「Pixel 10/10 Pro」はスマホの使い方をどう変えるのか “スペックシートに表れない”進化が差別化に(1/3 ページ)
Pixel 10シリーズは、外観やスペックなどが前モデルの「Pixel 9」から大きく変わっていないようにも見える。全面に打ち出されているのはAIのGeminiだ。こうした端末のコンセプトから、Googleの戦略や狙いを読み解いていきたい。独自チップ「Tensor G5」が可能にする機能が差別化要素になる。
Googleは、Pixelシリーズの最新モデル「Pixel 10」を発表した。8月28日に販売が始まる。Google直販に加えて、ドコモ、KDDI、ソフトバンクに加え、同モデルからは楽天モバイルからも同時に発売される予定だ。バリエーションは、2024年と同じ。ノーマルモデルのPixel 10に加え、上位モデルの「Pixel 10 Pro」には大画面版の「Pixel 10 Pro XL」も用意される。フォルダブルモデルの「Pixel 10 Pro Fold」も10月に登場する見込みだ。
Pixelシリーズは、特に日本で人気の高いAndroidスマホ。iPhoneには及ばないものの、Androidの中ではシャープとトップ争いを繰り広げているだけに、Pixel 10への注目度は高い。一方で、Pixel 10シリーズは、外観やスペックなどが前モデルの「Pixel 9」から大きく変わっていないようにも見える。全面に打ち出されているのはAIのGeminiだ。こうした端末のコンセプトから、Googleの戦略や狙いを読み解いていきたい。
大きく変わらないハードウェア、刷新されたTensor G5がカギに
ついに登場したPixel 10シリーズだが、ハードウェアの仕様はどちらかといえばマイナーアップデートに近い。詳細は別記事に譲るが、ノーマルモデルのPixel 10は、サイズがほぼPixel 9と同じ。ディスプレイの解像度やリフレッシュレートも変わっておらず、唯一ピーク輝度のみが、2700ニトから3000ニトへと向上している。また、バッテリー容量が増えた半面、重量や厚さは増してしまった。
Pixel 10は、光学5倍の望遠カメラを備えたため、まだハードウェア的な違いが分かりやすいが、プロモデルであるPixel 10 Pro/10 Pro XLは、さらに差分が少なくなる。光沢感のあるフレームの仕上げも、Pixel 9から受け継いだものだ。シリーズ共通でマグネットで充電位置を合わせられる「Qi2」に対応したことなど、注目したいトピックはあるが、ハードウェアとしての進化は想像以上に少ない。
一方で、大きく刷新された部分もある。それが、スマホの頭脳ともいえるプロセッサだ。Pixel 10はシリーズ共通で独自設計の「Tensor G5」を搭載している。GoogleでPixelプロダクトマネジメント シニアディレクターを務めるピーター・プルナスキー氏は、同チップを指し、「Tensorのデビュー以来、最も重要なアップグレード」だと語る。AIを処理するTPUは最大60%強力になり、CPUやISPも大きく性能が上がっている。
通常の操作をするだけだと分かりづらいプロセッサの性能向上だが、その具体的な成果として目に見える形になっているのがAI、特にオンデバイスAIの進化だ。プルナスキーによると、Tensor G5はGoogle DeepMindとの共同設計により、「最新(バージョン)のGemini Nanoモデルを実行する初のプロセッサになっている」という。その結果、Pixel 10シリーズには20以上のオンデバイスAIを機能として実現できたという。
いわゆるスペックシートには表しづらい部分だが、プロセッサの処理能力を生かし、AIによってユーザー体験で過去のモデルとも差別化を図っているといえる。Pixel 9aを除くPixel 9シリーズもGemini Nanoを搭載し、オンデバイスAIに対応していたが、その用途はボイスレコーダーの要約やPixelスクリーンショットなどに限定されていた。これに対し、Pixel 10シリーズでは、オンデバイスAIを組み合わせた機能が大きく広がっている。
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