ソフトバンクが「実績ゼロ」のAIスマホを独占販売する理由 AppleやGoogleにはない強みとは:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)
ソフトバンクはOSレベルでAIエージェントを統合した「Natural AI Phone」を4月24日に独占発売する。ユーザーがアプリを直接操作せずともAIが複数のサービスを横断して注文や送信などのタスクを代行する。既存のアプリ中心のエコシステムを覆す野心的な試みであり同社は先進層によるメイン機利用を想定する。
ソフトバンクは、米スタートアップのBrain Technologiesが開発したAIスマホ「Natural AI Phone」を4月24日に発売する。AIエージェントをOSのカーネルレベルに組み込み、ユーザーがアプリを直接操作することなく目的を達成できるのが特徴だ。ユーザーの嗜好(しこう)を学習する機能も備えており、パーソナライズした情報を提供する。
Brain Technologiesが開発したスマホを発売するのは世界初。ソフトバンクとは、国内で1年の独占契約を結んでいるという。メーカーとして実績のないスマホをここまで大々的に取り扱うのは異例で、実験的な取り組みといえそうだ。では、この端末は一般的なスマホとはどこが違うのか。また、ソフトバンクはなぜAIスマホを投入するのか。取材から見えてきた両社の狙いを解説していく。
「アプリを開く」常識を覆す、OSカーネル直結のAIエージェント
Natural AI Phoneは、その名の通り、自然な操作性を目指して開発されたAIスマホだ。Brain TechnologiesのCEO、ジェリー・ユー氏は、今のスマホの根本が「(初代iPhoneが登場してから)19年間、まったく変わっていない」と語る。実際、エコシステムの中心はアプリで、「開いてボタンを押すと何かが起こる」(同)という大枠は変わっていない。むしろ、時間がたったことで、まずアプリを開くという作法がユーザーの中にも根付いてしまっている。
一方で、ユーザー自身の行動が、1つのアプリに収まることはまれだ。ユー氏が「夕食に行くという単純なことの中にも文脈が存在する」というように、友人を誘うためにLINEでメッセージをやりとりしたり、食べログのようなアプリで飲食店を探したり、さらにはそこに行くためにUberやGoなどのアプリを開いてタクシーを手配したりと、さまざまなアプリの機能を理解したユーザー自身がアプリを呼び出している。
何らかの行動を起こす際に、「アプリ単位で物事を考えるわけではない」(同)――Natural AI Phoneは、こうしたコンセプトで開発されたスマホだ。具体的には、専用キーでエージェントAIを呼び出し、それに命令することで必要な操作を代わりに行ってくれる。例えば、「新しいXiaomiの毛玉取り機がほしい」というと、AIはAmazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングなどを横断的に調べて、該当するものをカートに入れてくれる。
また、「LINEで〇〇さんにメッセージを送りたい」というと、LINEを呼び出し、該当する人を選んだ上でメッセージが送信される。側面の「AI Button」をダブルクリックすると、画面を読み取り、ユーザー自身の嗜好を学習し、結果にそれを反映してくれる。こうした蓄積を踏まえることで、AIとのより自然なやりとりが可能になる。
現時点で自動的な操作に対応しているのは、「Gmail」「Googleマップ」「Googleカレンダー」「YouTube」「LINE」「食べログ」「Amazon」「楽天市場」「Yahoo!ショッピング」の10アプリと少ないが、今後、数は順次拡大していく予定だという。LINEや食べログ、楽天市場など、日本市場ならではのアプリが利用できるのは、ソフトバンクからの要望に応えたためだ。
ソフトバンクのコンシューマ事業統括 プロダクト本部 本部長の足立泰明氏によると、「日本には特有のサービスもあるし、ソフトバンクグループにもサービスがある。必要とされるサービスを優先するよう優先順位を変更してもらったり、どのようなサービスかをご説明して納得して対応していただいたりした」という。また、おサイフケータイなど、ハードウェアとして必要な要件もソフトバンクから提示し、「ここまでのスペックだったら出せるということで対応してもらった」(同)。
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