魅力も多いが中途半端さも目立つ――ウォークマンケータイ:「W42S」の音楽機能を試す(2)(2/2 ページ)
国内初となるウォークマンブランドの携帯端末「W42S」。2回目のレビューは、そのシンボルともいえるミュージックシャトルの使い勝手と、PCからの音楽データ転送についてチェックしてみよう。
「LISMO」の不満を「メモリースティックオーディオ」+「SonicStage CP」でカバー
「au Music Port」を利用することで、端末だけでなくPCでも音楽のダウンロード購入が可能だ。ただ、既にMP3やAACといった形でPCに音楽を取り込んでいるユーザーにとって、音楽CD以外に手持ちの音楽を取り込めないau Music Portは不便だろう。また、端末とPCの接続はUSB1.1のみでデータ転送速度はお世辞にも速くない。
「メモリースティックオーディオ」のサポートはウォークマンブランドである以上必然であると同時に、LISMOへの不満をいくらか解消してくれる。メモリースティックDuoへの楽曲転送や管理を行なう「Sonic Stage CP」は、音楽CDの取り込みだけでなくMP3/WMA/M4A(iTunesのAACファイル)といったPC上で利用されている圧縮オーディオファイルのインポートを広くサポートする。自動でメモリースティックオーディオ(ATRAC3)への変換と、メモリースティックDuoへの転送も行ってくれる。
「Sonic Stage CP」はATRAC(ATRAC3/ATRAC3 Plus/ATRAC Advenced Lossless)に加え、WAV/MP3/WMA/AACをサポート。圧縮済みの音楽ファイルはもちろん、CD録音時に任意のフォーマットを選択できるなどau Music Portと比較すると、ぐっと懐が広い
Sonic Stage CPはATRAC3に変換した音楽データをキャッシュしているので、ATRAC3以外の音楽データを2回目に転送する場合に、再度の変換作業が不要だ。また、変換中のバックグラウンドで効率よく転送作業も行なう。事前にMP3やWMAなどをATRAC3に変換することもできる。歴史あるソフトだけに細かい点で配慮が多く、LISMOが抱えるジレンマをカバーしてくれるのだ。
魅力も多いが、中途半端さも目立つウォークマンケータイ
本製品はデザインも機能も音楽プレーヤーであることを強く意識しており、満充電時で最大30時間という再生時間や、リモコンなしでも音楽プレーヤーとして便利に使えるミュージックシャトルは確かに魅力だ。本機が初めてのシリコンオーディオプレーヤーというなら、大きな不満は感じないだろう。au Music Portで音楽CDを取り込むなら内蔵の1Gバイトメモリで十分であり、追加コストも発生しない。
内蔵メモリ1Gバイトのシリコンオーディオプレイヤーの価格を考えれば、購入価格もリーズナブルに感じられると思う。これまで触れたように、音楽携帯としての使い勝手も申し分ない。
反面、シリコンオーディオプレーヤーを既に利用しており、音楽を大量にMP3やAACでPCにため込んでいる人にとっては、魅力が半減するかもしれない。LISMOのみをサポートする他のau端末と比較すれば、MP3/WMA/AACファイルもATRAC3に変換して転送できるなど魅力も多い。しかし、ATRAC3 Plus非対応という点は強く疑問に思う。ATRAC3 Plusが登場して2年以上が経過しており、シリコンメモリやHDDを内蔵するウォークマンのユーザーには、音楽をATRAC3 Plusでためているユーザーも多いはずだ。
もちろん、転送時にATRAC3に自動変換されるため、ATRAC3 Plusの音楽データも本機に転送はできるが、どうも腑に落ちない。せっかくメモリースティックオーディオの再生では、1回の充電で最大28時間もの再生時間を実現しているのだから、もう少し既存のウォークマンユーザーのニーズも意識して欲しかった。
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