1.63時間(17fps) | 2.66時間(24fps) |
動画再生(QVGA) | 3時間 | 5.3時間 |
PXA27xは、アプリケーションプロセッサとコミュニケーションプロセッサ(ベースバンドチップ)を結ぶ、新しいバス「モバイルスケーラブルリンク」(MSL)にも対応している。現在のところ接続できるのはMSLに対応した「PXA800F」や「Harmon」のみとなるが、最大416Mbpsの通信速度を持つ。
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