明暗が分かれた2007年――携帯電話とPHS各社の年頭所感
携帯電話とPHS各社が年頭所感を発表。携帯電話事業への参入を果たしたイー・モバイルと、7カ月連続で純増数1位になったソフトバンクモバイルは2007年を高く評価した一方、ドコモとKDDIは厳しい見方。ウィルコムは2008年を次世代PHSに向けた準備期間とする。
携帯電話事業者4社とPHS事業者のウィルコムは、それぞれ念頭の所感を発表した。2006年11月に開始された番号ポータビリティや新規参入などにより、各事業者の見方は大きく異なる。
厳しい1年となった――ドコモ
ドコモの中村維夫社長は、2006年10月に導入された番号ポータビリティにより競争が激化した2007年を「厳しい1年となった」と振り返る。しかし、「ファミ割★MAX50」や「ひとりでも割★50」といった割引サービス、端末の新しい販売方法などの導入により、競争力を強化したうえで2008年を迎えたとしている。
2008年は携帯電話を“生活インフラ”に発展させるという方向性を示す。これを達成するため、定額制サービスの充実、「おサイフケータイ」など生活のあらゆる場面で役立つ“生活アシスト”、“いつでも、どこでも、誰とでも”に応えるための国際ローミングの充実を掲げた。
優位点が薄れてしまった――KDDI
KDDIの小野寺正社長兼会長は、純増数が5月から2位であることを挙げこの数字を「我々に対する市場の評価として率直に受け止めなければならない」と2007年を振り返る。同氏はまた、「『ナンバーポータビリティはauの一人勝ち』や『過去最高益の連続更新』といった世間の評価を、自らの実力と錯覚する慢心や気の緩みはなかったでしょうか」と厳しく問うた。
さらに「これまでKDDIが維持してきた競争上の比較優位が、競合他社にキャッチアップされることで薄れた」と分析。社員には「大胆に発想する勇気と創意工夫の気持ちを持って挑戦し続けて欲しい」と呼びかけた。
まずは良いスタートが切れた――ソフトバンク
ソフトバンクグループの孫正義代表は、2007年5月から純増数が7カ月連続で1位であることを挙げ、「まずは良いスタートが切れた」とする。ネットワークや端末、営業体制、コンテンツの充実、「ホワイトプラン」の導入など、2007年に実施した施策が成功した結果だ。
2008年は、「チャレンジャーとして挑戦し続け、お客様のニーズを徹底的に追及することで更なる革新的なサービスを提案する」ことを目標に掲げた。
さらなる飛躍に向けた準備の時期――ウィルコム
次世代PHSの免許を取得し、2009年からのサービス開始を目指すウィルコム。喜久川政樹社長は2008年を「更なる飛躍に向けた準備の時期」と位置づける。次世代PHSは「固定通信市場も含めて大きな変革を起こすことができると思っている」という。
その一方で現行PHSの拡充を積極的に進める。音声定額、スマートフォン、内線モバイルソリューション「W-VPN」などは、携帯電話にはないPHSならではの独自性だとして、可能性をさらに追求していくと意気込んだ。
2007年はモバイルブロードバンド元年――イー・モバイル
イー・モバイルの千本倖生会長兼CEOは、2007年3月にデータ通信サービスで携帯電話事業に参入を果たし、モバイルでも固定回線のADSLと同じく定額の高速通信が実現したことで「『モバイルブロードバンド元年』に相応しい年となった」と振り返る。
2008年はサービスエリアを全国に広げ、3月には音声サービスを開始する予定。「ブロードバンドサービスと組み合わせることで、より幅広いユーザーにモバイルブロードバンドの素晴らしさを実感していただけるようになる」との期待を込めた。
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