番号ポータビリティー、香港の現状(2/2 ページ)
契約する事業者を変更しても、携帯電話の番号が変わらない「番号ポータビリティー」。日本でも早ければ2006年中に実現する見込みとなった。海外に目を向ければMNPを導入している国は多い。中でも1999年3月にMNPが導入された香港では、MNPが盛んに利用されている。香港のMNPの現状を探った。
せっかく獲得した顧客がすぐにまた他社へ乗り換えるのを防ぐため、割引方法も工夫されている。たとえば一括割引ではなく、毎月の基本料金からHK$50づつ、10カ月の割引をする、という方法だ。
これら料金や端末の割引だけでなく、サービスもMNP導入と相まって向上してきている。たとえばパケット通信(GPRS)の使い放題は1年前からSundayが開始してより、SmarToneやNew World Mobilityはコンテンツサービスに力を入れている。また6社のうち唯一高料金を保っているCSLの1ブランド「1010」は、手厚いサポートでビジネスユーザーに絶大な人気を得ている。SMS(Short Message Service)も、同一事業者間では無料のところが増えている。
一方MNP導入によるデメリットは、ユーザー側から見ればあまり感じられない。仮にどこかの事業者のサービスが悪くなれば、ユーザーは電話番号そのままに他社に乗り換えてしまうだろう。
ユーザーの厳しい目にさらされている結果、事業者側は常にユーザーの方向を向いてサービス向上に努めなくてはならず、非常に大きな努力を強いられている。結果として、MNP導入はユーザーに大きなメリットをもたらしている。
なおEメールアドレスのポータビリティーに関しては(2003年11月26日の記事参照)、携帯電話でEメールを利用することが一般的ではないため、ポータビリティー化は議論はされていない。メッセージはSMSかMMSを使うことがほとんどで、どちらも電話番号宛にメッセージを送る。すなわち電話番号さえ移転できれば、メッセージに関してもそのまま使えるわけだ。
ユーザー視点では“プラス面ばかり”
MNP導入のコストは、香港ではMNPを利用するユーザーのみが負担する。新規加入時にはこれにSIMカード代金が加わり、MNP手数料と合わせてHK$140(約2000円)がかかる。ただし一部の事業者は、この費用を無料にしているところもある。
人口に対して事業者の数が多いことも、各社の競争を促す結果となっている。激戦区では、6社の販売店が同じエリアにひしめき合っており、隣同士のショップで客を奪い合うことも日常茶飯事だ。W-CDMAサービスを提供する事業者も(1月28日の記事参照)、今年末には現在の1社から4社に増える予定で、ますます顧客の奪い合いが激しくなっていくと予想される。事業者側にとってみれば消耗戦が続くが、ユーザー側にしてみればプラスの面ばかりが多い。
OFTAの当初の目論見通り、香港におけるMNP導入の目的は今のところ果たされているようだ。
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