ドコモ、HSDPA対応機を試作
NTTドコモは次世代通信方式「HSDPA」に対応した試作機を開発した。富士通、Motorola、NECとの共同開発。端末は「RAZR」ベースのものも用意される。
NTTドコモは次世代通信方式「HSDPA」(用語参照)に対応した試作機を開発したと発表した。2月13日から16日にかけてスペイン・バルセロナで開催される「3GSM World Congress 2006」で展示する。富士通、Motorola、NECと共同開発しており、3機種が用意されている。
HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)は、次世代の高速パケット伝送技術。ドコモでは以前から、2006年度第2四半期に対応サービスを開始すべく準備を進めている(2004年3月3日の記事参照)。試作機のデータダウンロード速度は、いずれも従来の約10倍となる最大3.6Mbpsを実現しているという。
HSDPAの規格としては、3GPP Release.5のカテゴリー6に対応。HSDPAは理論上「下り最大14Mbpsを実現する技術」と紹介されることが多いが、カテゴリーによって速度が異なり、カテゴリー6の場合は3.6Mbpsが上限となる(2005年6月2日の記事参照)。
HSDPAのイメージとは?
試作機が明らかにされたことで、ドコモのHSDPAの姿がおぼろげに見えてきた。端末開発は、海外メーカーのMotorolaを含めた複数社が積極的に取り組んでいる状況。サービス開始当初から、複数のHSDPA端末が発表されると見てよさそうだ。なお、各社によって開発状況にばらつきがあるかもしれず、発売時期などは何もいえないという。また3メーカー以外が端末を開発する可能性は「未定」(ドコモ)。
試作機のボディ形状はそれぞれ富士通製「F901iS」、Motorola製「V3X」(RAZR)、NEC製「N902i」をベースとしているが、当然ながら実際にこのままの形状で販売されるわけではない。価格は「従来のFOMAから高くなるのか、さほど変わらないかなども含めて、現状では未定」(NTTドコモ)とのこと。
HSDPA端末では、従来のFOMA同様iモードサイトの閲覧やiモードメールの送受信が可能。インフラ側は従来のFOMA向け基地局をアップデートすることでHSDPA対応となるため、「HSDPA対応済み」の基地局とのみ最大3.6Mbpsの通信を行える。ただし「本サービスがそうなると決まったわけではないが、HSDPA未対応の基地局とも、従来どおり384kbpsでの通信は可能だ」という。
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