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松屋の券売機が「思いのほか使いやすかった」 それでもネットで不評なのはなぜ?

松屋の券売機はUIの複雑さや背後の列のプレッシャーから、度々不満の的となっている。企業側は放置せず多大なコストで改修を重ねているが、逆に利用者の混乱を招く結果になった。このUX低下への自衛策として、自分のスマホで焦らず注文できるモバイルオーダーへ移行する客が増加している。

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 日本の牛丼チェーン御三家の1つとして、多くの人々の胃袋を支える「松屋」。豊富なメニューと手頃な価格で根強い人気を誇る一方で、近年ネット上で度々議論の的となっているのが、店舗入り口にある券売機(セルフオーダー端末)の使い勝手だ。2026年5月、X(旧Twitter)などのSNS上で「松屋はまた端末を変えたのか。牛丼の大盛りが欲しいだけなのに全く分からない」という投稿が大きな反響を呼んだ。

 投稿者は店員に助けを求めたものの、店員自身も操作が分からず購入できなかったというエピソードを共有し、「スムーズに買わせたくないのだと思う」と強い不満をあらわにした。この投稿を皮切りに、「買いたくても買わせないトラップだ」「これで行かなくなった」といった共感の声が殺到した。

松屋 券売機
店舗の入り口に設置された巨大なタッチパネル式券売機。SNSでは使い勝手への不満が度々上がっているが……(画像は券売機のトップ画面)

直感的で「思いのほか使いやすい」現在のUI

 これほどまでに不評を買っている券売機だが、実際に店舗へ足を運んで操作してみると、ネット上の声とは裏腹に「思いのほか使いやすい」という印象を受けた。

 まずトップ画面で「店内」か「持ち帰り」かのどちらか一方を選択すると、画面にはメニューのカテゴリーが表示される。そこから各メニューの詳細へと進むことができる仕様だ。アイコンも大きくて分かりやすく、「牛めし」のサイズ変更(大盛りなど)や、つゆの量を選択する画面へもスムーズに移行できた。目的の商品を探し出して注文を完了させるまでに迷う要素はほとんど見当たらず、SNSで言われているような「買わせないトラップ」とは程遠い、直感的な操作が可能だったのだ。

松屋 券売機
店内か持ち帰りのどちらか一方を選択してから、カテゴリーごとの商品選択に進む。アイコンも大きく、予想以上に簡単に操作できた
松屋 券売機
商品の詳細へ進むと、米やつゆの量などを分かりやすく選択できる。迷う要素はほとんどなかった

実は「大規模改修を実施していた」と松屋フーズ側は明かす

 ネット上の不満と、実際の使いやすさ。このギャップはなぜ生じているのだろうか。松屋フーズへ直接取材を申し込んだところ、驚くべき実情が明らかになった。

 同社広報は「UI改善や機能強化を目的として継続的にソフトウェアの改修を実施しています」と回答。さらにシステムの大幅な変更時期について問うと、「直近で大規模な改修やハード交換はございません。ハードは2021年頃から2024年7月にかけて交換を実施。ソフトウェアは2025年1月〜9月にかけて大規模な改修を実施しました」と明かした。

 つまり、企業側は決して問題を放置していたわけではなく、多大なコストをかけてシステムを刷新していた。今回筆者が体験したのは、この大規模改修を経て使いやすさが大きく向上した最新のUIだったと考えられる。端末のハードウェアおよびソフトウェアは「基本的に全ての店舗で同一仕様」(同社広報)だという。

松屋 券売機
企業側は決して問題を放置しているわけではなく、UI改善や機能強化を目指して継続的なソフトウェアの大規模改修を実施していた

使いやすくなった券売機が、それでも不評な3つの理由

 大規模改修によって操作性が向上しているにもかかわらず、なぜ2026年になってもSNSでは「使いづらい」「大盛りにたどり着けない」といった不満が目立つのか。そこには主に3つの理由が考えられる。

 1つ目は、「過去の体験」に引っ張られている層の存在だ。2025年の改修前の複雑だったUIにうんざりして、それ以来松屋へ行かなくなった人たちが、ネットの話題に便乗して「松屋の券売機は使いにくい」と過去の不満を再燃させている可能性が高い。つまり、声を挙げている人の一定数は、改修後の改善されたUIを体験していない層の可能性が高い。

 2つ目は、UIの変更自体への戸惑いだ。企業側がよかれと思って継続的なアップデートを行っても、来店頻度が低いユーザーにとっては「また画面のレイアウトが変わった」とついていけず、現在のUIが本当に使いづらいと感じてしまう少数派の層もいるだろう。

 3つ目は、端末間の「一時的な差異」だ。同社広報は全店同一仕様としつつも「入れ替え時期による一時的な差異は除く」としている。全国に展開する店舗の中には、いまだに改修前の古いUIのまま稼働している券売機が存在し、それに直面してしまったケースもあるのかもしれない。

最終的な解決策は「モバイルオーダー」への移行か

 このように、現在の松屋の券売機はシステム面で確実な進化を遂げている。しかし、店頭の端末を立ったまま操作し、後ろに人が並んでしまうと「焦ってしまい、迷う時間が奪われる」という、券売機特有のプレッシャーが解消されたわけではない。

 こうした環境面でのハードルに対する解決策として支持を集めているのが、「モバイルオーダー」への移行だ。SNS上では、端末への不満が語られると同時に、「店内でお茶を飲みながらモバイルオーダーする方が楽」「アプリの注文しか勝たん」といった声が見られた。

 使い慣れたスマートフォンで、席に座ってゆっくりとメニューを選び、そのままキャッシュレスで決済を完了できるモバイルオーダーは、現在の店舗において最も精神的負担の少ない注文方法として浸透しているようだ。実は同社自身も、2020年に同サービスを本格導入した際、「券売機を使わずスマホで簡単ラクラク注文」とアピールしてきた。

 券売機が使いづらいと感じる人は、モバイルオーダーという選択肢があることも覚えておいてほしい。

松屋 モバイルオーダー
店頭の端末を横目に、自分のスマートフォンからゆっくりと注文できるモバイルオーダーは、プレッシャーから解放される解決策だ(出典:松屋モバイルオーダー導入店舗拡大のニュースリリース)

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