W52Tと何が違う?──ハイエンド端末「W54T」は“ここ”が進化した(4/4 ページ)
“ほぼ全部入り”のハイエンド端末、それが東芝製の「W54T」。2007年春モデルで最強と謳われた「W52T」の後継モデルとして特徴機能のほぼ全てを継承し、新たにステンレスの高級感ある薄型ボディを採用してリニューアルした。前モデルのW52Tからどこが変わったか、どう進化したのかを検証していく。
Bluetoothも継承──ワイヤレスの音楽再生は従来通り可能
W54Tはauの2007年夏モデルとして、Bluetoothに唯一対応する。その機能は、カタログスペックを確認する限り、W52Tから特に変化はないようだ。
では、手持ちのBluetooth機器を利用してひと通り動作検証を行ってみよう。使ってみないとどうなっているかが分からないのも国内の携帯におけるBluetooth機能(この辺は国内の携帯にBluetoothが“標準”となれば改善されると思うのだが、なぜドコモやau端末は採用例がなかなか増えないのだろう)。いくつかのハンズフリー機器とオーディオ機器で動作を確認した結果が以下の表だ。
今回使用したBluetooth機器は全て「HFP」に対応し、ペアリングから実際の利用まで問題なく行える。ハンズフリー機器側から電源オンやフック操作での自動接続も問題ない。音声着信時のハンズフリー機器側の呼び出し音は固定となり、着メロや着うたなどが流れない点は(残念ながら)東芝製の従来機種通りだ(「W52T」レビュー参照)
Bluetoothオーディオ機器に関しては、ワイヤレス再生のための「A2DP」接続で著作権保護機能の“SCMS-T”が必須である点は従来通り。ドコモのBluetoothオーディオレシーバー「Wireless P01」(パナソニック モバイル製)やソニー製の「DR-BT21G」では、オーディオ機器としての動作中(音楽再生、ワンセグ視聴)の音声着信時におけるハンズフリー動作への自動切り替え、そして音声通話終了後のオーディオ機器動作への自動復帰も問題なく動作した。ちなみに標準オプションの「Receiver01」とWireless P01、DR-BT21Gは、オーディオ機器側のみの操作で音楽再生の開始や終了操作も問題なく行える。
一方、SCMS-T非対応の「MPX3000R」(モバイルキャスト製)は、ハンズフリー機器としては問題なく利用できるが、オーディオ機器としてはペアリングできるだけで一切音声出力はされず、ワイヤレス音楽の再生は行えない。もちろんMPX3000Rは期待薄と分かっていながら取り上げたのでフォローしておくと、モバイルキャストからは折りたたみ式のネックバンドタイプで“SCMS-T”をサポートする「MPX2200R」が登場している。こちらは本機の推奨商品にもなっている。
かなり効果のある「マイナーチェンジ」を果たしたハイエンド端末
今回はW54Tの、W52Tからの変更ポイントを中心に触れた。W52Tの発売から半年にも満たない期間で投入された、純然たる後継モデルであり、デザインが大きく変わったことを除けば主要機能の差異は小さく、いわゆるマイナーチェンジモデルと言えなくもない。
もっともこのマイナーチェンジは非常によい意味でのマイナーチェンジだ。主要機能だけを列挙すると最強だが、ほかの機種では許されても“ほぼ全部入り”だからこそ詰めが甘い部分もあったW52Tの弱点を改善し、操作性にもメスが入った。もちろん主要機能として追加する要素がほとんどないという実情もあったのだろうが、こういったマイナーチェンジなら大歓迎とすべきだと思う。
ただ、そんなW54Tも完璧ではない。アラを探せばきりがないわけだが……、例えばボイスメモが相変わらず低音質な「Q-CELP」コーデックのままである点は筆者が気になった部分の1つ。音楽再生に関しては、Bluetoothオーディオ機器だけで操作できる音楽再生機能の使い勝手はよいものの、PCからの楽曲インポートにあの鈍重な「au Music Port」を使わなければならないのが憂鬱だ。au端末の場合は端末メーカーが独自性を打ち出しにくい共通プラットフォーム化がすでに進んでいるので、この辺はau端末全体での改善を待たざる得ない部分もあるだろう。そして、デザインは洗練されたが重量は151グラムと、最新端末としてはかなり重いのももう少しなんとかしてほしい。
ともあれ、機能を総合的に見ると、auの2007年夏モデルでW54Tが“最強機能”端末であることに間違いはないだろう。同じ位置付けだったW52Tと比較しても「どうしてこれができないの?」という不満が生じることはかなり少なくなったはずで、デザインもより洗練された。より完成度を高めた「ほぼ全部入り」としての魅力は大きいはずだ。
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