スタンダード端末「W53K」に見る京セラの“こだわり”:開発陣に聞く「W53K」(2/2 ページ)
W44Kのイメージをそのままに、ワンセグを搭載したauの京セラ製スタンダードモデル「W53K」。機構上は約1年前に登場した「W51K」の後継モデルとなり、なんとW51Kから4.6ミリも薄くなった。
使い勝手を大きく左右するものとしては、日本語入力環境も大きなポイントだ。京セラはW44Kで辞書の容量を向上させ、好評を得た。W53Kでも変換辞書の容量を、変換基本辞書、標準予測辞書ともアップさせている。また、変換候補のリストから選択するときにはカーソルを今までの上下に加え、左右にも動かせるようにして、素早く選択できるようにした。日本語入力システムは「Advanced Wnn V2 EX Pro」を採用しており、日本語入力エンジン自体も進化している。
「文字入力は、満足度で大きなウェイトを占めると認識しています。“文字入力は京セラが一番使いやすい”と評価されるまで、努力する意気込みです」(宮坂氏)。今後も、連文節の一括変換など、日本語入力システムの強化に取り組んでいくという。
W44Kは、auの2006年を代表するスタンダードモデルとして評価された。「W53Kでは、2007から2008年のスタンダードモデルとしての地位を確立したい」と開発陣は意気込む。
背面のボタンでサブディスプレイに時刻などを表示させることができる「インフォメーションキー」もW44Kから引き続き搭載。W44Kユーザーには“サイドのキーよりも使いやすい”と好評だという。センターに配置されているので、右利き左利き問わずスマートに使える。また、設定すれば、長押しでミュージックプレーヤーを起動させたり、着信時の留守応答など、ユーザーの使いやすいようにカスタマイズすることもできる
W44Kのデザインを踏襲しつつ、華やかさをプラス
W53Kのボディデザインは「時計やアクセサリーのように、身近なところで生活を彩っている小物」をイメージしている。W44Kのよいところを残しつつ、華やかさや上品さをプラスした。強化ガラス製のメインディスプレイと背面パネルや、ハーフミラー状の背面パネルといった要素はW44Kを踏襲しているが、中央の帯と外側部分をあえて別カラーにすることで、単色では出せない華やかさを表現した。
W53Kのメインカラーは一段と華やかなパッショネイトレッド。シャンパンピンクはゴールドと組み合わせ、化粧品のボトルのような華やかさを出した。「同系色のピンクを使うとかわいらしいイメージになるが、W53Kのピンクは大人の女性にも持ってもらえるピンク」(播磨氏)。パッショネイトレッドは、やや紫色がかった赤と組み合わせたり、黄色い文字を使ったりしながら、少しずつニュアンスを変えることで濃密な赤を表現した。社内調査では30代男性の購入意向が強かったという。また、イメージキャラクターの井川遥さんもパッショネイトレッドがお気に入りだとか(2007年11月の記事参照)。
華やかさの演出として、サブディスプレイのイルミネーションも一役買っている。一見、ランダムに並んだ8つの文字が単語を作り、着信を通知する。「単純にアイコンを表示させるのではなく、あえてこういう見せ方にしています。知的な文字遊びっぽい雰囲気を出しながら、実用的でもある。デジタル時計にこういったものがありますが、そんな遊び心を表現したかった」(播磨氏)
さらに不在通知も文字で表示する。例えば電話のときは「CALL」、メールの時は「E MAIL」や「C MAIL」と表示される。アイコンやLEDの点滅などで知らせるモデルが多い中、ユニークな取り組みだ。「テキストでのアプローチもアリではないかという提案です。消費電力の問題もあったのですが、やりたくて無理をいって取り入れました」(宮坂氏)。
スタンダードモデルにFeliCaはいつ搭載されるのか
W53Kで気になる点はおサイフケータイに対応していない点だ。W44Kでもおサイフケータイ対応を求める声があったが、スタンダードモデルにFeliCaはいつ搭載されるのだろうか。
宮坂氏は、「おサイフケータイは一度使うとやめられない便利なサービスです。ただし、まだすべてのケータイユーザーにとってなくてはならない機能にはなっていない」と話す。「W53Kはあくまでスタンダードモデル。おサイフケータイは、ユーザーの生活圏内に対応する店舗や交通機関が必要で、日本全国どこでも使えるサービスというわけではない。また、ICカードを使うという代替手段もあります」(宮坂氏)と説明する。開発陣は、W53Kを“おサイフケータイはいらないが、ワンセグは使ってみたい”という層の受け皿にしたいという。
「近いうちにスタンダードモデルでもFeliCaを搭載しなくてはいけなくなるでしょう。例えそうなって“具だくさん”になっても、ベストスリムゾーンはキープしなくてはならないですね」(宮坂氏)
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