インタビュー

「P903i」がこだわった“903i最速&長時間”、そして“P”端末の今後開発陣に聞く「P903i」(2/3 ページ)

カスジャケ&ワンプッシュオープン──“P”端末らしい特徴を引き継いだ「P903i」。しかし「全面一新」といえるほどハード/ソフトの両面を進化させていた。何が変わったのか、どんな工夫をしたのか。パナソニック モバイルのP903i開発チームに話を聞いた。

「DC FF VII」を動かすということ

P903iおよびP903iX HIGH-SPEEDのみで動作するメガiアプリ「DIRGE OF CERBERUS -FINAL FANTASY VII-」
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ITmedia アプリの話が出たところで、P903iにはメガiアプリの大作タイトル「DIRGE OF CERBERUS -FINAL FANTASY VII-」がプリインストールされるのも特徴の1つです(903iシリーズでは、P903iとP903iX HIGH-SPEEDのみに対応)。

 なぜ“P”だけしか対応できないのか、という理由はスクウェア・エニックスの伊藤プロデューサーが述べていましたが、その実現に苦労した点などはありますか。

グラフィック・ソフトウェア担当 春元英明氏(以下、春元氏) 私はグラフィックファームウェアを担当しました。PCで言うとグラフィックスカードドライバのような部分となります。

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 このアプリは3Dグラフィックエンジンだけでは動きません。レーシングカーに例えるとベースとなるシャシー/ボディのほか、エンジン、駆動系、足回り、タイヤなどがあり、そしてドライバー(運転者)がいます。すべてがよくないと速く走れません。

 ドライバーはDC FF VIIアプリで、シャシー/ボディはJavaプラットフォーム。弊社が担当したのはこのうちエンジン、駆動系、足回り、タイヤになるでしょうか。CPUやディスプレイ表示、コマンド制御、キーレスポンス、音声出力などです。そのうち1つでも遅い部分があると、アプリは快適に動きません。3D表示は高速だが、何か入力しようとすると遅くなる……ではゲームとして成り立ちませんから。

 P903iはプラットフォームを一新したので、ドライバもほとんど一から作り直しています。FF VIIアプリを載せることは大変チャレンジングな試みでした。しかし「903iシリーズで最速」を実現できたと思っています。

ITmedia なるほど。最近は「*90xiには非対応」というゲームアプリも少なくなってきましたが、今後もパフォーマンスの善し悪しをアプリで計る(アプリが対応しているか否かなど)ことも選択ポイントの1つになるのでしょうか。そうだ。携帯用標準ベンチマークソフトとかを作ってくださいよ。

伊藤氏 社内ではそのような評価ツールで数値を取っています(笑)。公表はできないのですが、P903iは相当数値が上がっている結果となっています。

“さくさく”と“もっさり”

ITmedia ところで携帯では“さくさく”と“もっさり”という言葉がよく聞かれます。これについてどう思いますか?

伊藤氏 これは重要なテーマの1つです。以前の機種より、画面の解像度やサイズも変わっていますし、駆動するソフトウェアの重さも変化しています。例えばリアルタイムOSを使っていたP504iは、キー1押しで“ぱっ”と表示できました。対して最近の端末は汎用のOS(LinuxやSymbian)を使っており、上に何階層ものレイヤーがあります。その中で“ハード直たたき”に近いレスポンスを出すのはやはり難しいところがあります。

 しかし心理的に、キーを押してワンテンポ遅れたり、ぱぱぱと操作して入力がついてこなかったら、それは“もっさり”していると思ってしまいます。

 ムーバからFOMA(P900i)になったとき、ユーザーからはもちろん、内外から遅いという声が上がりました。しかしそれが反面教師となり、徹底的な改善の方向に向かいました。

 P504iの操作レスポンスを超えたら……どうですか。我々も目指しましょうか(笑)。

ITmedia ぜひ。実現したらすごいと思いますよ。

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