音楽の3本柱に+α――実は“硬派”な「ウォークマンケータイ W52S」:開発陣に聞く「W52S」(ウォークマン編)(2/2 ページ)
“ウォークマンケータイ”の第2世代機目として登場した「ウォークマンケータイ W52S」。曲線主体のボディからは想像できないほど、“硬派”に音楽と向き合っている。
必然から生まれたあのカタチ
W52Sはその外観も特徴的だ。曲線を多用したフォルムをはじめ、右側面の「ミュージックキー」や背面に搭載された大型スピーカーは独特の存在感を放っている。シンプルで直線的なボディデザインを採用する携帯電話も多い中、一見すると非常に挑戦的なデザインにも思える。
「音楽ケータイというテーマに沿って、スピーカーや大画面液晶など必要と思われる要素を入れていったら、現在の形状に落ち着きました。テーマとは直接関係しない、薄いスライドボディを実現したいという意向もありましたが、基本的には必然から生まれたカタチです」(矢部氏)
「片手で音楽操作というテーマも盛り込まれていますし、(大型液晶を搭載する)表面はビジュアル、(スピーカーを搭載する)背面はミュージック、という“デュアルインタフェース”も実現しています」(同)
背面スピーカーは一見すると30ミリ以上あるように思えるが、実は20ミリ径×2のステレオ構成。ただ、スピーカー間の距離は非常に狭く、手に持って音楽を再生してみても、ステレオ感を得るまでには至らない。
「これまで携帯電話のスピーカーといえば、音が鳴ればいいというイメージでした。ですが、今回はきちんとした音を出したいと考え、ステレオスピーカーの採用に踏み切りました。もちろん、すべての人に満足してもらえるとは思っていませんが……」(鈴木氏)
「付属のスタンドにはくぼみが設けられており、置いて音を出せば、そのくぼみがガイドラインとなって音をセパレートさせることができます。大口径のモノラルスピーカーも検討しましたが、音の広がりを重視した結果、現在の構成になりました。今回はこれが精一杯でしたが、次はよりステレオ感のある配置を目指します」(矢部氏)
曲線を多く配したボディラインや、アルペジオブルー/、ハーモニクスホワイト/、ピチカートピンクと暗色系を用意しなかったカラーラインアップも意図的なものだという。
「あえて曲線主体のデザインと現在の3色を選択しました。アルペジオブルーについてはウォークマンとイメージの共有化を狙った面もありますが、こびないデザインとカラーリングはW52Sのポリシーとも言える部分です」(山下氏)
「110時間再生」のインパクト
W42SユーザーがW52Sへ乗り換えた場合に最もメリットとして感じられるのが、最長110時間に延長された連続音楽再生時間かもしれない。W42Sは音楽再生用チップ「モバイルエンハンサー」を搭載していたが、W52Sではどのようにして長時間再生を実現したのだろうか。
「モバイルエンハンサーは基本的な考え方こそW42Sと同じですが、ICを全面作り替えました。ICの作り替えもそうなのですが、省電力化のため電源周りも見直しましたので、システム全体を“音楽再生の長時間化”という目的のために最適化したというべきでしょう」(鈴木氏)。ちなみに、バッテリー容量はW43Sと同じ870mAhだ。
“110時間”という数字は実にインパクトのある数値だ。カードタイプのウォークマン「NW-A800」(レビュー)が30時間、スティックタイプの「NW-S600/700」が50時間であることを考えると、音楽再生以外の用途もある携帯電話であるW52Sの音楽再生時間がどれほど長いかがイメージできる。
「ケータイはついに、WALKMANを手に入れた」というキャッチフレーズとともにW42Sが登場して約1年。登場したW52Sは“みんなで音楽を楽しむ”という新機軸を追加しながら「全方位的な強化」(山下氏)が行われており、新世代機と呼ぶにふさわしい端末に仕上がった。
ただ、開発陣からは「さらによいウォークマンケータイを作り出したい」という意欲も感じられた。ウォークマンケータイは携帯電話+ウォークマンという多機能さゆえ、どうしても操作インタフェースが複雑化しやすい。W52Sではミュージックキーの採用でそれに1つの解答を示しているが、開発陣は現在のかたちが最終形とは思っていないようで、それは言葉の端々から伝わってきた。
第3世代ウォークマンケータイが登場するかは分からないが、開発陣の飽くなきウォークマンケータイへの意欲がある限り、今後もブラッシュアップが続けられていくだろう。
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