デス・プルーフ in グラインドハウス「ラナ、早く来て!」:Mobile&Movie 第276回
映画に登場する“モバイル製品”をチェックする「Mobile&Movie」。今回ご紹介するのは、タランティーノ監督の最新作『デス・プルーフ in グラインドハウス』。1970年代の雰囲気とケータイのミスマッチが不思議なムードを醸し出します。
今回ご紹介するのは、タランティーノの最新作『デス・プルーフ in グラインドハウス』。“グラインドハウス”とは、1960~70年代アメリカに数多くあったB級専門の映画館の総称。今回タランティーノも盟友ロバート・ロドリゲスとの2本立てというスタイルで、21世紀に“グラインドハウス”を蘇らせたのでした。
一部の映画館を除いては、タランティーノのデス・プルーフとロドリゲスの『プラネット・テラー』は別々に上映されますが、2本立てB級映画の雰囲気は十分味わえます。デス・プルーフでは、1970年代のテイストを盛り込みつつも、舞台は現代になっており、携帯電話も登場します。
テキサスの人気ラジオDJジャングル・ジュリア(シドニー・タミーア・ポワチエ)は、地元に久しぶりに戻って来た友人バタフライ(ヴェネッサ・フェルリト)と過ごす週末を楽しんでいました。友人シャナ(ジョーダン・ラッド)の別荘に、女の子だけで遊びに行く計画を立てていたのです。
ドライブ前に立ち寄ったバーで、男たちの視線は人目を惹くジャングル・ジュリアに釘付け。バタフライもまたセクシーなダンスで、注目を浴びていました。バーにいる男たちは、ジュリアとバタフライを必死に口説こうとしますが、2人は冷たく突き放します。シャナの父親が厳しいので別荘に男は立ち入り禁止、今夜は女だけで盛り上がるのだと。ジュリアは、携帯電話でさらに女友達を呼び寄せます。
「ラナ、早く来て!」
モテモテのジュリアですが、本命の彼以外は眼中になく、ラナへの電話を切った後は彼氏へと“XOXO”(キスマーク)付きのラブラブメールを送り続けていました。
一方、同じ店のカウンターでは、ジュリアとは昔から仲の悪いパム(ローズ・マッゴーワン)が、
「家まで送ってくれない?」
と隣の席の男と話し込んでいました。その男の名前はスタントマン・マイク(カート・ラッセル)。この辺りで見かけたことのない男でしたが、店のバーテンダー(クエンティン・タランティーノ)の顔見知りと聞いて、パムはマイクに送ってもらうことにします。同じ頃、ジュリアたちも店を出てシャナの別荘へ向かうことに。ラナの運転する車で、カーステレオのボリュームをあげて歌いながらガールズナイトは盛り上がります。
そんなジュリアたちを、スタントマン・マイクはドクロマーク付きの改造シボレーで追いかけます。この耐死仕様(デス・プルーフ)の車こそ、走る殺人凶器。ジュリアたちの楽しいドライブは一瞬にして、悪夢に変わってしまったのでした。そして、助手席に乗っていたパムの運命は……。
壮絶なカーチェイスと、爽快な復讐劇。タランティーノのB級映画へのオマージュがたっぷり詰まった作品です。
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