なぜ? カーナビが「NHK受信料」対象になるワケ 課金されるケースと徴収を免れる方法(1/2 ページ)
家にチューナー内蔵テレビがなくても、カーナビ付きの車を所有していると「NHKに受信料を支払わなければならない」――。目的地までの案内に役立つカーナビだが、そこになぜNHK受信料が絡んでくるのか、疑問に思う人はいるはずだ。そこで、この記事ではカーナビとNHK受信料の関係性を整理したい。
家にチューナー内蔵テレビがなくても、カーナビ付きの車を所有していると「NHKに受信料を支払わなければならない」――。目的地までの案内に役立つカーナビだが、そこになぜNHK受信料が絡んでくるのか、疑問に思う人はいるはずだ。そこで、この記事ではカーナビとNHK受信料の関係性を整理し、どのような場合にNHK受信料の徴収対象になるのかを解説する。
NHK受信料はなぜ支払わなければならない?
そもそも、NHK受信料はなぜ支払わなければならないのか? まずはこの点から見ていこう。日本の放送局は、日本放送協会(NHK)と民放の大きく2種類に分かれる。民放の主な財源は広告収入であるのに対し、NHKは運営資金を視聴者からの受信料で賄っている。そのため、民放と違ってNHKの番組には、自社番組の宣伝映像などを除いて広告が流れない。
NHK受信料が必要となる理由は、上記の事情だけでなく、放送法第64条第1項で「NHKの放送を受信できる受信設備を設置した者は、NHKと受信契約をしなければならない」と定めているためだ。つまり、NHKの放送を受信できる設備がある限り、その設備を通じてNHKの放送を視聴する可能性があり、NHK番組の視聴の有無に関係なく、NHK受信料を支払う責任が生じる、という考え方なのだ。
カーナビとNHK受信料の関係性は?
では、なぜカーナビとNHK受信料が関係してくるのだろうか。それは、カーナビが「NHKの放送を受信することのできる受信設備」に該当するためだ。カーナビには、地図の表示やナビゲーションの機能の他に、テレビ番組を視聴できる機能、いわゆるワンセグ/フルセグの機能が備わる製品が存在している。
ワンセグとは、地上波テレビ放送のデジタル化に伴い、2006年に始まった携帯電話・カーナビ向けの放送サービス。1チャンネル6MHzの帯域幅を13個のセグメントに分割するデジタル放送に対し、そのうちの1セグメントを用いて放送するのがワンセグだ。カーナビや携帯電話の小型アンテナでも320×240ピクセル(QVGA)の低解像度を安定的に受信できるように設計されている。やがて視聴機器の進化に伴い、テレビ放送と同じ解像度で視聴できるようにしたのがフルセグだ。
つまり、ワンセグ/フルセグ機能が備わるカーナビを所有している人が、仮にナビゲーションの機能しか使わない場合でも、所有している時点でNHK受信料を支払う責任が生じる、ということだ。ただし、既にNHKと受信契約をしている世帯であれば、その契約は世帯単位と見なされ、ワンセグ/フルセグ機能が備わるカーナビについて、NHKと個別に契約する必要はない。
さらに、以下のような条件に該当する場合は、カーナビがあってもNHKとの契約義務は免除される。具体的には、B-CASカードが未挿入の場合、ワンセグ用アンテナが未接続の場合、地デジチューナーが非搭載の場合だ。つまり、カーナビが放送法第64条に基づく「NHK放送を受信することのできる受信設備」に該当しない状態であれば、NHKと受信契約を結ぶ必要はない。
スマートフォンのアプリケーションを、より大きなディスプレイで操作したり、オーディオ再生やGoogleマップを表示したりできる「ディスプレイオーディオ」についても、ワンセグ/フルセグ機能(チューナー)がなければNHK受信料の支払い義務は生じない。
逆に、NHK受信料の支払いになってしまう例として、外付け用のチューナーを別途設置した場合が挙げられる。言うまでもないことだが、購入時にチューナーレスのディスプレイオーディオ、カーナビであったとしても、テレビ番組の視聴を理由に後付けしたら、NHKの放送を受信できる状態になるため、その時点で契約義務が生じる。
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