“手書きメール”作成など、進化した「W-ZERO3メール」を試す:Advanced/W-ZERO3[es]徹底レビュー(2/2 ページ)
Advanced/W-ZERO3[es]は、オリジナルの「W-ZERO3メール」が手書き機能を搭載するなど大幅にバージョンアップ。今回の徹底レビューは、メールソフトを中心に、ケータイとしての基本的機能に迫る。
メールソフトとしての完成度を高めたAdvanced/W-ZERO3[es]版のW-ZERO3メールだが、その一方で気になる点も多い。例えば、
- HTMLメール非対応
- 未読メール/フォルダへの自動フォーカス移動
- 未読メールの順次表示
などだ。HTMLメールに関しては、現時点でウィルコムEメールはメールサーバ側が非対応で、2007年度内のサーバ強化で対応するとうわさされている(公式発表は保存容量拡大と絵文字変換機能の追加のみ)。うわさ通りならば、W-ZERO3メールでも素早く対応してほしい。HTMLメールの送信に対応するには、エディタ機能の大幅な拡張が必要になるが、今やHTMLメール機能を利用したデコレーションメールは携帯電話で標準機能となっている。
ウィルコムの「ウィルコム定額プラン」はEメールも無制限に送受信できるため、(パケット通信料が増えがちな)デコレーションメールに対応すれば、多くの携帯電話ユーザーにとって魅力的な乗り換え先になるだろう。“デコメ”への対応は、インフラの整備対応だけでなく、対応する音声端末の新規投入も含めて急務といえる。
また、未読メールとフォルダへの自動フォーカス移動は、待受け画面の新着メール通知からメールを表示した際、今時の携帯電話では当たり前に装備する機能だ。未読メールの順次表示はPC用メールソフトでは当たり前の機能で、こちらが対応すれば前者は不要かもしれない。
キーアサインにも配慮が欲しい所だ。Windows Mobileの流儀を守っていると言えばそれまでだが、クリアキーを文字削除以外にまったく利用していないのに、本文表示を閉じるは[OK]キーのみ、メール一覧からフォルダ一覧、フォルダ一覧からアカウント選択への移動は[←]キーのみだ。これらはクリアキーで代替できたほうが、自然だと思う。
またこれはW-ZERO3メールに限った話ではないが、本機ではクリアキーの長押しに任意の機能を割り当てられなくなった。また、携帯電話の多くはクリアキーの長押しでカーソル以降(カーソルが文章末尾の場合文章全体)の文字を削除といった機能が割り当てられているが、本機にはこうした機能はない。
クリアキーの長押しに何らかの機能を割り当てることで、操作が紛らわしくなるのを嫌ったものとも思われるが、クリアキーの長押しを活用しないのは甚だ疑問だ。理想を言えば、携帯電話で当たり前の機能を追加するべきだし、シンプルな操作体系にしたいのであればカスタマイズ可能にして、初期設定で何も割り当てなければ良い。
ユーザー層を広げるにはもっと工夫が欲しい
前回と今回は、音声端末と共通機能となる部分を中心に取り上げた。結果としてかなり厳しいことを書いてしまったが、これも音声端末としても期待が大きい表れとご理解頂きたい。
筆者は、W-ZERO3、W-ZERO3[es]とプライベートで使い続けてきたが、W-ZERO3[es]でも音声端末としての利用頻度は決して高くはなかった。仕事柄、携帯も双方所持するダブルホルダーだからという部分もあるが、やはりポケットなどに入れて手軽に携帯するには厳しいサイズだった点が大きい。移動する際はカバンの中に入れっぱなしにすることが多く、必然的に音声端末としての利用頻度は低くなる。
この点Advanced/W-ZERO3[es]では、一気に携帯性が向上しており音声利用の頻度は格段に高くなった。デザイン的にも音声端末に近づいたことで、気恥ずかしさをほとんど感じなくなった点も大きい。筆者の周囲でも、新規契約を含めて本機の購入者は多く、定額で通話できる相手も増えた。それゆえ音声通話やメールに関連した不満も多く聞こえてくる。
特に今回取り上げた音声通話とメール機能は、Windows Mobile 6の機能ではなく、ほぼ独自に実装した部分だ。前モデルであるW-ZERO3[es]に対して、根本的に改善することも不可能ではなかったはずだ。もちろん、何もかも携帯電話と同じにすればいいとは思わないが、比較対象は間違いなく今時の携帯電話だ。
携帯電話と併用しても違和感ない操作性にするか、操作体系は違うけれどこちらの方が使いやすいという操作性にする必要がある。そうでなければ、新しモノ好きやガジェット好きのユーザー層ですら、本機を音声・メール端末として積極的に使う気にはならないのではと思う。
もちろん他キャリアからもWindows Mobileを採用した端末は登場しており、これらにも同じことが言えなくもない。しかしNTTドコモにしてもソフトバンクモバイルにしても主要ターゲットはビジネスユーザーで、ライトユーザーをも取り込もうというAdvanced/W-ZERO3[es]とは、端末の持つ意味合いは大分異なる。
例えば、24時間の音声定額に魅力を感じてウィルコムに乗り換える場合に、多機能な音声端末として本機を購入する可能性は大いにある。逆に、メールは携帯電話で十分、PCですら調べ物程度にしか使わないといった人が本機に興味を示すことも多く、「たてケータイ、よこパソコン」のテレビCMが始まってからは筆者も色々と質問を受けることが増えた。
Advanced/W-ZERO3[es]のような比較的新しいデバイスをいち早く使用するユーザー層だけでなく、“最近よく目にするから”という理由で従来製品から乗り換えようというユーザ層も存在する。こうした人たちをがっかりさせることなく、ユーザーの裾野を広げるためにも、音声通話やメール機能といった基礎的な使い勝手を携帯電話の水準に近づけて欲しい。ウィルコム端末のモデルチェンジスパンを考えると、後継機は1年後と予想されるが、ぜひ本機でもソフトウェアアップデートなどによる改善を考えて欲しい。
次回は、Webブラウザや付加機能、周辺機器といったPDA寄りの機能と使い勝手について触れる予定だ。
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Windows Mobile標準の「メール」(Outlook互換)とは別に、W-ZERO3シリーズに搭載される「W-ZERO3メール」。Advanced/W-ZERO3[es]ではどのように進化したのだろうか。
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