キーワードは“洗練”――三菱電機が抱くスライド端末へのこだわり:「D904i」開発陣インタビュー(2/2 ページ)
三菱電機製の「D904i」は、スライドボディという特徴は維持しながら、従来モデルとは異なる部分も多い端末だ。本体の傾きを検知するモーションコントロールセンサー搭載の経緯や、“ワンプッシュオープン”からの変更理由などを開発陣に聞いた。
デザインに見るスライド進化への挑戦
D904iのボディカラーはミラーワイン、ミラーブラック、スーパーホワイト、ブリリアントピンクの4色展開で、それぞれの色は多層膜処理(色の重ね)を施している。例えばブリリアントピンクなら、光量や角度によって白っぽく見えたり、紫っぽく見えることがあるという。「新しさを強調する色ではなく、深みのある落ち着いた色を選択した」と谷田川氏は説明する。
また、通常であればブリリアントピンクは女性、ミラーブラックは男性といったようにターゲットを絞ることも多いが、D904iではそのような想定をしていないという。
「ミラーワインは最初、年配者向けの色と言われた。ただ実際に調査をかけてユーザーの反応を見ると、世代を問わず支持される色だった。ワインレッドの高級車を今の若い人は知らなくて、知らないからこそ新鮮に見える。一見すると男性向けのミラーブラックも、光沢や色味を調整することで、従来のブラックよりも女性向けに仕上がった。この色はこうだと短絡的に考えるとチープになるので、既成概念にとらわれずに色を決めた」(谷田川氏)
デザインで特徴を出しづらいとされるスライド形状だが、D904iのテーマは“スライドのさらなる進化”だったこともあり、これまでのデザインを洗練させようと考えたと谷田川氏は話す。具体的には端末の凹凸をなくし、全体をキレイにまとめることを目標にしたという。これに伴い、D904iではカメラのレンズカバーやスライド式のイヤフォンジャックがなくなった。
凹凸という点では、ソフトキー部の出っ張りがなくなったのも見逃せない。従来モデルではソフトキーとディスプレイの距離が短く、液晶のドライバ部分にキーが乗ってしまうことから、ソフトキー部に出っ張りが生まれていた。この距離をD904iでは若干開けることができたため、よりフラットなボディに仕上げられたのだという。
また谷田川氏は、デザインの特徴には凹凸以外に“線”もあると続ける。折りたたみ、スライドなど形状問わず、端末は上筐体(ディスプレイ側)と下筐体(ダイヤルキー側)が組み合わさってできている。さらに言えば、上筐体(下筐体)自体も2つの箱をつなぎ合わせてできていることがほとんどだ。筐体や箱をつなぐ部分には境目、つまり“線”が存在する。
例えばD903i オータムゴールドを横から見ると、ゴールド/シルバー/シルバー/ゴールドの4層で構成されており、各層の間には線が存在する。境目ごとに色を塗り分けることで、線を目立たせない工夫はあるものの、よく見れば線は3本あるのだ。一方のD904iはどうか。上筐体/下筐体ともに1層で作られているため、線は上筐体と下筐体の間の1本しかない。
「上筐体と下筐体の完全な一体感を出せた。スライドを閉じた状態ならストレート端末にも見えるぐらいに仕上げている」と、谷田川氏は胸を張った。
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