“機能のシャープ”が目指す新たな方向性は「快適さ」:シャープ開発陣に聞くSH902i(前編)(1/2 ページ)
316万画素カメラ、フルブラウザ対応と相変わらず高機能を詰め込んだ「SH902i」。しかし開発現場が志向したのは“アナログな快適さ”だった。
シャープ製のFOMA端末といえば、「機能重視」という印象がある。新しく発表された「SH902i」のスペックを見ても316万画素のCCDカメラ搭載、フルブラウザ対応、ドキュメントビューア搭載……と機能面の充実ぶりが目を引く。
しかし、開発現場が端末コンセプトとして掲げたのは実は「快適さ」だった。シャープ通信システム事業本部、パーソナル通信第一事業部の商品企画部副参事、木戸貴之氏にSH902iの設計思想とこだわりを聞いた。
「快適さをもたらす液晶」とは?
木戸氏は、シャープ端末といえば“液晶”や“カメラ”のイメージではないかと話す。実際同社は高スペック、高性能の端末開発に、精力的に取り組んできた。ただ902iでは、少し方向転換を考えた。「デジタルな部分ではなく、アナログな快適性にこだわることにした」(同氏)。機能一辺倒でなく、より情緒に訴える部分に配慮したという。
液晶を例にとると、シャープ自慢の「モバイルASV液晶」を採用したのは従来機種と変わらない(10月20日の記事参照)。そこに、視野角を切り替えられる機能(=VeilView)を付与して快適さをアピールした。同機能はシャープ製「DOLCE」でも採用されたものだ(8月2日の記事参照)。
「サイドに備えた『視野角切替ボタン』を押すだけで、ディスプレイの視野角を変えられる」。プライベートシーンでは視野角を狭くするイメージだという。
(左)横からのぞきこんでも、画面を見ることができない。代わりに文字(あるいは幾何学模様)が浮かび上がるが、このフレーズはDOLCEと同じ(右)端末右側面プッシュトークボタンの上に、視野角切替ボタンがある
液晶まわりではもう1つ、自動調光センサーを備えた。これは周囲の明るさに応じてディスプレイの明るさを自動調節するためのもので、テレビなどで導入事例がある。「明るい場所では、キーのバックライトなど不要だという声も多い。明るい場所ではキーのバックライトを消すことで、消費電力を抑えることができる」
SH902iの液晶は、暗い場所では多少明るさをセーブしても文字を識別できるため、画面輝度を下げる。明るい場所では、周りの明るさに負けないように画面輝度を上げ、見やすく表示する(同時にキーバックライトを消す)。ただし、太陽光のように極めて明るい環境下では、逆にディスプレイのライトを消して「反射型液晶」として表示を行う。「透過型」と「反射型」、両方の特性を備えたシャープ製液晶を採用しているため、こうした手の込んだ調整が可能になるという。
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