「Googleの成長は長くは続かない」──ソフトバンクの孫社長、冗談とも本気とも取れる一言:Mobile World Congress 2008
ソフトバンクの孫正義社長がMobile World Congress 2008の基調講演で、日本市場やソフトバンクモバイルの戦略について語った。
2月14日まで、スペイン・バルセロナで開催された「Mobile World Congress 2008」のカンファレンスに、ソフトバンクの孫正義社長が登壇。“Over the Top Sevices”というテーマで、講演とパネルディスカッションを行った。
講演は、2月7日に開催された2008年3月期第3四半期決算の発表会時に行われたプレゼンテーションをベースに、日本市場の特徴と、ソフトバンクモバイルの戦略について語られた。
まず、孫社長は「今年は、携帯電話がインターネットマシンに進化する印象的な年になるだろう」と宣言。その理由として3つの根拠を上げた。
1つ目がアクセスピードの向上。「3Gのスピードではまだ物足りないが、HSDPAになって快適なスピードになった」という。
2つ目がCPUの向上。レンダリングスピードが速くなり、PC向けWebサイトの表示もスムーズになった点を挙げる。
3つ目がディズプレイサイズの進化。「これまではとても小さく、Web利用にはやや不向きだったが、(「インターネットマシン 922SH」を取り出し)、フルワイドVGAの解像度であれば、ほとんどのPC向けWebサイトが表示できる」と胸を張った。
続いて、これからはいかにPCではなくケータイが大きな市場になるかを再三、訴える。
「PCは年間に2億台しか売れず、ユーザーは多くて1日に2時間しか使わない。しかし、ケータイは年間11億台あまりが売れ、ユーザーはまさに24時間使う、きわめてパーソナルなデバイスだ」と孫氏。「ボーダフォン買収は決して安くはなかったが、買ってよかった」と観客の笑いを誘う余裕も見せる。
また、日本ではケータイでテレビを視聴でき、mixiなどのSNSにおいて9割以上がケータイからアクセスされている現状を紹介。音楽市場もPCよりケータイの市場規模の方が圧倒的に大きいという状況を説明した。
さらにプレゼンテーションの画面にデコレメール(HTML装飾メール)を表示し、「これは娘から送られてきた『夜、一緒に食事食べよう』というデコレメール。日本ではシンプルなテキストメールではなくなってきている。テキストメールを送っているようだと、仲間はずれにされてしまう(笑)」というジョークでまたも会場を笑わせた。
日本で展開する音声定額制に関しては「固定ブロードバンドのADSLで通話料を無料にした。しかし、音声ARPUは2G時代は重要だったが、これからの時代はそれほど必要ない。HSDPAになると、データARPUのほうが重要性を増してくる」と断言した。
PCとケータイを比べた場合のビジネスモデルの違いも口調は軽やかだ。「ケータイの場合、すべてのユーザーがコンテンツ料としてキャリアに支払いをしている」と、わずかなコンテンツ料金の積み重ねが大きいと力説する。
昨今、ケータイ向けの広告ビジネスが注目されている。しかし、孫社長自身は広告よりも有料課金ビジネスのほうが魅力的に感じているようだ。その極めつけとして語ったのが「(広告ビジネスが主体である)グーグルの成長は長くは続かない」という冗談とも本気とも取れる一言だった。
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